月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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新たなる住処

第173話 ゴブリン退治の報告

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月の魔女とよばれるまで

第173話 ゴブリン退治の報告

いろいろと冒険者ギルドの上層部は、いろいろな問題を抱えているようだった。

「近隣の森のモンスターの討伐が滞っているのもある。そして、例の街道沿いの盗賊も捨て置くわけには行かない。そして、大森林でゴブリンが増加の一途を辿っていると報告が来ている。どれも手をこまねくわけには行かないのだ。済まないが、手を貸して貰えないか?」

ダイスの言葉に、ルーカも同じく頼み込んでくる。

「あの遺跡のクエストから生還してきたパウエルさんたちに、手伝って貰えれば多少なりともましになるはずなの。帰ってきたばかりで悪いのだけれど、助けて貰えないかしら?」

その言葉に、沙更を含めた五人は困った顔をした。そう、その三つの内の二つは既に解決済みだったからだ。大森林でのゴブリンロード討伐と街道沿いの盗賊退治は既にパウエル達が終わらせていたので、沙更が二人にその事を伝える。

「えっと、そのうちの二つもう解決しちゃってます」

「うん?それはどういうことだ!?」

「それってどういうこと?」

ダイスもルーカも首をかしげる。それもそのはず、両方共に報告が行っていないからだ。盗賊に関してはゼオンに確認を任せたこともあるため、報告されていない。ゴブリンロードに関しては、まだ居ると言う確証すら取れていない状態であった。

情報が遅れていることもあり、そういう点では冒険者ギルドは後手に回っていたのだ。もし、このままならばゴブリン達の大攻勢があった場合に避難が遅れることもあり得た。

「えっと、パウエルさん証拠品出した方が良いですか?」

「セーナちゃん、頼めるか?」

「分かりました。驚かれるとは思うんですけどね」

パウエルにそう言う沙更に、ダイスとルーカは更に怪訝な顔をするしかなかった。それも仕方の無い話で、虚空庫を知らないのならそう言う反応になるだろうと分かっていた。

沙更はパウエルの要請を受けて、虚空庫からゴブリンジェネラルやゴブリンロードの魔石を取り出す。その魔石を見たダイスとルーカが驚くのは当然のことであった。

「おい、いきなり魔石が出てきたぞって、こいつはゴブリンジェネラルとゴブリンロードの魔石だと!?まさか、お前達大森林を通って帰ってきたのか!!」

「ゴブリンロードって、ランクBの上級討伐クエスト対象じゃない。それを倒したって、どれだけ強くなっているのか確認させて欲しいわ」

ダイスもそうだが、ルーカが一番驚いていた。それもそのはず、元々パウエル達の受付をしていたのが彼女だったからつきあいも長い分腕も知っていた。それが、いきなりこんな上級モンスターを倒した証拠を出されては驚くだろう。

よく見るとパウエル達全員の装備が変更されているのが分かる。パウエルの鉄の剣が高価な魔鉄の剣になっていたし、前に装備していたラウンドシールドが無くなっていた。鉄製のハーフプレートを使っていたはずだが、それもなくなって見慣れない上着を着ているのだからある意味分かりやすいと言えた。
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