月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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新たなる住処

第195話 ウエストエンドの森の危険性の報告

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月の魔女とよばれるまで

第195話 ウエストエンドの森の危険性の報告

荒野の狼による救援が成功し、ウエストエンドの冒険者ギルドに戻ってきたミストヘイムのメンバー。行って数時間で戻ってくることになるとは思っても無かったが、それでも森の状況を伝えるために戻ってきたことは有用だったと思う。

どちらにしろ、今のウエストエンドの森は危険すぎる。Cランクモンスターが群れをなしている時点で、Cランク冒険者の自分たちの力量ではかなり厳しいと言うのを実感せざるを得なかったからだ。

本当なら、領主の軍勢も率いての人海戦術までやらねばどうにか出来るかも怪しい。

ウエストエンドが壊滅ともなれば、開拓村と王都を遮断されることになる。それに、それだけのモンスターを今の王国の兵で対処しきれるかは分からなかった。

ミストヘイムが戻ってきたことを知ったルーカがまず出迎えた。

「荒野の狼のメンバーに救援に向かって貰ったけど無事だったのね」

「あの森は変容してしまっていた。森の中程から少し行ったくらいでCランクモンスターデスハウンドの群れに襲われて、彼らのおかげで生きて帰ってきただけだ」

セリエとしては、もうちょっとなんとかなるはずだと思っていた。自分たちの力量はよく分かっていたからだ。だが、森の難易度は彼女達の目測よりも更に上だった。それだけだ。

ルーカは、それを聞きつつもかなり難易度が上がっていることに気付いた。森の中程でCランクモンスターが群れをなしているのなら奥はどれほどの魔境になっているのか、想像も付かないくらいだ。

それでも、聞いたことをダイスに報告するのがルーカの役目で知恵を絞るのも役目だった。が、今回は流石に良い案が浮かばない。

これだけの規模になっていると誰も予想していなかっただけに、このままではかなりまずいと言うのはすぐに分かる。それでもそれに対処出来るだけの冒険者がいなかった。

(せめて、Aランクの冒険者が居てくれれば…)

そう思ったルーカを誰が責められるだろう?数年前なら、Aランク冒険者も数人居たのだから。

「あれ?そう言えば、荒野の狼の方々は?」

「後輩達はお腹が減ったと言っていた。多分、食堂に行っているのではないか?」

「そういえば、余りにも急にお願いしてしまったので皆さんの都合を考えていませんでした」

「ルーカさん、あいつらは凄く強くなったな。何というか、もの凄い理不尽を覆してきたようなそんな感じがした」

神官戦士として、試練を乗り越えたことはセリエとしてもある。が、沙更とミリアたちが経験したレベルでは無い。あれは完全なる理不尽であったから。

そんなセリエを見ていて、ルーカは少しだけミリアたちが強くなった理由の一部を教えた。

「あのクエストは、本当ならAランク冒険者でも死ぬ可能性が高いものだったわ。パウエルさん達はそれで死ぬのを覚悟したそうよ。だけど、ミリアさんが助けを呼ぶために動いたことでセーナちゃんを見つけることが出来た。その縁で、強くなったって言ってたわ」

「もの凄い魔力を扱うあの子、セーナちゃんと言うのか…。いろいろと世話になってしまった」

沙更の事を思い浮かべつつ、セリエはそう言う。あそこでパーティーが壊滅していたとしてもおかしくはなかった。少なくても鎧戦士と自分は仲間を助けるために命を捨てたはずだ。

それがこうやって生き残っていることを不思議に思いつつも、強くなる機会でもあることを自覚する。

「後輩に任せてばかりでは先輩の名が廃るな。ならば、少しでも力になれるようにするべきだろう」

「セリエさんは流石に強いですね。女性として憧れてしまいます」

「可愛げも無い女だぞ?だが、そう言ってくれるのは嬉しい」

ルーカの言葉に少しばかり笑みを浮かべたセリエだが、それでも思い返すのは沙更の魔法だった。

「あの子の魔法は、普通の魔法じゃ無い。ルーカさんは何か知っているか?」

「私からは詳しくは言えないけれど、あの子は多分魔法士で最高峰の力を持つとだけね。どちらにしろ、今回のこともあの子が鍵な気がするわ」

「だろうな。あの子が瘴気を抑える結界を張ってくれていなければ、ウエストエンドも瘴気に包まれるまでそこまで時間が無かったと言っていたよ」

セリエの言葉に、ルーカは目を丸くする。瘴気を浄化することは今の人間には出来ない。それが出来たのは古代魔法だけで、今の魔法士に扱うことは出来ない。それの例外が沙更だった。
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