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古代遺跡の出来事
第20話 治療を終えて(2月9日修正)
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月の魔女とよばれるまで
第20話 治療を終えて(2月9日修正)
ガレムの傷は、筋肉の損傷、肩甲骨のヒビが主でヒールで治るレベルの怪我ではなかった。
実際、ヘレナがヒールを使っての応急処置をしていてこれなのである。もし、ヘレナの治癒魔法が無ければもっとひどい怪我だった。
ミリアが居たら、ヒールの回数が限られる事からもっと体力を失っていた可能性があった。
現状、ヘレナの魔力はほぼ空っぽに近い状態であり、ちょっと精神的に不安定になっていたのもさっきの受け答えに出ていた。
パウエルを癒やしたように、再度沙更はガレムにヒールを唱える。あっと言う間に、ワンドの先にまばゆい光を現すとそのまま傷を癒やしていく。
パウエルと同じく、一分もしないうちに腕の筋肉の損傷と肩甲骨のヒビの治療を終える。筋肉は、細胞を再生して筋細胞を復活。筋も再構築したため前と代わらない動きが出来るし、肩甲骨も骨を再生してずれも無くくっつけたので違和感はないほどに治していた。
「こりゃ、流石に凄えな。さっきまでの痛みが嘘のようだぜ。やるじゃねえか、ありがとうよ」
「さっきまでの台詞が嘘じゃないって信じてもらえました?」
「もうからかわねえよ。まったく、すげえ嬢ちゃんだぜ」
ガレムとしては、ここまであっさり治されてしまえば納得するしかない。脳筋気味とは言え、見たこと感じたことを信じられるかどうかくらいの判断は付くと言ったところのようだ。
一方、治癒魔法を扱うヘレナは沙更の魔力が途方も無いことに気付いていた。
実際、これだけの治癒魔法を使っているのだが沙更本人は魔力を消費した感じは一切無い。けろっとしていること自体が凄すぎるのだ。
「嘘、あれだけの治癒魔法を使っているのに魔力が全然減ってないなんて」
ヘレナが魔力視のスキルを使って、沙更を観察するが魔力が減っている気配は一切無かった。Cクラス成り立てとは言え、魔力多めのヘレナでヒール10回なのである。
それでも、癒やしきれなかった傷を沙更はあっと言う間に癒やしてしまう。そのことに嫉妬を覚えてしまうのは、なまじ同じ治癒魔法を扱えてしまうからかもしれない。
「魔力量が途方もないのは分かるけれど、それでもあれだけの治癒魔法で魔力を消耗しないって、貴女何者なの?」
ヘレナの直球な問いに、沙更は首をかしげる。
「ただの魔力が多いだけの女の子だと思うんですけど?」
「あのね、ハイヒール二回使って魔力の消耗がないなんてあり得ないから」
「ああ、そういう点では多分普通の人の物差しは使えないと思います。いろいろと魔法を教えてもらっていますけど、魔力を使い切った感じは感じたことがありません」
沙更の答えは、魔力を持つヘレナとしては羨ましい限りの答えだった。
それもそのはず、魔力を使い放題。しかも高度な魔法を使っても平気なほどの強大な魔力を持っていると言う証なのだから。
「羨ましいって思うのは、同じ治癒魔法を使えるからでしょうか?えっと、貴女で最後になるんですけど治療しますか?」
沙更がヘレナにそう言うとヘレナは頷くしか無かった。羨ましさは先に出てしまうが、もう既に自分の魔力はほぼ使い果たしていたからだ。
「そうね、お願いするわ。治したくてももう魔力がなくて」
「それでは、見た感じで全身的に打ち身がありそうですし、身体を覆わせてもらいますね」
沙更が再度ヒールを唱えて、ヘレナの身体を覆う。
光がヘレナの身体の傷を癒やしていく。同じ治癒魔法とは思えない程の効力をヘレナは身をもって体験する格好だ。その効力と言い、魔力使用量と言い、真似が出来るかと言えば無理と言うしか無いレベルだった。
これだけ差があるかを実体験させられれば、羨ましいと思ったとしても追いつけるかと言われれば諦めるしかないレベルと言うしかなかった。
元々のスタートラインが違いすぎることが、ヘレナを思いとどまらせることに繋がっていた。これが、同じくらいの魔力量なら嫉妬の嵐が吹き荒れたかも知れない。
が、沙更の魔力量とヘレナの魔力量に格段の差があった。初心者に剣聖の動きが出来るわけがないの同じ事なのだから。
三人ともに治療を終えて、少し休むともう動ける状態になっていた。パウエルが、沙更に代表してお礼を言う。
「本当にありがとう。途方に暮れるところだった」
「ミリアお姉さんの優しさと勇気に感謝してあげてください。呼ばれてなければ、多分私はここに来なかったと思います」
沙更はそう言って、ミリアを見た。
第20話 治療を終えて(2月9日修正)
ガレムの傷は、筋肉の損傷、肩甲骨のヒビが主でヒールで治るレベルの怪我ではなかった。
実際、ヘレナがヒールを使っての応急処置をしていてこれなのである。もし、ヘレナの治癒魔法が無ければもっとひどい怪我だった。
ミリアが居たら、ヒールの回数が限られる事からもっと体力を失っていた可能性があった。
現状、ヘレナの魔力はほぼ空っぽに近い状態であり、ちょっと精神的に不安定になっていたのもさっきの受け答えに出ていた。
パウエルを癒やしたように、再度沙更はガレムにヒールを唱える。あっと言う間に、ワンドの先にまばゆい光を現すとそのまま傷を癒やしていく。
パウエルと同じく、一分もしないうちに腕の筋肉の損傷と肩甲骨のヒビの治療を終える。筋肉は、細胞を再生して筋細胞を復活。筋も再構築したため前と代わらない動きが出来るし、肩甲骨も骨を再生してずれも無くくっつけたので違和感はないほどに治していた。
「こりゃ、流石に凄えな。さっきまでの痛みが嘘のようだぜ。やるじゃねえか、ありがとうよ」
「さっきまでの台詞が嘘じゃないって信じてもらえました?」
「もうからかわねえよ。まったく、すげえ嬢ちゃんだぜ」
ガレムとしては、ここまであっさり治されてしまえば納得するしかない。脳筋気味とは言え、見たこと感じたことを信じられるかどうかくらいの判断は付くと言ったところのようだ。
一方、治癒魔法を扱うヘレナは沙更の魔力が途方も無いことに気付いていた。
実際、これだけの治癒魔法を使っているのだが沙更本人は魔力を消費した感じは一切無い。けろっとしていること自体が凄すぎるのだ。
「嘘、あれだけの治癒魔法を使っているのに魔力が全然減ってないなんて」
ヘレナが魔力視のスキルを使って、沙更を観察するが魔力が減っている気配は一切無かった。Cクラス成り立てとは言え、魔力多めのヘレナでヒール10回なのである。
それでも、癒やしきれなかった傷を沙更はあっと言う間に癒やしてしまう。そのことに嫉妬を覚えてしまうのは、なまじ同じ治癒魔法を扱えてしまうからかもしれない。
「魔力量が途方もないのは分かるけれど、それでもあれだけの治癒魔法で魔力を消耗しないって、貴女何者なの?」
ヘレナの直球な問いに、沙更は首をかしげる。
「ただの魔力が多いだけの女の子だと思うんですけど?」
「あのね、ハイヒール二回使って魔力の消耗がないなんてあり得ないから」
「ああ、そういう点では多分普通の人の物差しは使えないと思います。いろいろと魔法を教えてもらっていますけど、魔力を使い切った感じは感じたことがありません」
沙更の答えは、魔力を持つヘレナとしては羨ましい限りの答えだった。
それもそのはず、魔力を使い放題。しかも高度な魔法を使っても平気なほどの強大な魔力を持っていると言う証なのだから。
「羨ましいって思うのは、同じ治癒魔法を使えるからでしょうか?えっと、貴女で最後になるんですけど治療しますか?」
沙更がヘレナにそう言うとヘレナは頷くしか無かった。羨ましさは先に出てしまうが、もう既に自分の魔力はほぼ使い果たしていたからだ。
「そうね、お願いするわ。治したくてももう魔力がなくて」
「それでは、見た感じで全身的に打ち身がありそうですし、身体を覆わせてもらいますね」
沙更が再度ヒールを唱えて、ヘレナの身体を覆う。
光がヘレナの身体の傷を癒やしていく。同じ治癒魔法とは思えない程の効力をヘレナは身をもって体験する格好だ。その効力と言い、魔力使用量と言い、真似が出来るかと言えば無理と言うしか無いレベルだった。
これだけ差があるかを実体験させられれば、羨ましいと思ったとしても追いつけるかと言われれば諦めるしかないレベルと言うしかなかった。
元々のスタートラインが違いすぎることが、ヘレナを思いとどまらせることに繋がっていた。これが、同じくらいの魔力量なら嫉妬の嵐が吹き荒れたかも知れない。
が、沙更の魔力量とヘレナの魔力量に格段の差があった。初心者に剣聖の動きが出来るわけがないの同じ事なのだから。
三人ともに治療を終えて、少し休むともう動ける状態になっていた。パウエルが、沙更に代表してお礼を言う。
「本当にありがとう。途方に暮れるところだった」
「ミリアお姉さんの優しさと勇気に感謝してあげてください。呼ばれてなければ、多分私はここに来なかったと思います」
沙更はそう言って、ミリアを見た。
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