月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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古代遺跡の出来事

第37話 地上に向けて1(2019年2月28日修正)

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月の魔女とよばれるまで

第37話 地上に向けて1(2019年2月28日修正)

一緒に行けるのは地上に行くまでだと思っていた沙更だったが、ミリアとガレムの言葉に甘えることにした。一人でもなんとかなるだろうとは思う。

けれど、それは寂しい決断だと思ってしまった。それに、助けた彼らを見捨てることはしたくはないと沙更は思ったのだった。

「考えてみれば、パウエルさんたちの武器も防具も破損していて使えませんし。浄化されたとは言え、完全にモンスターがいないかどうかも解っていません」

「リーダーたちの装備どうする?新しいのを買いたくてもここじゃどうにもならないし」

ミリアの言葉にそういう点でも、このままでは危険度が高すぎると言う判断になるのは致し方なかった。かと言って、武器がここにあるとも限らない。宝が眠っている可能性は十分にあるが、それが使えるかと言えば首をかしげるしか無かった。

となると、今持っている壊れた武器を直す方が早いかもと思うのは当然のこと。鍛冶士のスキルなどがあれば、打ち直したり出来るが、そんな仲間は居ない。

沙更は、そこでふと思い出した。昔読んだラノベの中に修復魔法というのがあったなあと。今の自分なら扱えるような気がしていた。ダメで元々、試してみる価値はありそうだと思ったのは必然だったのかも知れない。

「パウエルさん、良ければ壊れた剣を貸してもらっても良いですか?」

「この剣をか?かなり重いが大丈夫かい?」

心配そうに見るパウエルさんだが、そこは沙更だけになんとか出来る術はあった。強化魔法マイティアップなら、子供が鉄の剣を持ったところでふらついたりはしなくなる。こんなことで使うのもどうかと言われるかも知れない。が、その考えは今の沙更には無かった。

マイティアップをイメージするだけで唱えると折れた鉄の剣を見る。沙更の魔力が勝手に折れた剣を鑑定してくれていた。現状で、刀身は既にボロボロになっていて、剣の寿命を使い切ったのだろうと思われた。サイクロプスの皮膚を切るのに、この剣の寿命を使い切ってまで使い手を守ってくれたのだから。

それは、パウエルが使っていた鉄で強化した木製のラウンドシールドにも言える。どちらにしろ、装備が完全にここのモンスターの強さに追いついていない。そんな状態で、月女神の眷属に来るように仕向けられたのだと推測する。ここに来るならば、最低でも鋼鉄装備が必須だったからだ。

「パウエルさんたちは、無茶しすぎです。装備品がサイクロプスやオーガを相手取れるほどの品じゃないのに」

沙更にそう言われて、パウエルたちは苦笑を浮かべる。元々、無理を重ねすぎていたのは否めない。お金が足りないから、このクエストの完了することでお金を得ようと考えたのだ。まとまったお金が必要だったのは、パウエルたちも認めざるを得なかったから。

パウエルから折れた剣を預かり、手に取ってみる。鉄の剣ではあるが、かなり良い物だったようだ。伊達に、パウエルが駆け出しの頃から今まで使っていただけはあった。下手な鋼鉄の剣よりも切れ味が良かったらしい。

剣に沙更の魔力を込めていく。鉄と魔力は本来なら相性が悪い。金属と魔法は魔力を内包しない場合に限るのだが、普通の鉄が魔力を内包することは無いはずだった。

が、パウエルの持っていた鉄の剣は沙更の魔力に適合するようにその魔力を纏っていく。そして、沙更が修復魔法を無詠唱で発動させると鉄の剣ではなくなっていた。魔力を帯びた鉄がその材質を変化させながら、折れた刀身を修復していく。

数分もしないうちに修復を終えて、現れたのは青い魔力を帯びる魔鉄の剣。長さはそのまま、素材は魔鉄へと変化していたのは沙更の魔力と適合したからだろう。実際、鉄の剣と魔鉄の剣では相場的に20倍以上違う。

そして、魔鉄以上の剣は上級冒険者のステータスだった。それは、上級モンスターと対等に戦うには魔鉄の武器が必須だったからだ。鉄や鋼鉄の刃ですら弾くモンスターの皮膚を貫けるのは魔鉄以上の素材を使った武器だけ。その中でも魔鉄は手に入りやすく、上級冒険者たちが競って手に入れるべき代物だった。
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