月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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古代遺跡の出来事

第52話 地上に向けて16

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月の魔女とよばれるまで

第52話 地上に向けて16

ガレムが混ざったことにより、徐々にアイスジャイアントを押し始める。普通の鋼よりも硬度がある炭素鋼の斧の一撃は、アイスジャイアントにも打撃を与えていく。

「おらあ!!」

ガレムの力を込めた一撃が再度アイスジャイアントの足に決まる。さっきよりも更に深い傷を負わせているのは、ガレムが武器に慣れてきたからだろう。

徐々に、押されている事を感じているアイスジャイアントは自らが持つ氷の魔力を拳に乗せる。そして、放つは氷の波動だった。

氷の波動はミリアを巻き込み、沙更に向かってくる。が、それに光魔法ディヴァインベールで光の幕を張って防御する。徐々に押されるがそれでもディヴァインベールを貫通することはなかった。

巻き込まれたミリアが氷の魔力に囚われかけるも沙更のファイアーボールで瞬時に溶かしきって、事なきを得た。だが、流石に凍りで身体が冷えた事による能力の低下は避けられない。

そこに、沙更が新たな魔法を放つ。

「舞い上がれ風よ、踊れ炎よ。舞い上がる風に乗せ、炎を巻きちらせ。凍てつく地であれど、その炎に焼却できる物なし!行ってブレイズストーム!!」

中級風魔法エアブレードと中級炎魔法のファイアーウェーブを合成して、生み出したブレイズストームは瞬間的に摂氏1万度に上る炎の嵐を巻き起こした。

アイスジャイアントにとって、摂氏八千度以上の高温は身体を維持できる温度では無い。そして、身体が冷えたミリアにとってこの炎は冷えた身体を一気に熱していく。それ以上の熱は幻影の衣の魔力が遮断してくれていた。ある意味超高性能というしかない。他の防具に、この熱を逃がせるかと言えば無理だからだ。

余りの高温に、アイスジャイアントも耐えきれずに悲鳴を上げるが、その巨体を覆い尽くすようにブレイズストームがアイスジャイアントの全身を包み込む。

一分もしただろうか、そこには完全に焼き尽くされた巨人がいた。既に氷の魔力を使い果たし、焼却されていたのだった。完全に焼けた巨体が崩れ落ちるとそこに巨大な魔石が現れた。それを取るは、ガレムだった。

沙更はミリアの側に行き、傷の状態を確認するために声をかける。

「ミリアお姉さん、身体は大丈夫ですか?」

「うん、なんとかね。流石に無傷では倒せないとは思ったけど、沙更ちゃんとガレムにお任せしちゃった感じだったし、もう少し動けるようにならないとね。凍傷は大丈夫だと思うけど」

「ミリアお姉さん、無理はダメです。少しお節介ですけど、ヒール」

ミリアにヒールを唱える沙更。初級治癒魔法とは思えない程の効力を発揮し、ミリアが負った凍傷も細胞へのダメージも完全に修復していた。

「ったく、ミリア。お前、能力に負けすぎだぞ。一気に上がったからか身体が慣れてないだろ、もうちょっと慣らしな。それとセーナちゃん、援護ありがとうよ。久しぶりに良い相手に仕掛けられたからな。結構満足だぜ」

「ガレムさん、アイスジャイアントに炭素鋼の斧を振りがぶっている時の表情が喜んでましたね。いわゆるバトルジャンキーってところですか?」

「雑魚じゃ燃えねえ。でも、今回のアイスジャイアントだっけか?あいつはなかなか良かったな。それにしても、この斧結構すげえやつか?あの手の巨人族に鋼の斧なんて通用しないんだぜ!?でも、こいつは貫通しやがったしなあ。おもしれえ武器だって思った」

ガレムが手に持つ炭素鋼の斧に、今まで以上に力を預けられることに気付いたことから大分気に入ったようだ。魔力が使えないが硬く切れる。若干もろさも出てしまうが、それでもBランク上級のモンスターを相手にその硬い皮膚を貫通させることが出来るだけでも十分と言えた。
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