月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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新たなる住処

第175話 セーナの職業

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月の魔女とよばれるまで

第175話 セーナの職業

あまりにも驚かされすぎて、ダイスもルーカも一回荒野の狼のメンバー全員のステータス確認と職業確認をするべきだと感じた。

「こりゃ、武器だけじゃ無いな。防具もその上着か?妙に軽そうではあるが」

「魔力を感じるわ。もしかして、魔力で付与でもされているのかしら?」

ダイスよりもルーカが上着から魔力を感じ取ってそう問う。それに沙更が答えた。

「えっと、これもまた私が自分の魔力を糸にして紡ぎ上げた物です。ほぼ重さはありませんし、魔力の糸で作られているので対魔法にも強いです。防御力としては鋼鉄製のフルプレートアーマーを越えていたりします」

流石に、ガレムのジャケットの付与部分は言わない物の大体の部分を説明するとダイスもルーカも頭を抱えていた。魔力の糸というファクターと重さ無し、鋼鉄製のフルプレートアーマー以上の防御力に魔法にも強いとなれば大金をはたいても買いたいと言う冒険者がいて当然だった。

「武器よりも防具の方がぶっ飛んでやがるな。てか、俺が現役だったら確実に欲しがったと思うぜ」

「てか、現役の冒険者には話せませんね。確実に欲しいって言われるのが分かりきっていますし、セーナちゃんに押しかけるのが目に見えていますから」

そんなダイスとルーカを見て、沙更は納得した顔をした。ヘレナが言った通りであったから、でも作ったことに後悔はしていなかった。

そんな沙更を見つつもダイスとルーカは呆れた顔をしていた。

「はあ、そんな装備に変わっているとなれば確実に羨ましいって思われると思うぞ。特にミリアはだが」

「でしょうねえ。重い鎧を着込んで、動きを制限してまで守りを固めている冒険者にとっては垂涎の的でしょうし、これは漏らせませんね」

二人はそう言って、これは聞かなかったことにしてくれるようだ。どちらにしろ、ばれたとして作れるかと言えば沙更的にないなのだが。

「っと、話がずれまくったがそろそろセーナちゃんの職業とお前達のステータスの確認だな」

「セーナちゃんの職業はどれになるのかしらね。多分、途方もないものが出てくるのでしょうけれどそれも楽しみなのよね」

ダイスは淡々としたものだが、ルーカのテンションが若干上がってきているのを沙更は感じて、苦笑を浮かべてしまう。確かに、魔力が途轍もなく高いことから職業もそれに準じて凄いのが出てくることが予想されるだけに、ルーカがわくわくしているのがなんとなく分かってしまった。

そうして、ルーカが差し出した職業確認用の水晶に触るとその魔力に感応して沙更の職業を感知した。そのまま、水晶に浮かび上がる職業数は5つ。

5つも浮かび上がったことで、ダイスもルーカも驚くしか無い。そのうちの二つは今は表示されてはいなかった。表示されている三つはエルダーウィッチ、プリエステス、ワンダーシェフ。

一つ目は、魔女の上位職であり長老の名を冠するエルダーウィッチ。攻撃魔法系のウィザード系ではないところが、沙更らしいとも言える。補助や付与、薬物などの知識も豊富に持つ老練な魔女と言えば、侮る冒険者はいないだろう。

二つ目のプリエステスは女教皇、教会の最高位に与えられる役職である。光属性や治癒魔法だけではなく、対悪魔や魔族に対する攻撃と防御も併せ持つ偉大なる職業。

三つ目のワンダーシェフは、料理人として凄腕である称号が職業になった形だ。料理に対する腕前、知識がトップクラスである事の証明。食の求道者と側面も持つ。

その結果に、ダイスもルーカも驚きを通り越して完全に固まっていた。そもそも冒険者一人に5つも職業が現れるなんて言うことはない。多くても三つであり、しかも隠されていると言う事は水晶でも見通せないほどの物ということになるからだ。

「おいおい、出てきた職業三つとも最上級職業じゃねえか。プリエステスなんて、教会に知られれば事だぞ!?」

「それに、最初のエルダーウィッチも相当な職業ですよ。ウィッチは分かりますけど、エルダーってどういう意味です?」

ルーカに問われ、沙更はエルダーの意味を答えた。

「エルダーは、長老の意味を込めます。ただの魔女ではなく、老練な魔女って考えて貰えればなんとなく想像は出来るかと思います」

答えを聞いた二人は、余りの凄さにため息をつく。二人の想像を超えてしまっていたようだ。

「はあ、最上級職三つなんて前代未聞だわ。本当に、セーナちゃんは超大型新人ね」

「だな。普通なら、良くても剣士とか治癒師とか魔導士程度なのによ。最上級三つは突き抜けすぎてるぞ」

そう言う二人よりも、パウエル達の方が職業については納得してしまっていた。

「何というか、もの凄く納得だよね。いろいろと助けて貰ってばかりだし、セーナちゃんがいたからあたしたちはここにいるわけだし」

「あれだけの補助魔法を使いこなす時点で、普通の魔法士は超えている。ウィザードかと思ったが、ウィッチ系とは柔軟性が高いと言うべきか?」

「それに、プリエステスだとよ。あれだけの治癒魔法使うんだから、納得するしかねえよな」

「ワンダーシェフもあれだけの料理を塩だけで作ってくれるのだもの。なっていて当然と言うか、むしろ納得してしまったわ。それにしても、職業5つは凄すぎるわね。どれだけの才能が眠っているのかしら」

四人して、沙更の職業に頷きつつもいろいろと話をしていく。

一人、当事者として沙更は苦笑を浮かべざるを得ない。本当にとんでもない状態らしいと言うのは納得したが、ここまでとは本人も思っていなかったからだ。

(セーナちゃんの魂と私、沙更の魂が合わさって月女神様の器を持っていることもあってこの世界としては多分突き抜けてしまっているんだろうけれど、ここまでとは思ってなかったなあ)

神の器を宿す身として、人の物差しだと突き抜けてしまっていた。
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