月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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古代遺跡の出来事

第50話 地上に向けて14

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月の魔女とよばれるまで

第50話 地上に向けて14

隠し部屋には、一つ青銅で出来た宝箱が置いてあった。宝箱自体に変なところは無い。強いて言うと青銅と言うことで、あまり頑丈ではないだろうと思うくらいだろうか。

ミリアが宝箱を調べていくが、宝箱自体にトラップはなさそうだ。そのまま、鍵穴に触ろうとした時に宝箱からアラームが鳴り響いた。

鍵穴を見たら発動するタイプのトラップだったらしい。ミリアで厳しいとなると余程この宝箱に取られたくない物があったと言う仮定が成り立つ。

アラームが鳴り響き終えた後、現れたのはアイスジャイアント。Bランクモンスター上位であり、鋼鉄の武器をも弾く皮膚に氷の魔力を併せ持つ強敵である。5mほどの巨体を持ち、力強さすら感じさせるそんな身体の持ち主。

現れたと同時に、周囲を見渡して沙更を見ると目を見開いた。魔力の多さに驚いたらしい。そして、一番の障害が沙更だと気づき、一番に襲いかかってきた。

アイスジャイアントの行動をしっかり確認していた沙更は、ウィンドウォークをみんなにかける。何度も使った魔法は思うだけで唱えることが可能になっていた。古代詠唱を熟練したと言う証なのだろう。

沙更に迫るアイスジャイアントを邪魔をしたのは言うまでも無くミリアだった。

「氷の巨人かあ、今までのあたしなら完全に立ち向かう事なんて出来なかっただろうけど、今はね」

そう言いつつ、白の直刀を鞘から引き抜くと同時にアイスジャイアントの腕めがけて瞬速の抜き打ちを決める。鋼鉄でも切れない皮膚でも、白の直刀の切れ味はその防護をも貫通した。

刃渡り30センチの短剣なれど、その切れ味はまさに名剣級と言って良い。アイスジャイアントは、余りにもあっさり切られたことに驚きの表情を浮かべた。

しかし、ミリアが傷つけた部分はいくらもない。だが、その痛みにアイスジャイアントは身体に蓄えてある魔力を解き放った。氷の魔力はすぐさまブリザードとなって、沙更たちに襲いかかる。

それに対抗するように、沙更は光魔法ディヴァインベールで瞬時に防護幕を張り巡らす。ミリアよりも先頭に立ち、展開する光の防護幕と氷の嵐がぶつかり合うが、月女神の眷属の闇のブレスをも防御しきったディヴァインベールにブリザードが貫通するわけもなくみんなを守り切る。

魔力を使ってブリザードを引き起こしたアイスジャイアントは、その光景に目を丸くする。今までの侵入者は、ブリザードを受けて倒れていったが今回の侵入者はこれに耐えきったのだ。

「魔法ならば、私が押さえます。援護はしますけど、ミリアお姉さんお願いしても良いですか?」

「分かってる、セーナちゃんばっかりに任せないよ。後、ごめん支援お願い」

「分かりました。行きます、マイティアップ!」

沙更のマイティアップを受けたミリアが、動き出す。マイティアップを受けたミリアの速度は、下手なAランク冒険者よりも早い。盗賊系の職業だけに、速度だけならかなりのものだったからだ。

援護で、沙更がシャイニングアロー12本を瞬時に生み出して仕掛ける。光り輝く矢は、アイスジャイアントの皮膚を確実に削っていく。相手の再生能力ごと削り落としていくさまは、アイスジャイアントにとって恐怖であった。
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