月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

文字の大きさ
118 / 365
領都へ

第108話 古びた砦で2

しおりを挟む
月の魔女とよばれるまで

第108話 古びた砦で2

古びた砦の入り口から普通に入った沙更たちだったが、すぐ後ろにある鋼鉄の扉はかなりさび付いているらしく、開ける際に出るきしむ音がかなり大きい。その音が盗賊たちの聞こえないかとひやひやするけれど、そんな近くにはいないようで近寄ってくる気配が無い。

「かなり甲高い音が鳴ったのに、気付く様子がないですね。かなり奥に居ると思った方が良いのかも」

「そっちの方があたしたちに取っては好都合だけどね。それにしても、結構崩れたりしてるね」

古びた砦は、流石に老朽化が激しい。一部分崩れたりしているところがある。それでも、まだ使える辺りは作った当時に堅牢に造ったということなのだろう。

ミリアを先頭に、いつもの陣形を組みつつも先へと歩いて行く。見張りすらいないあたり、ここに攻め込まれることを排除しているとしか思えなかった。


その頃、盗賊たちは出て行った手下たちが戻ってこないことにようやく気付いた。

「おい、あいつら遅くねえか?」

「そう言えば、15人くらいで冒険者が4人くらいとか言ってなかったか?」

「たった四人の冒険者に返り討ちに遭ったって言うのか!?」

「もしかしたら、戦利品の女どもを味わってて遅いって落ちかもですが」

「それなら尚更絞めねえとダメじゃねえか!俺様より先に戦利品に手を付けるなと言ってあったよな!?」

盗賊の頭の怒気をはらんだ言葉に、手下達は冷や汗を流す。盗賊の頭は短気なだけに、怒らせたら手が付けられなくなる上に止められる人間がここには居なかった。

「まあいい、あいつらの状況をちょっと見てこい」

「一人で大丈夫ですかねえ?」

「ここに残ってるのが俺と他4人しか居ねえじゃねえか!!とっとと行ってこい!!」

盗賊の頭にどやされつつも一人の盗賊が出口に向かって動き始めた。


ミリアは、前から来る足音と気配に気付いて、パウエル達に知らせる。

「前から盗賊が一人、こっちに来るよ」

「で、どうすると言うほどのことも無い。始末するのが一番だろう」

ミリアの報告に、パウエルはあっさりとそう言った。実質、ここに盗賊退治に来ているのだから逃がすつもりは毛頭無い。それに、たった一人で出てくると言うのならそれは好都合と言う物だ。

前から来る盗賊をパウエル達は待ち伏せする。

盗賊が一人、鋼鉄の扉に近づいたところで異変に気付いた。

「扉が動かされてるだと!?まさか…」

そこまで言ったところで、後ろからパウエルの魔鉄の青い剣が振るわれる。魔鉄だけに、盗賊をあっさりと切り払った。物言わぬ屍になったところで、先を進む。

さらに、奥に歩いて行くがそれでも盗賊の姿はない。一番奥にいるのが確定となったところで、ミリアの気配察知に引っかかる部分を見つけた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜

たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

私の存在

戒月冷音
恋愛
私は、一生懸命生きてきた。 何故か相手にされない親は、放置し姉に顎で使われてきた。 しかし15の時、小学生の事故現場に遭遇した結果、私の生が終わった。 しかし、別の世界で目覚め、前世の知識を元に私は生まれ変わる…

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

処理中です...