月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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フィリエス家の内情と戦

第253話 孤児院での迎撃戦7

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月の魔女とよばれるまで

第253話 孤児院での迎撃戦7

暗殺者の一人を生け捕りにしつつ、縄で縛って動けなくする。一応、ガレムにボディチェックをして貰って居る間に、沙更とミリアは孤児院に侵入しようとしている暗殺者の一人を見つけて急行する。

孤児院の窓を割って侵入しようとしていた所を見つかってしまったことに、暗殺者の一人は舌打ちをする。そこまで大きい音では無かったが、それを聞かれるとは思っていなかったのだ。

(この音で気付かれるだと!?)

ある意味動揺を隠せないが、近づいてきたのが少女と幼女の二人と分かるや腰に忍ばせていた大型ナイフで仕掛けてくる。不意打ちは出来ないだけに、正面からとなる。となれば、その動きにミリアが対応できないわけが無い。

白の直刀を呼び出すと同時に暗殺者を迎え撃つ。暗殺者の大型ナイフとミリアの白の直刀が交錯する。甲高い金属音が鳴り響いたと思ったら、暗殺者が持っていた大型ナイフの刀身が切れてしまっていた。

余りのことに、暗殺者が驚きの表情を浮かべた瞬間にミリアの回し蹴りが胸元に命中。その一撃で孤児院の壁に叩きつけられた暗殺者が意識を失っていた。

「暗殺者の割には練度が低い気がするかな」

「ミリアお姉さんが強いだけだと思いますよ?やっぱり、白の直刀は鋼鉄位じゃ切り捨ててしまいますね。流石の切れ味としか言えません」

「セーナちゃんの補助全開だから、このくらいは出来ないとね。やっぱりこの人達の動きってあたしの動きの劣化版なんだとつくづく思うよ」

「御庭番は、暗殺者よりも上位の職業ですからそう思うのかもです。どちらにしろ、見回りはしないと」

沙更はそう言うと同時に暗殺者の一人が屋根から侵入しようとしているのを探知する。壁を蹴上がってもそこに行くには時間が掛かる。その間に入られては事だ。

「ミリアお姉さん、屋根の上をお願いできますか?」

「いるってこと?なら、任されたよ。セーナちゃんは?」

「私は、ガレムさんの所に戻ります。一人でもなんとかなりますけど、心配させるのも良くありませんから」

沙更の言葉に、ミリアは頷く。一人で動いても大丈夫だとは思うが、それはそれ。余り危険なことをして欲しいとは思わない。だから、その言葉にちょっとほっとしていた。

エアウォークの力も借りつつ、一気に壁を走って上っていくミリア。それを見送ってから、沙更はガレムの所へと戻っていった。

屋根に上がったミリアは、沙更が言っていた暗殺者をあっさりと発見する。下は警戒しているようだが、横は警戒していないらしい。まだまだ甘いと言うしか無かった。

(本当に、動きが甘い。暗殺者としてもそこまでの力量は無いのがよく分かる)

足音を立てずとも高速で動くミリアの動きに、気付くのが遅れた暗殺者は目をむいていた。
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