月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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領都へ

第95話 ゴブリン退治後3

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月の魔女とよばれるまで

第95話 ゴブリン退治後3

沙更が作り出した土レンガの家で、一晩を明かした。囚われていた女性達と少女二人は、今までの雑魚寝と違った柔らかい干し草を下に敷いて眠れたことで大分疲労を回復することが出来たようだった。

パウエルたちも、そのまま沙更に押し切られる形で部屋で眠ることが出来たようだった。

全員が起き上がった時には、沙更は葉野菜と干し肉のスープを作り上げていて、それを女性達や少女達二人にもふるまう。食が細くなっている人たちに、塩で作っておきながらそこまで濃く作っていない塩スープは飲みやすかったらしい。

おいしそうに食べてくれているのを見つつ、沙更としては、セーナの身体で料理をする回数が増える度に段々と思った通りに動いてくれるようになって来ている事をありがたく思う。実際で言うなら、徐々に沙更の思考がセーナの身体に馴染んできているのといつの間にか料理スキルを覚えていたことだろう。

沙更の現在のスキル自体、魔法士としては最高峰のスキルが並ぶ。体内魔力活性化小、古代詠唱、魔法創造、魔力障壁神、古代魔法士の英知の五つ。そのほかに、料理や治療士の心得、空間把握があった。

だが、魔法士として持っているこの五つは普通の魔法士ならば手に入れられない物ばかりのうえ、努力して手に入る物でも無い。魔法障壁自体は持っている魔法士も多いがそれでも強くて大であった。極も神も持っている魔法士はいない。そこまでスキルを育てられる冒険者はいないからだった。

そんなことを考えているとミリアが隣に座った。

「セーナちゃん、これからどうしようか?」

「ウェストエンドに行きたいところですけど、このまま皆さんを連れて行くわけにも行かないと思います。次の町辺りで、衛兵さんに頼むのが一番でしょうか?」

「それが一番かもね。どちらにしても、ずっと守り続けるのは難しいから」

冒険者四人で、守る相手が10人近く居るのは厳しいと言える。しかも、ここは大森林であり街道ではない。いつ、どこでモンスターや野獣に襲われるか分からないのだ。

現状の荒野の狼のランクはBランクに到達しているかもしれない。が、それでもBランクなのだ。下手なモンスターに出くわした場合に力負けしないとも限らないと言う微妙なバランスなのだ。

そういう点では、ゴブリンの巣を叩きつぶせたのも沙更の力が大きい。補助魔法と支援魔法が使える事、そして治癒魔法すら使いこなす魔法士は他にはほぼいないのだから。

「ある程度の範囲なら、探知の魔法で探れるとは思いますからいきなりの鉢合わせは回避できます」

「そういう点、セーナちゃんの魔法におんぶにだっこなんだけどね。あたしの気配察知よりも更に範囲が広いんだもの。でも、セーナちゃんにあたしがいるから安全と言えるんだろうけど」

沙更の探知の魔法とミリアの気配察知極、この二つが組み合わさっている時点で余程の速度で急接近されない限り、遭遇を回避できると言って良い。逆に言えば、この二人がいれば討伐モンスターを逃すと言うこともほぼ無いと言えた。
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