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古代遺跡の出来事
閑話2 辺境伯
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月の魔女とよばれるまで
閑話2 辺境伯
一方、少し戻って古代遺跡に降り落ちる巨大な光の刃が周囲から観測され、大騒ぎとなっていた。辺境伯領都ウエストエンドからでも、ディバインブレードのまばゆいほどの光が放たれたのを見ることが出来たからだ。
「あれだけの光の刃、あの古代遺跡に何があった?それにあの魔力は一体?」
余りの光に、いぶかしむ辺境伯。その姿を見つつも辺境伯の領軍の将軍が進言する。
「今回の事態を鑑み、あの遺跡を探索すべくいち早く偵察隊を組織いたしますか?」
「そうしてくれ、あれだけの光を放つ魔法など見たことがない。兵士たちを集め、偵察してくるんだ。何があったか事細かにな、頼むぞ」
領主の言葉に、将軍が頷く。辺境伯の領軍は、このところ盗賊退治すらしていないため練度が落ちていた。それでも、兵士たちから馬に乗れる者を選抜していった。
中隊レベルの偵察隊が組織され、開拓村の先にある古代遺跡へと急ぐために、全員騎馬を使う。それだけでもお金が飛んでいくのだが、辺境伯はそこに関しては気にもとめない。
偵察隊が出発するのを領主は見送るとあの光の刃に思いをはせていた。
(あれだけの光、扱える人間がいるとは・・・。もし、その人間を手に入れられればわしが侯爵になるのも夢ではない)
神の刃、ディバインブレード。それを扱える人間は、既に居なくなって久しい。それ故に、その力を欲するのも無理は無かった。それが、自身を破滅に追い込むことになると知らずに。
「あの光を生み出す魔法を使える人間を手に入れて、辺境から中央に返り咲いてやる。今まで、ここに縛り付けた奴らを叩き落として、叩き落とした分上ってやろうではないか」
出世欲が強い辺境伯は、これまでの侯爵に上がる機会を望んでいた。が、今まで功績を挙げられずにその機会を失ってきた為にそう思ってしまう。しかも付け届けなどをしているために、領民たちは飢えるぎりぎりのところだったりするのだから質が悪い。
出世ばかりにとりつかれ、領民をおざなりにしてしまっている時点で評判は地に落ちていた。今のままだとかなりまずいと言うことを領主本人が気づいていないというのは滑稽にしか見えない。
手段すら問わない時点で、人間として既に終わっていると言うのを求める人間から突きつけられることになるとも知らずに追い求めるのが滑稽と言わずして何というのだろう?
かくして、一人の貴族が力を望んだことで破滅することになるのだが、それはまた後の話。
閑話2 辺境伯
一方、少し戻って古代遺跡に降り落ちる巨大な光の刃が周囲から観測され、大騒ぎとなっていた。辺境伯領都ウエストエンドからでも、ディバインブレードのまばゆいほどの光が放たれたのを見ることが出来たからだ。
「あれだけの光の刃、あの古代遺跡に何があった?それにあの魔力は一体?」
余りの光に、いぶかしむ辺境伯。その姿を見つつも辺境伯の領軍の将軍が進言する。
「今回の事態を鑑み、あの遺跡を探索すべくいち早く偵察隊を組織いたしますか?」
「そうしてくれ、あれだけの光を放つ魔法など見たことがない。兵士たちを集め、偵察してくるんだ。何があったか事細かにな、頼むぞ」
領主の言葉に、将軍が頷く。辺境伯の領軍は、このところ盗賊退治すらしていないため練度が落ちていた。それでも、兵士たちから馬に乗れる者を選抜していった。
中隊レベルの偵察隊が組織され、開拓村の先にある古代遺跡へと急ぐために、全員騎馬を使う。それだけでもお金が飛んでいくのだが、辺境伯はそこに関しては気にもとめない。
偵察隊が出発するのを領主は見送るとあの光の刃に思いをはせていた。
(あれだけの光、扱える人間がいるとは・・・。もし、その人間を手に入れられればわしが侯爵になるのも夢ではない)
神の刃、ディバインブレード。それを扱える人間は、既に居なくなって久しい。それ故に、その力を欲するのも無理は無かった。それが、自身を破滅に追い込むことになると知らずに。
「あの光を生み出す魔法を使える人間を手に入れて、辺境から中央に返り咲いてやる。今まで、ここに縛り付けた奴らを叩き落として、叩き落とした分上ってやろうではないか」
出世欲が強い辺境伯は、これまでの侯爵に上がる機会を望んでいた。が、今まで功績を挙げられずにその機会を失ってきた為にそう思ってしまう。しかも付け届けなどをしているために、領民たちは飢えるぎりぎりのところだったりするのだから質が悪い。
出世ばかりにとりつかれ、領民をおざなりにしてしまっている時点で評判は地に落ちていた。今のままだとかなりまずいと言うことを領主本人が気づいていないというのは滑稽にしか見えない。
手段すら問わない時点で、人間として既に終わっていると言うのを求める人間から突きつけられることになるとも知らずに追い求めるのが滑稽と言わずして何というのだろう?
かくして、一人の貴族が力を望んだことで破滅することになるのだが、それはまた後の話。
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