月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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古代遺跡の出来事

閑話3 ガレム

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月の魔女とよばれるまで

閑話3 ガレム

俺たち、Cランク冒険者パーティー荒野の狼はかなり無茶な依頼を受けてこの古代遺跡にやって来た。

まあ、無茶そのものなのは気づいていた。でも、猛者と戦えるならそれはそれで悪くないと思っていたんだぜ。

古代遺跡の最下層に着いて、モンスターとやり合ったら間に合わせで買った鉄のハンドアックスが限界を迎えやがった。

リーダーのパウエルが長年使っていた鉄の剣も折れ、ヘレナの鉄のメイスも折れた。ミリアの鉄の短剣もだ。

そして、モンスターは潰せたが武器はボロボロ、防具もヘタれてダメ。挙げ句の果てが、体に残った怪我だ。ヘレナの治癒魔法では大怪我を癒やすことは出来ねえ。重ねてかけることで、ある程度打撲や打ち身を癒やすことが出来るがそこまでなんだよなあ。

そもそもヘレナが治癒魔法を使える回数は10回だ。魔力を回復させなければ、そこで打ち止めになっちまうのも問題と言えば問題だった。

それに、その治癒魔法すら遠慮した奴がいた。ミリアだ。

俺が余り頭が良くないとは言え、あからさますぎるんだよ、お前は。俺たちに生き延びろとばかりに、ヒールを拒否して怪我をしたままでここから居なくなりやがった。

リーダーのパウエルは、辛そうな表情をしていた。止めたかったが止められなかったんだろうと察しは付く。ヘレナは、自分の力量不足を直接見つめる羽目になったからかちょっと精神不安定になってやがる。

そういう点、精神的に弱いんだろうよ。俺はそういう点、引き留めもしなければ素直に送り出せたわけでもねえ。なんとも中途半端だった。それが苛つく元でもあったんだ。

しばらくして、ミリアが戻ってくるとあれだけの大怪我をあっさりと治してやがった。それと見知らぬ小さいガキが側に居て、そのガキから感じる圧がとんでもねえ。

ミリアの奴、なんかとんでもないガキと知り合いになりやがったと思ったが、思ってたよりもそのガキは可愛げがあったんだよ。下手にからかっちまったが、下手な治癒士よりよほど力がありやがる。

と言うか、ミリアの怪我をあっさり治したと言うことは治癒魔法を扱えるってことだ。実際に見た治癒魔法は桁外れの力を持っていたぜ。リーダーや俺、ヘレナに至るまであっさりとあれだけの怪我を治しやがった。

ヘレナの奴、余りの差に衝撃を受けてたが俺もあまりの能力に素直に謝っちまったぜ。それに、その後にセーナって言うこいつの言葉に驚かされるわけだ。

魔法で、サイクロプスやオーガとやり合って生き残ってるって事実は、流石の俺でも驚かざるを得ねえ。魔法士とサイクロプスやオーガって言うのは相性が悪いって相場が決まっているんだが、それを覆したって言ってるのと同じなんだぜ?

それが出来ない魔法士が大半だって言うのにだ。全く、どんだけしゃれにならねえことをしでかしてくれるんだか、面白しれえ奴だと俺はその時思った。

実際はそんな話じゃ無かったんだが、どちらにしろ俺がセーナを気に入ったのは確かだった。
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