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フィリエス家の内情と戦
第249話 孤児院での迎撃戦3
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月の魔女とよばれるまで
第249話 孤児院での迎撃戦3
探知魔法を孤児院内に張り巡らせたところで、そろそろ夜が近い。刺客が来るのなら、真夜中だろうと沙更は踏んでいた。
そんな沙更を見つつ、ミリアは古い知り合いの顔を思い浮かべる。闇ギルドの長の事だ。探査のスキルを一から仕込んでくれた師匠であり、唯一の親戚であった。
「セーナちゃん、明日時間貰える?」
「ミリアお姉さんがそう言うのなら、誰かに会って欲しいのですか?」
「あたしの親戚で師匠にね。流石に、立場が立場だから引き取れないってことでここに居たけど技だけは教えてくれたんだ」
ミリアがそう言うと沙更は頷く。そうこうしていると日が暮れてきた。夜が来れば、襲撃までそこまで時間は無い。そうなってくると先にきっちりと栄養補給する必要がある。
「今日の夕食は私が作りましょう。と言っても蒸かし芋ですけど」
「思ったけど、セーナちゃんは料理に精通しすぎ。ワンダーシェフなのは分かるけど、いろいろと知らないことを知ってるから凄いよね」
ミリアの言葉に首をかしげる沙更。何というか、別に計算したわけでも無く狙ったわけでも無いからだ。ジャガ種が食べられていなかったのには驚いたが。
どちらにしろ、この国はいろいろと知識が遅れていると沙更は思う。とそんなことを考えていられる当たり、真面目に襲撃されると言う前提で動いているのが嘘のようだ。
ジャガ種を蒸かし、塩とバターを落とす。それに葉野菜と根菜のサラダに、朝作った手作りドレッシングで味付け。油は植物油と塩、レモネで作るあっさりタイプの手作りドレッシングだ。
それに、買ってきておいた牛乳を虚空庫から取り出しておく。手軽だけれどもそれなりの栄養を取れる状態にはしてあった。
「生野菜にそう言うのを使うって初めて見たよ」
「この世界の材料で作った手作りドレッシングです。あっさり気味だから、食べやすいかなと」
「セーナちゃんの凄さだよな。これだけの手間で野菜がおいしく食べられる」
「野菜が苦手な奴でもこれなら食える奴もいるかもな」
「確実に食に変化をもたらしているわよね。ジャガ種をこんなにおいしくいただけるのは、この孤児院くらいだもの。孤児達もお気に入りになっちゃってるわ」
元々ジャガ種は毒芋の扱いであったため、手に入れること自体は容易であったし、栽培も簡単な事から安価で手に入るものであった。それを主食に出来るようになったことで、孤児院の食費は大分浮くことになる。
この孤児院に、かなりの変化が出てきている。エリシアのこともそうだが、沙更が来た事で食事の質も量もかなり増えて行っている。前に比べれば飢えている孤児はここには居ない。
そういう点でも食事面で大分改善が進んできている証だった。
食事を終え、軽く湯浴みをすると夜も大分更けてきた。
昼に、孤児院に張り巡らせた探知システムはこの世界の警備としては完全に過剰で、沙更の知る世界でもかなり警備がしっかりしていると言って良い。
入っただけで、居場所を把握されてしまうと言う時点でかなりの念の入れようと思って良い。と言うか、警戒するにしてもそこまではやらないと思われるからだ。
第249話 孤児院での迎撃戦3
探知魔法を孤児院内に張り巡らせたところで、そろそろ夜が近い。刺客が来るのなら、真夜中だろうと沙更は踏んでいた。
そんな沙更を見つつ、ミリアは古い知り合いの顔を思い浮かべる。闇ギルドの長の事だ。探査のスキルを一から仕込んでくれた師匠であり、唯一の親戚であった。
「セーナちゃん、明日時間貰える?」
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「思ったけど、セーナちゃんは料理に精通しすぎ。ワンダーシェフなのは分かるけど、いろいろと知らないことを知ってるから凄いよね」
ミリアの言葉に首をかしげる沙更。何というか、別に計算したわけでも無く狙ったわけでも無いからだ。ジャガ種が食べられていなかったのには驚いたが。
どちらにしろ、この国はいろいろと知識が遅れていると沙更は思う。とそんなことを考えていられる当たり、真面目に襲撃されると言う前提で動いているのが嘘のようだ。
ジャガ種を蒸かし、塩とバターを落とす。それに葉野菜と根菜のサラダに、朝作った手作りドレッシングで味付け。油は植物油と塩、レモネで作るあっさりタイプの手作りドレッシングだ。
それに、買ってきておいた牛乳を虚空庫から取り出しておく。手軽だけれどもそれなりの栄養を取れる状態にはしてあった。
「生野菜にそう言うのを使うって初めて見たよ」
「この世界の材料で作った手作りドレッシングです。あっさり気味だから、食べやすいかなと」
「セーナちゃんの凄さだよな。これだけの手間で野菜がおいしく食べられる」
「野菜が苦手な奴でもこれなら食える奴もいるかもな」
「確実に食に変化をもたらしているわよね。ジャガ種をこんなにおいしくいただけるのは、この孤児院くらいだもの。孤児達もお気に入りになっちゃってるわ」
元々ジャガ種は毒芋の扱いであったため、手に入れること自体は容易であったし、栽培も簡単な事から安価で手に入るものであった。それを主食に出来るようになったことで、孤児院の食費は大分浮くことになる。
この孤児院に、かなりの変化が出てきている。エリシアのこともそうだが、沙更が来た事で食事の質も量もかなり増えて行っている。前に比べれば飢えている孤児はここには居ない。
そういう点でも食事面で大分改善が進んできている証だった。
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昼に、孤児院に張り巡らせた探知システムはこの世界の警備としては完全に過剰で、沙更の知る世界でもかなり警備がしっかりしていると言って良い。
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