月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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古代遺跡の出来事

第36話 これからのこと(2019年2月28日修正)

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月の魔女とよばれるまで

第36話 これからのこと(2019年2月28日修正)

沙更の魔力が格段に上がったのに驚いたミリアが駆け寄ってくる。

「セーナちゃん、魔力また上がってるけど大丈夫?」

「ミリアお姉さん、そこまで心配しなくても大丈夫です」

さらっと答える沙更だが、ヘレナが沙更が扱える魔力を感じて震えていた。完全に人間の器では、扱いきれない魔力量になっていたからだ。

「セーナちゃん、貴女人間じゃなくなっているわ。それだけの魔力を扱える器なんて、魔族か今は去った神くらいのものよ?」

ヘレナの言葉に、パウエルとガレムの表情が変わる。

沙更として、ミリアたち荒野の狼は好感が持てる人たちだ。だが、相手から見れば得体の知れない存在だけに恐れたり、拒否感をもたれることもあると言うことも頭に入っていた。

月女神と同等になると言うことは神に近づくと言うこと。それ故に、人に嫌われ、拒否されるだろう。人は、未知の存在を肯定できるほど強くはないから。

そんな状態の沙更に、ミリアが首をかしげつつ聞いてきた。

「セーナちゃん、そんなに怖がらなくても良いと思う。ヘレナは魔力に過剰反応したみたいだけど、あたしはセーナちゃんの事を拒否したりしないよ?」

「人と違う私ですけれど、それでも?」

「あたしは、セーナちゃんの側に居るって決めているの。だから、心配しなくても良いよ。だって、セーナちゃんがいなければ月女神の眷属を撃退なんて大事出来るって思えないから」

ミリアの台詞にパウエルは静かに頷く。どちらにしても、助けてもらった側だと言うことはパウエルもガレムも認識していたからだ。そして、ディヴァインベールで闇のブレスから守ってくれた事実もあった。

普通の魔法士ならば、あそこで守り切ることが出来るわけがないと断言出来る程の威力であった。それを光魔法上級である光の防御幕ディヴァインベールで、守り切ってくれたと言う事実があったからだ。もし、守ってくれていなければ闇のブレスで焼かれてしまっていただろうから。

「俺たちは、セーナちゃんにどれだけ助けられてると思ってるんだ?セーナちゃんが普通の女の子だったら、俺らはそもそもここに居ないぞ」

「だよな。ヘレナが魔力が強すぎることに日和ってやがるが、俺もパウエルもそこを気にしちゃいねえよ。ったく、幼いくせに俺たちを守ろうと身を張りやがって。ミリアもだが、無茶しすぎだって言うんだぜ」

そう言いつつ、二人の目から優しい感じを感じ取った沙更はほっと息をつく。そんな沙更に、ガレムが近づいてくると長くなった髪をグシャグシャとなでてきた。

「ったく、お前はすげえやつだ。人じゃねえ?そんなの気にしねえよ。信頼に値するやつだって知ってる。それでお前を認めるのに十分なんだよ。ちっ、柄でもねえ事言わせるな」

ガレムが照れたようにそう言う。パウエルが珍しいと表情に出していることから、こういうことは滅多に無いのだろうと沙更は思う。

「あー、ガレムったら。セーナちゃんの綺麗な髪なのに、グシャグシャにして。嫌がらせのつもり!?」

「んなわけねえだろ。少し、和ませようと思っただけじゃねえか。もしかして嫌だったか?」

ミリアの言葉に、ガレムが面倒くせえなあと表情を浮かべつつ返していく。若干気遣いを感じられるのはガレムが沙更を認めたからだろう。

「ガレムさんの手は大きいですね。こうやってくれる人はもういませんから、嫌でもありませんし」

そう言って、ガレムの行為を受け入れる。ガレムとしてはほっとした表情を浮かべるが、ミリアは若干不満そうだった。

「セーナちゃん、嫌なら嫌って言ってやってね。じゃないといつまでもやるかも知れないから」

「ミリアお姉さん大丈夫です。ガレムさんはそういうところの気遣いは出来る人です。嫌そうな表情をした時点で止めてくれると信じてます」

ミリアの言葉にそう返しつつも沙更はこうやって居られるだけ、まだ良いのだろうとも思う。少なくてもミリアやパウエルたちは受け入れてくれているらしいと感じられるからだ。

そして、これからのことを口にした。どうしても切り出さなければならなかったから。

「あの、地上に上がったら私は開拓村に戻ります。ミリアお姉さんやパウエルさんたちは、冒険者ですから依頼を果たしに行くのでしょう?だから、地上までご一緒させてください。そこから先は・・・」

これからのことを話すとパウエルたちの表情が一変した。そして、沙更が話し終わらないうちにミリアが口を開く。

「ダメだよ、セーナちゃんを一人にさせると思ってるの?少なくてもあたしはセーナちゃんに付いていくからね。どれだけ助けてもらってると思っているの?そこでありがとう、さようならって出来るわけが無いでしょう!」

「でも、冒険者の依頼は期限が決まっていましたよね?間に合いますか?」

「一日二日くらいなら、寄り道も可能だな。セーナちゃんのおかげで、依頼は完了できる。ここまで助けてもらったんだ。君がやりたいことを手伝うのも良いと思う。と言うか、そのくらいしないとこちらが心苦しい」

心配する沙更に、パウエルが依頼を思い出して期限を考えたところでの結論だったらしい。そこまで言われてしまうと断ると言うこともしづらかった。
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