月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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新たなる住処

第198話 孤児院の重病人7

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月の魔女とよばれるまで

第198話 孤児院の重病人7

シスターヴァレリーに渡された金貨10枚は、孤児院の困窮脱却の足がかりになる金額であった。少なくても、これで食料や衣料品は買いに行ける。そのお金すらギリギリだったのだから、かなり危険な状態だったと言って良い。

少なくてもこれでしばらくは大丈夫だろうと思うミリア。だが、沙更はこの時点で次の資金が必要なことに気付いていた。そう、領主からの税金である。

それで無くても、教会と国の関係は余り良くは無い。それだけに、中央部分の端とは言え古い城壁内のこの土地が手に入るのならば、手を打ってくる可能性が高かった。

下手すれば、ここの土地を手に入れて転売と言う事もあり得る。しかも、ここの土地を安く手に入れられればその分儲けも大きい。出来れば、売る相手は辺境伯の息が掛かった組織であれば尚更だ。

少なくても、辺境伯の集金システムである盗賊を叩きつぶした事で他で資金をかき集めようとする事は想像できた。それだけに、再度の資金が必要になる。

実際それですら、沙更が受け取る報酬から捻出する事を決めていた。

どちらにしろ、ここの領地が良くならない限りは焼け石に水かなと思いつつも口には出さない。そういう点ではリエットやジークにも話をしなければと思う。このままだとウエストエンドよりもクルシスの方が住みやすいと言う事になる。

それに、人口減少が続けば城塞都市としての役割を果たせなくなる可能性すら出てきていた。そうなってくれば、領地を治められていないと言う事で、辺境伯としての地位を失うことになる。

そうなる前に、どうやっても侯爵に上がろうとする可能性があるだけにかなりの危険をはらむ形になるのが問題と言えば問題だ。

森のこともあるが、領地としての問題がかなり山積みになってしまっている。一冒険者の沙更が口を出すことではないのだが、このままを継続されては口も出さざるを得ない状況になるのは明白だった。

「うーん、もの凄く問題が山積みなんですけれどどうしましょうか?」

「なんか、セーナちゃんにいろいろと頼んでばかりでもの凄く申し訳ないなと思う。巻き込んでばかりでごめんね」

「ミリアお姉さんが謝る事じゃないと思います。どちらにしろ、領主の問題になっちゃうと思うので」

ミリアの言葉に、沙更は首を振る。問題の本質は孤児院の経営が厳しいのは辺境伯が変わって税金が上がったことに起因しているからだ。

ウエストエンド自体、暗い雰囲気なのは重い税金の為だと推測していた。

それを頭の片隅に置きつつ、作ったシチューを病人の彼女の所に持っていく。今や綺麗になった隔離部屋で寝ている彼女の食事だった。本当なら、ジャガ種を蒸かしても良かったがそれよりもシチューの方が食べやすいだろうと思いそちらにしたのだ。

部屋に行くと彼女が丁度目を覚ましたところだった。朝からこの時間までぐっすり眠れたことで、大分体力が回復してきていることに内心ほっとしていた。

彼女の顔色も大分良くなってきていた。そろそろ食事が必要になると思って、持ってきたのがタイミングが良かったと言える。
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