月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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新たなる住処

第160話 孤児院の現状5

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月の魔女とよばれるまで

第160話 孤児院の現状5

ミリアに分けられる食料も無い時点で、孤児院の状況が最悪に等しいことを感じるしか無い。となれば、沙更の手持ちのお金を若干入れた方が良いだろうと判断する。

それに、今後のことも考えていろいろと対策を練らなければならなかった。いつまでもミリアに気をもませる訳にはいかない。それに、シスターヴァレリーもそれを望まないことを感じていたからだ。

だが、その前に自分たちの食事を作らなければならない。お腹が減ったままでは、良い知恵が浮かぶとは思えなかった。

「シスターヴァレリー、厨房はどこでしょうか?」

「まさか、セーナさんが調理をするのですか?」

「セーナちゃんの作るご飯は美味しいから、シスターヴァレリーも食べてみれば分かる」

沙更の料理は、下手な料理人顔負けの品だけにミリアがそう言うのも当然の話だった。ミリアが食にうるさいというわけではないのを知っているだけに、シスターヴァレリーはその反応に驚く。

ミリアに、そこまで言われる腕前が気になるのかシスターヴァレリーが厨房まで案内してくれることになった。孤児院の食事はすでに終えていたらしく、厨房に火は付いていなかった。

長く使っているだろう厨房は、ある程度の手入れをされていたが行き届いてはいなかった。

「古い厨房なので、使い勝手が悪いかもしれません」

シスターヴァレリーがそう言うが、沙更からしてみれば十分な設備を備えた厨房だった。ある程度の人数を賄う為に作られたであろう厨房は、かまどを二つ備え、小規模ながら焼窯も設置されている。

思っていたよりも設備が良かったことで、ここで料理をすることにした。

「これだけの設備なら、ここで作った方が良いと思うから使わせて貰えますか?」

沙更の言葉に、シスターヴァレリーは頷く。下手に他の場所でやるよりもこちらの方が良いと判断したのが本音だ。

許可が出たところで、沙更は鶏肉と卵に葉野菜を使ったすいとん汁を作ることにした。本当ならお腹一杯になる位の量を作りたいが、そこまで卵と鶏肉に余裕がない。

だが、鶏肉や葉野菜を煮込むことで、出汁を取りつつも塩で薄めの味付けをする事にした。元々、使っていた寸胴鍋に魔力で生み出した水をなみなみと入れて、鶏肉と葉野菜を投入。火は沙更の手から生み出した炎が鍋を温めていく。

その光景にシスターヴァレリーは、唖然としてしまっていた。ここまで魔力で調理をする人間は他にいなかったからだ。魔力で、調理をする人間自体が今はいなかったからと言うのもあって面くらってしまったのだ。

鍋の炎を制御しつつ、小麦粉を自ら生み出した水でこねていく。手の平大くらいに形を整えるとそれを何個も作っていくがその手際が素早いことに気づいた。

(これだけの手際で、料理を作れる五歳の子ってやはり凄いわね。うちの子達では同じことは出来ないと思うわ)

流石にここまで、出来るのならば関心するしかない。それだけ手慣れている証でもあるし、作るものも決まっているからと思ったのだ。
                
こね終えたタネを煮込んでいる鍋に投入。後は煮込むだけ。火加減は魔力で調整しつつも卵をあるだけ割って、溶いていく。

そこまでを大体十五分ほどで形にしていった。
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