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古代遺跡の出来事
第35話 神の器を持つ少女(2019年2月28日修正)
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月の魔女とよばれるまで
第35話 神の器を持つ少女(2019年2月28日修正)
休憩を終え、静まりかえった古代遺跡に沙更が首をかしげる。ヘレナが、古代遺跡のモンスターを浄化したと言っていたが、今のままでは三人は戦闘に参加することが出来ない。
ふとそう思った時、セーナの魂からの声が聞こえた。
(沙更お姉ちゃん、セーナの魂はもう本格的にお休みするね。月女神の眷属を撃退してくれてありがとう。お姉ちゃんだから、あれだけの力を引き出せたんだって思ってるよ)
(セーナちゃん、お休みなさい。私がセーナちゃんを守ってあげる。そう言う約束だから)
(本当に沙更お姉ちゃんは優しいね)
セーナの魂がそこまで話したところで、声が途切れた。本格的に魂の修復に入ったようだ。
セーナの魂が本格的に修復に入ったことで、セーナと沙更の魂の結合がまた一段上がっていた。セーナが沙更に託した格好になったのが大きかったのかも知れない。
魂の結合の段階が一段上がったことで、沙更は月女神の神の器を扱うことが出来るようになっていた。そのことで、月女神の意識に話しかける。
(月女神様、貴女は私にその器を使って欲しいのですか?)
(前にも言いましたが、わたくしが起きることはありません。ならば沙更、貴女に使ってもらう以外の方法があるとでも?)
月女神の言葉に、暗に蘇る気はありませんと言われてしまって、沙更としては苦笑を浮かべてしまう。
(人間の身で、神の器を使うには負担が大きすぎる気がします)
(沙更、貴女とセーナの魂は私の魂が分かたれたもの。元々、神が宿っていた魂なのですから神の器を扱う資格はとうに有しています。もしものときには、遠慮せずに使いなさい。そうしなければ、今の世界で大切な人を守り切ることは出来ませんから)
月女神は、神がいなくなった後の世界を知っていた。それだけに、今の世界は非常に生きにくい場所になっていることを承知の上で、沙更に譲ることにしたのだ。
そこまで言われてしまうと切り札として、扱うのなら大丈夫なんだろうと沙更としても判断するしかない。本当の持ち主に使って欲しいと言われることになろうとは思ってなかったが。
(月女神様、人の身に過ぎる器ではありますが切り札として扱わせていただきます)
(もう、貴女はセーナとの結合の段階が上がった事であの眷属と同じく神に片足を踏み入れました。だから、この会話が終わり次第また変化があるでしょう)
その言葉に、沙更は頭を抱える格好になる。月女神は、そんな沙更を見てくすりと笑った。
(大丈夫です。もし困ったら私を呼びなさい。知恵を授けてあげますから)
(月女神様って神として変わっていると言われてませんでしたか?)
(そうね、数々の女神を差し置いて最も慈愛を持つと言われたことはあったわ。神らしくないとも言われていたけれど、それが私だもの。それがどうかして?)
月女神の答えに、沙更は納得する。だからこそ、主神が月女神にこの世界を託していったのだろうと。殺されてもなお闇を抱えないあたりは、淡い光を放つ月らしいと思ってしまった。
月女神の意識が閉じると同時に、沙更が宿るセーナの身体に変化が現れた。完全に神の器を扱えるように、魔力量がもう一段とばかりに増えていく。既に人間が宿し得る魔力の量を遙かに超えていた。
神の器を持つだけに、魔力の量が既に人の数万倍に及んでいる。だが、そのくらいの魔力が無ければ光や闇の最上級魔法など扱うことが出来ない。古代魔法士でも、最上級魔法はかなり荷が重い代物であったから。
それに、古木で作られていたワンドが人工石であるスターサファイアロッドに格上げされていた。あまりの魔力がここに集まったからだろうか、材質まで変わっていたのだった。
そして、エーテルワンピースも闇のブレスの影響を受けた格好で、丈が伸びて黒のシンプルドレスに切り替わっていた。強いて言うなら、エーテルドレスだろう。
そんな変化をした沙更に、ミリアが近寄ってくる。いきなりの変化に驚きの表情を浮かべて。
第35話 神の器を持つ少女(2019年2月28日修正)
休憩を終え、静まりかえった古代遺跡に沙更が首をかしげる。ヘレナが、古代遺跡のモンスターを浄化したと言っていたが、今のままでは三人は戦闘に参加することが出来ない。
ふとそう思った時、セーナの魂からの声が聞こえた。
(沙更お姉ちゃん、セーナの魂はもう本格的にお休みするね。月女神の眷属を撃退してくれてありがとう。お姉ちゃんだから、あれだけの力を引き出せたんだって思ってるよ)
(セーナちゃん、お休みなさい。私がセーナちゃんを守ってあげる。そう言う約束だから)
(本当に沙更お姉ちゃんは優しいね)
セーナの魂がそこまで話したところで、声が途切れた。本格的に魂の修復に入ったようだ。
セーナの魂が本格的に修復に入ったことで、セーナと沙更の魂の結合がまた一段上がっていた。セーナが沙更に託した格好になったのが大きかったのかも知れない。
魂の結合の段階が一段上がったことで、沙更は月女神の神の器を扱うことが出来るようになっていた。そのことで、月女神の意識に話しかける。
(月女神様、貴女は私にその器を使って欲しいのですか?)
(前にも言いましたが、わたくしが起きることはありません。ならば沙更、貴女に使ってもらう以外の方法があるとでも?)
月女神の言葉に、暗に蘇る気はありませんと言われてしまって、沙更としては苦笑を浮かべてしまう。
(人間の身で、神の器を使うには負担が大きすぎる気がします)
(沙更、貴女とセーナの魂は私の魂が分かたれたもの。元々、神が宿っていた魂なのですから神の器を扱う資格はとうに有しています。もしものときには、遠慮せずに使いなさい。そうしなければ、今の世界で大切な人を守り切ることは出来ませんから)
月女神は、神がいなくなった後の世界を知っていた。それだけに、今の世界は非常に生きにくい場所になっていることを承知の上で、沙更に譲ることにしたのだ。
そこまで言われてしまうと切り札として、扱うのなら大丈夫なんだろうと沙更としても判断するしかない。本当の持ち主に使って欲しいと言われることになろうとは思ってなかったが。
(月女神様、人の身に過ぎる器ではありますが切り札として扱わせていただきます)
(もう、貴女はセーナとの結合の段階が上がった事であの眷属と同じく神に片足を踏み入れました。だから、この会話が終わり次第また変化があるでしょう)
その言葉に、沙更は頭を抱える格好になる。月女神は、そんな沙更を見てくすりと笑った。
(大丈夫です。もし困ったら私を呼びなさい。知恵を授けてあげますから)
(月女神様って神として変わっていると言われてませんでしたか?)
(そうね、数々の女神を差し置いて最も慈愛を持つと言われたことはあったわ。神らしくないとも言われていたけれど、それが私だもの。それがどうかして?)
月女神の答えに、沙更は納得する。だからこそ、主神が月女神にこの世界を託していったのだろうと。殺されてもなお闇を抱えないあたりは、淡い光を放つ月らしいと思ってしまった。
月女神の意識が閉じると同時に、沙更が宿るセーナの身体に変化が現れた。完全に神の器を扱えるように、魔力量がもう一段とばかりに増えていく。既に人間が宿し得る魔力の量を遙かに超えていた。
神の器を持つだけに、魔力の量が既に人の数万倍に及んでいる。だが、そのくらいの魔力が無ければ光や闇の最上級魔法など扱うことが出来ない。古代魔法士でも、最上級魔法はかなり荷が重い代物であったから。
それに、古木で作られていたワンドが人工石であるスターサファイアロッドに格上げされていた。あまりの魔力がここに集まったからだろうか、材質まで変わっていたのだった。
そして、エーテルワンピースも闇のブレスの影響を受けた格好で、丈が伸びて黒のシンプルドレスに切り替わっていた。強いて言うなら、エーテルドレスだろう。
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