月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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外伝1 ミリアと白の直刀

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月の魔女とよばれるまで

外伝1 ミリアと白の直刀

土レンガの家で、沙更たちが眠りについた頃、ミリアは白の直刀に導かれて夢の中で会っていた。ミリアの夢の中でありながら、白の直刀が干渉した結果別時空になってしまっていたのは後の話。

「実体を現すと言うのはこういうことか、なかなかに面白い物よ」

「えっと、貴方は白の直刀の前の使い手さん?」

「お前がミリアだな。それと勘違いしているようだが、あの刀に前の使い手など存在しない。我は白の直刀そのものである。この夢の中限定で姿を現せるようになっただけのこと」

白い着流し姿の壮年の男性がそう言う。時代がかっているのは、沙更が作った時の思念が影響しているのだろう。ミリアから見て、動きにそつが無い上に隙を見いだすことが出来なかった。

「ほう、我の動きから隙が無いかどうかを確認したか。我を生み出した主から託された事はある」

ミリアの無意識の行動に気付いた白の直刀がそう言う。気を悪くしたかなとミリアは思うが、白の直刀は気にした様子すらなかった。

「我を扱うのならば、そのくらい出来て当然。いちいちその程度のことで苛立っていては我が侮られる。さて、主よりミリア殿を鍛えてくれと言われているが、それを受ける気はあるか?」

白の直刀からの申し出に、ミリアは頷く。現状のままでは、白の直刀を使いこなせているとは思っても居なかった。使っていて思ったのが、パウエルが使う剣技よりも白の直刀を使っての剣術の方が奥深いと直感していたのもあって素直に頷いていた。

「一応、ミリア殿には一昨日と昨日で居合いについては睡眠学習をして貰ってある。が、それ以外の流派についてもこれから学習して貰うことになろう」

「身体が勝手に動くなあと思ったけど、白の直刀の所為だったんだ。それでも、セーナちゃんを守るためだから仕方が無いかなと思ってたところだったんだ。ここが修行の場って事で良いの?」

「飲み込みが早くて助かるが、ミリア殿あまり鵜呑みにしすぎるのも危険であるぞ?まあ、この場で嘘を言ったところで意味も無かろうが」

そう言ってからからと笑う白の直刀。笑い終えると同時にミリアに鋭い目で見つめてきた。

「主が我を作り出した時に、異世界の剣術の粋もここに集められておる。それを貴女に受け取って貰わねばならん。が、ただとはいくまいのは分かって貰えよう」

「勝手に押しつけられても困っちゃうから、白の直刀がその考えで助かるかな。あたしも今全て使えるかと言えば怪しいと思っているし、稽古を付けてくれるのならありがたいと思っておかなきゃ損でしょう?」

「主が認める事はある。ミリア殿は面白い御仁じゃな」

白の直刀はそれだけを言うとミリアに向き合った。
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