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新たなる住処
第196話 しばしの休息
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月の魔女とよばれるまで
第196話 しばしの休息
ミストヘイムのセリエがルーカと話をしている頃、荒野の狼の面々は沙更と一緒に遅い昼ご飯にしていた。
厨房をどこかに借りると言う事が出来る場所が孤児院にしか無かったため、シスターヴァレリーに無理を言って厨房を貸して貰っての調理だった。
孤児院での調理はこれが二回目。しかも、前回よりも明らかに食材が増えているだけに、沙更の腕のふるい所であった。
今回のご飯は干し肉と葉野菜にジャガ種のシチューと蒸し上げたジャガ種に塩バターを落とした物。通称ジャガバターだ。
ジャガ種自体、芽の毒の所為でそこまで食べられては居なかった。が、沙更は芽の毒を知っているだけにくり抜いて調理をすることでその毒を回避していて、蒸気を使って蒸すことにより雑菌すら殺菌出来ていた。
パンよりもこちらの方が温かくて、おいしいだろうと作り上げたのだが、においもその分良くて孤児達が集まってくることになろうとは予想もしていなかった。
「えっと、相当良いにおいだったかな?」
「孤児院の中でこの匂いはちょっとまずかったかもね。でも、おいしそうなのは分かって来てると思うんだ」
沙更が困ったように言うとミリアも苦笑を浮かべざるを得ない。実際買ってきたジャガ種自体は30個程度、今回全部蒸している訳では無いので、そこまで数が無い。五人で食べるように12個くらいを蒸しただけでそれ以上を作っていなかった。
孤児達が厨房に行くのを見て、シスターヴァレリーも察したようだ。孤児達を制するために一緒に来ていた。
「ごめんなさいね、ここまでお腹を空かしているとは思ってなかったの」
「多少買い物が出来たので、昨日よりは食材があるので大丈夫です。それと、シスターヴァレリーに後で私とミリアお姉さんから話があります」
先に、シスターヴァレリーにそれだけ伝えておく。どちらにしろ、お腹が減っているのはミリア達も孤児達も一緒だ。こうなったら、出来る限り孤児達にもご飯を作ってあげた方が良いだろうと思った。
葉野菜と干し肉の問題はない。牛乳にバターもかなりの量があるだけに大丈夫だ。そうなったら、ミリアに目配せする。ここで、この料理を作れるのは沙更だけだ。
なぜか、料理に関してはこの世界の食糧事情の問題もあるのだろうが複雑な料理はまず存在せず、シチューとかもない。煮込み料理もそこまで調味料が無いのもあるのだろうが、それにしても少なかった。
「パウエルさん、ガレムさん、ヘレナさん。ごめんなさいちょっと追加しますね」
「こうなったら仕方が無いだろう」
「まあ、俺たちの分はあるんだろ?なら、セーナちゃんの気の済むようにすれば良いぜ」
「孤児達にお預けをさせるのはよろしくありませんから、セーナちゃんの負担になってしまいますけどこちらは気にせずに」
三人の許可も取ったところで、シチューの追加に取りかかる。
「みんなの分を作るから少し待っていてください」
沙更はそう言うと急ピッチで料理を作っていく。その手際が余りにも早いので、孤児達はもちろん一回見ていたシスターヴァレリーも驚きの表情を浮かべていた。
「うわー、すげえー」
「流石にこれまでの手際を見ていて思うけれど、手際が良さ過ぎるわね」
そう言われつつも作業を続け、所々に魔法を使う。そうでもしないと全然追いつかないからだ。
第196話 しばしの休息
ミストヘイムのセリエがルーカと話をしている頃、荒野の狼の面々は沙更と一緒に遅い昼ご飯にしていた。
厨房をどこかに借りると言う事が出来る場所が孤児院にしか無かったため、シスターヴァレリーに無理を言って厨房を貸して貰っての調理だった。
孤児院での調理はこれが二回目。しかも、前回よりも明らかに食材が増えているだけに、沙更の腕のふるい所であった。
今回のご飯は干し肉と葉野菜にジャガ種のシチューと蒸し上げたジャガ種に塩バターを落とした物。通称ジャガバターだ。
ジャガ種自体、芽の毒の所為でそこまで食べられては居なかった。が、沙更は芽の毒を知っているだけにくり抜いて調理をすることでその毒を回避していて、蒸気を使って蒸すことにより雑菌すら殺菌出来ていた。
パンよりもこちらの方が温かくて、おいしいだろうと作り上げたのだが、においもその分良くて孤児達が集まってくることになろうとは予想もしていなかった。
「えっと、相当良いにおいだったかな?」
「孤児院の中でこの匂いはちょっとまずかったかもね。でも、おいしそうなのは分かって来てると思うんだ」
沙更が困ったように言うとミリアも苦笑を浮かべざるを得ない。実際買ってきたジャガ種自体は30個程度、今回全部蒸している訳では無いので、そこまで数が無い。五人で食べるように12個くらいを蒸しただけでそれ以上を作っていなかった。
孤児達が厨房に行くのを見て、シスターヴァレリーも察したようだ。孤児達を制するために一緒に来ていた。
「ごめんなさいね、ここまでお腹を空かしているとは思ってなかったの」
「多少買い物が出来たので、昨日よりは食材があるので大丈夫です。それと、シスターヴァレリーに後で私とミリアお姉さんから話があります」
先に、シスターヴァレリーにそれだけ伝えておく。どちらにしろ、お腹が減っているのはミリア達も孤児達も一緒だ。こうなったら、出来る限り孤児達にもご飯を作ってあげた方が良いだろうと思った。
葉野菜と干し肉の問題はない。牛乳にバターもかなりの量があるだけに大丈夫だ。そうなったら、ミリアに目配せする。ここで、この料理を作れるのは沙更だけだ。
なぜか、料理に関してはこの世界の食糧事情の問題もあるのだろうが複雑な料理はまず存在せず、シチューとかもない。煮込み料理もそこまで調味料が無いのもあるのだろうが、それにしても少なかった。
「パウエルさん、ガレムさん、ヘレナさん。ごめんなさいちょっと追加しますね」
「こうなったら仕方が無いだろう」
「まあ、俺たちの分はあるんだろ?なら、セーナちゃんの気の済むようにすれば良いぜ」
「孤児達にお預けをさせるのはよろしくありませんから、セーナちゃんの負担になってしまいますけどこちらは気にせずに」
三人の許可も取ったところで、シチューの追加に取りかかる。
「みんなの分を作るから少し待っていてください」
沙更はそう言うと急ピッチで料理を作っていく。その手際が余りにも早いので、孤児達はもちろん一回見ていたシスターヴァレリーも驚きの表情を浮かべていた。
「うわー、すげえー」
「流石にこれまでの手際を見ていて思うけれど、手際が良さ過ぎるわね」
そう言われつつも作業を続け、所々に魔法を使う。そうでもしないと全然追いつかないからだ。
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