月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

文字の大きさ
20 / 365
古代遺跡の出来事

第17話 沙更 古代遺跡を探検す2(2019年2月11日修正)

しおりを挟む
月の魔女とよばれるまで

第17話 沙更 古代遺跡を探検す2(2019年2月11日修正)

デスハウンドを撃退した沙更は、階段があるであろう場所を目指して動く。

ファイアーとウィンドカッターの初級魔法が桁外れな威力を発揮したが、それもこれもセーナから受け渡された魔力が膨大なためだ。初級魔法でデスハウンドを撃退することは、他の魔法士には不可能である。

大体、他の魔法士が扱える魔力を1とすると今の沙更が扱っている魔力は1000倍以上。一つの魔法に込める魔力も同じくらいで使っているんもだから威力が高くて当然といえた。

しかもそれに古代詠唱を込みで使っているあたりが、他の魔法士を圧倒する威力を生み出していた。

そんなこんなの考察はさておき、沙更は古代遺跡をたった一人でうろうろしていた。

普通、こんな古代遺跡に小さい女の子がうろついていたら何事と思われるのが普通だが、今居る古代遺跡は発掘されてそこまで間もないことと余りにも王都から遠いことで、調査の手すら入っていなかった。

調査の手すら入っていない時点で、罠の解除などされているわけもない。沙更が動いた後にカチッと言う音が鳴り響く。


「えっ、今の音まさか!?」

そう、罠が作動した音だったりする。沙更の後方から、ゴロゴロと大きな音を立てて大きい岩が転がってくる野が見えた。

「ここで、ローリングストーンなの!?」

慌てて逃げる沙更だが、小さい子供の足で大きい岩が転がる速度を上回れるわけもない。押しつぶされると思った時、近くの壁に子供一人入れるくらいの隙間が空いていることに気付いて、そこに滑り込む。

滑り込むと若干遅れて、転がっていく岩が目の前を通り過ぎていく。通り過ぎたことに、ほっと息を吐きつつも緊張の糸が切れたことに気付いた。

そのまま、座り込んでしまう。

「はあ、良かった。滑り込んでなかったら押しつぶされてた・・・」

ほっとしたのもつかの間、今度はサイクロプスとオーガに襲われる格好となってしまう。

両方とも、デスハウンドと違い初級魔法では刃が立たないと言われる相手だ。が、沙更の古代詠唱は不可能を可能にしてしまう。

氷魔法の初級であるアイスニードルを古代詠唱と膨大な魔力を使った結果、中級魔法のアイスジャベリンに切り替わってしまっていたのだ。

ワンドの周りから放たれるアイスジャベリン4つは、サイクロプスの皮膚をあっさりと貫き、氷によっての凍傷を与えて動きを鈍らせる。

その隙を見て、オーガが沙更に迫るがその時には沙更は初級魔法ウィンドウォークを唱えて、その場から移動していた。

囲まれないように適度な距離を取りつつも、次々と魔法を放つ沙更。そもそも、他の魔法士とは違い長い詠唱を必要としない。そもそも、古代詠唱はイメージを重要視する上に魔力をたくさん必要とするが、その分イメージさえ出来てしまえばほんの一秒以内で魔法を放つことが出来た。

ファイアーによって燃やされたと思えば、音速のウィンドカッターであっさりと腕を切り落とされ、止めとばかりにアイスジャベリンが飛んでくる。

アイスジャベリンに貫かれて、絶命するオーガ。サイクロプスもファイアによって焼かれ、もしくは指や腕をウィンドカッターで切られと散々としか言えない。

実際、サイクロプスもオーガも魔法士殺しとして有名である。下手な中堅どころの魔法士では、一撃でやられかねない攻撃力と耐久力を兼ね備えるからだ。

が、そんなサイクロプスとオーガも沙更の魔法の前には形無しであった。

結局、沙更は移動しつつの魔法を何度も叩き込む荒技で、サイクロプスとオーガを圧倒。近づかせなければ、固定砲台として魔法士の火力は相当高いことを証明する結果となった。

本来ならば、これだけ魔法を使っているのなら魔力が枯渇するはずだが、沙更にその気配は一切無かった。

「そういえば、あれだけ魔法を使っているけれど魔力を使った気がしないっておかしいんじゃないかな?」

沙更としてもそこに気付く。いかに、セーナの魔力が多いとは言え回復なしであれだけ使ったのだ。普通ならばふらついたり、精神的に疲労しておかしくはない。

だが、今の沙更にそんなそぶりは一切ない。ある意味おかしいと思うのは当然のことだった。が、それも後で分かることになる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る

伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。 それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。 兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。 何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。

気弱令嬢の悪役令嬢化計画

みおな
ファンタジー
 事故で死んだ私が転生した先は、前世の小説の世界?  しかも、婚約者に不当に扱われても、家族から冷たくされても、反論ひとつ出来ない気弱令嬢?  いやいやいや。 そんなことだから、冤罪で処刑されるんでしょ!  せっかく生まれ変わったんだから、処刑ルートなんて真っ平ごめん。  屑な婚約者も冷たい家族も要らないと思っていたのに・・・?

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

処理中です...