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フィリエス家の内情と戦
第276話 冒険者ギルドの苦悩
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月の魔女とよばれるまで
第276話 冒険者ギルドの苦悩
リエットの父親が子爵領にて兵を挙げ、ウエストエンドに向かっている事は数日で知れ渡った。その事を受け、カタリーナは辺境伯として動かなければならない。だが、そのうちの騎士や兵士の半分はリエットの父親側に寝返っていた。
かなりの金子を使い、懐柔していたのだ。その事が分かり、カタリーナは表情を変える。
(あの人はこの領地を滅ぼすつもりなのね。ならば、わたくしの意地として迎え撃つのみ)
昔から、こうするつもりだったのだと感づいたとも言う。そこで、腹が決まった。簡単にこの領地を明け渡すことはしないと。
確かに重税を課していたことで、領内の作物の生産量は落ちていた。モンスターもはびこっている状況下で、人間の戦争をすると言うことがどこまでの事態を引き起こすかは想像も付かない。
(民達に謝らなければならないわ。こんな時に、人間同士で戦うことになるなんて)
だが、寝返らなかった騎士たちはこの領の古参。そして、あのガーゼルベルトの近衛として付き従っていた騎士たちであった。騎士ゼオンもその一人だった。
(あの男は、カタリーナ様を何処まで悲しませるのだ)
ゼオンとして、そこだけは許すことが出来ない。リエットのこともある。辺境伯の部下として、貴族の末席としてリエットの父親を許すことは出来なかった。
そして、ウエストエンドの冒険者ギルドも動いていた。戦争は回避出来ないのは、既に掴んでいた。それだけに、対応をどうするかでギルドマスターのダイスとルーカがギルドマスターの部屋でもめていたのだ。
「辺境伯に喧嘩を売るか、あのぼんぼんは馬鹿なのか?」
「ギルドマスターにそう言われてしまう時点で、あの方も終わったなと思いますよ」
「ルーカ、それ俺の評価も混ざってないか?」
「それを言うなら、もうちょっとしっかりしてください。私の仕事量分かって言ってます?」
ダイスの言葉に、ルーカが怒ったようにそう言う。元々、ダイスがルーカに甘えている形だけに、言い返すことが出来ない。言葉に詰まったところで、ルーカが困った表情をした。
「今回の戦は、カタリーナ様が不利と言われています。兵力差は5倍以上。堅牢と言われるウエストエンドの城壁でも持ちこたえられるかどうか」
「だが、ここで持ちこたえられなければこの町はどうなる?最悪の事態を想定する必要すらあるだろう」
「だから、困っているんです。下手に参加して欲しいと言えませんし、今ようやく立て直してきているんですよ?」
冒険者ギルドも元サブギルドマスターの汚職で、かなりの被害を受けていた。パウエル達がBランクに上がった事で、大分仕事を回せるようになってきていたがそれでもまだまだやることが多い。
そんなときに、戦争となってしまえば優秀な冒険者を死なせてしまうかも知れない。それが一番怖かったのだ。
そこに、いきなりギルドマスターの部屋の扉が開いた。開けたのはミストヘイムの面々だ。
「聞いたよ。あたしらは戦争に参加するって決めている。後輩達もそうだろう」
「余り行かせたくないです。確かに、この町を守りたい気持ちは分かります。けれど…」
「ルーカ、貴女の気持ちは分かるけれどここで出なければ意味が無いよ」
セリエがそこまで言ったところで、沙更とパウエル達もそこに現れる。
「やっぱり先輩達に先を越されたか」
「セリエさんの事ですから、ミストヘイムのみなさんも参加なんですか?」
「まあ、この町失ったらしゃれにならねえからなあ」
「少なくても大混乱は確定でしょうし、少しでも役に立てないとね」
「どちらにしろ、セリエさんたちもパウエルさんたちも死なせません。もう、私の目の前で死なせないって決めてますから」
既に、荒野の狼としての意思疎通は終わっていた。ミストヘイムも同じ結論だろうとギルドマスターの部屋に来たのだが、先に行かれてしまったと言う事のようだった。
第276話 冒険者ギルドの苦悩
リエットの父親が子爵領にて兵を挙げ、ウエストエンドに向かっている事は数日で知れ渡った。その事を受け、カタリーナは辺境伯として動かなければならない。だが、そのうちの騎士や兵士の半分はリエットの父親側に寝返っていた。
かなりの金子を使い、懐柔していたのだ。その事が分かり、カタリーナは表情を変える。
(あの人はこの領地を滅ぼすつもりなのね。ならば、わたくしの意地として迎え撃つのみ)
昔から、こうするつもりだったのだと感づいたとも言う。そこで、腹が決まった。簡単にこの領地を明け渡すことはしないと。
確かに重税を課していたことで、領内の作物の生産量は落ちていた。モンスターもはびこっている状況下で、人間の戦争をすると言うことがどこまでの事態を引き起こすかは想像も付かない。
(民達に謝らなければならないわ。こんな時に、人間同士で戦うことになるなんて)
だが、寝返らなかった騎士たちはこの領の古参。そして、あのガーゼルベルトの近衛として付き従っていた騎士たちであった。騎士ゼオンもその一人だった。
(あの男は、カタリーナ様を何処まで悲しませるのだ)
ゼオンとして、そこだけは許すことが出来ない。リエットのこともある。辺境伯の部下として、貴族の末席としてリエットの父親を許すことは出来なかった。
そして、ウエストエンドの冒険者ギルドも動いていた。戦争は回避出来ないのは、既に掴んでいた。それだけに、対応をどうするかでギルドマスターのダイスとルーカがギルドマスターの部屋でもめていたのだ。
「辺境伯に喧嘩を売るか、あのぼんぼんは馬鹿なのか?」
「ギルドマスターにそう言われてしまう時点で、あの方も終わったなと思いますよ」
「ルーカ、それ俺の評価も混ざってないか?」
「それを言うなら、もうちょっとしっかりしてください。私の仕事量分かって言ってます?」
ダイスの言葉に、ルーカが怒ったようにそう言う。元々、ダイスがルーカに甘えている形だけに、言い返すことが出来ない。言葉に詰まったところで、ルーカが困った表情をした。
「今回の戦は、カタリーナ様が不利と言われています。兵力差は5倍以上。堅牢と言われるウエストエンドの城壁でも持ちこたえられるかどうか」
「だが、ここで持ちこたえられなければこの町はどうなる?最悪の事態を想定する必要すらあるだろう」
「だから、困っているんです。下手に参加して欲しいと言えませんし、今ようやく立て直してきているんですよ?」
冒険者ギルドも元サブギルドマスターの汚職で、かなりの被害を受けていた。パウエル達がBランクに上がった事で、大分仕事を回せるようになってきていたがそれでもまだまだやることが多い。
そんなときに、戦争となってしまえば優秀な冒険者を死なせてしまうかも知れない。それが一番怖かったのだ。
そこに、いきなりギルドマスターの部屋の扉が開いた。開けたのはミストヘイムの面々だ。
「聞いたよ。あたしらは戦争に参加するって決めている。後輩達もそうだろう」
「余り行かせたくないです。確かに、この町を守りたい気持ちは分かります。けれど…」
「ルーカ、貴女の気持ちは分かるけれどここで出なければ意味が無いよ」
セリエがそこまで言ったところで、沙更とパウエル達もそこに現れる。
「やっぱり先輩達に先を越されたか」
「セリエさんの事ですから、ミストヘイムのみなさんも参加なんですか?」
「まあ、この町失ったらしゃれにならねえからなあ」
「少なくても大混乱は確定でしょうし、少しでも役に立てないとね」
「どちらにしろ、セリエさんたちもパウエルさんたちも死なせません。もう、私の目の前で死なせないって決めてますから」
既に、荒野の狼としての意思疎通は終わっていた。ミストヘイムも同じ結論だろうとギルドマスターの部屋に来たのだが、先に行かれてしまったと言う事のようだった。
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