月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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古代遺跡の出来事

第57話 地上に向けて21

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月の魔女とよばれるまで

第57話 地上に向けて21

完全に浄化された古代遺跡に、モンスターは存在し得ないらしい。

地下三階層から地下二階層への階段が見つかるまでの間ウィンドウォークで加速しつつであったが一切気配を感じなかった。

完全に静まり返った遺跡は、ある意味恐さを感じさせる。だが、そんな様子もパウエル達には関係なかったようだ。

ぐぐうぅ…。不意に鳴るお腹の音。

最下層から歩き通しであったし、ミリアと沙更以外の三人は寝ては居ても食べてはなかったから、お腹がなるのも無理はない。

「ううっ、こんなところで鳴るなんて恥ずかしい」

どうやらお腹が鳴ってしまったのはヘレナであったらしい。ここらで一回休憩も悪くは無かった。

「まあ、流石に歩き疲れたか。セーナちゃんのおかげで、大分楽をしているがそれでもお腹は空くよなあ」

「もう、ガレム。そう言うことを言ってるとデリカシーがないって女の子に嫌われるよー」

「はあ!?俺にそんなのはいらねえ。俺が求めるのは猛者との戦いだけだぜ」

ミリアの突っ込みに、ガレムの脳筋ぽい返しがあり、それに沙更が笑う。何というか、沙更にとって二人の会話は友情を持つ二人の人間の本音が見えて面白かったのだ。そういう点、このメンバーには沙更は心を許せている気がしていた。

そうじゃなければ、自然に笑えていたりしない。結構そういうところで、精神的に張り詰めていたりすると笑顔が浮かぶこと等ないからだった。

パウエルも流石にお腹が減ってきていたのだろう。懐から干し肉を取り出していた。ガレムとヘレナもだ。ミリアと沙更は、三人が寝ている間に軽く干し肉での食事と水分補給を済ませていたから今回は身体を休めるだけにした。

三人は、干し肉の他に硬くなったパンを取り出した。それを見た沙更がこの世界での冒険者の食事事情が悪いのを再確認した。

(やっぱり、まともな食事をしようと考えたら自分で作るのが一番みたい。硬いパンに干し肉くらいだとどうしても栄養が偏るのは仕方が無いから)

沙更として、こういう食事ばかりでは栄養の問題も出てくる。少なくても自分の身体は特殊過ぎるから大丈夫だとは思うけれど、ミリアにおいしい食事はして欲しいと思う。それだけに、いろいろと考える必要があるなあと思っていた。

三人がもそもそと硬いパンと干し肉をかじっている間、沙更はミリアに話しかけていた。

「ミリアお姉さん、基本的に冒険者の方って料理しないんですよね?」

「材料を持ち歩けないから、干し肉や硬いパンみたいに日持ちする食品で食べていく感じかな。気になったの?」

「はい、私が一緒に居る間なら虚空庫がありますし、新鮮な食材をそのまま保存出来ますから、出来ればした方が良いのかなと思ったんです」

「うーん、出来ればそうできたら良いけどセーナちゃんの負担が大きいと思うから、やりたい時にってところかな?無理強いはしないからね」

ミリアはそう言う。下手に止めないのは、セーナの思いを大切にしているからだ。子供の言うことだからと軽くは受け取らないのが良いところである。やりたいと言う気持ちを大切にしてあげたいと言う気持ちの表れでもあった。
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