月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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フィリエス家の内情と戦

第277話 11人の勇士

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月の魔女とよばれるまで

第277話 11人の勇士

冒険者パーティーミストヘイムと荒野の狼は、この町を守る為に戦争に荷担する事に決めていた。この町を失ったら友人達や知り合いを失ってしまう。彼らを守る為にも、この町を守り切る必要があった。

ルーカとしては内心嬉しかったが、それでも心配であった。

「この町のナンバーワンとナンバーツーのパーティーが戦争に参加するのはこの町で育った私だから嬉しい。だけど、死んでしまったらどうにもならない。だから、死なないで」

「ルーカさん、大丈夫です。そこは私の役目。治癒士として、そして古代魔法士としてパウエルさん達とセリエさんたちは必ず生還させます」

ルーカの心配に、沙更がその心配を打ち消すようにそう言う。沙更の存在はそういう点でも、特異であった。あれだけの治癒魔法を使いこなし、そして攻撃魔法等も使いこなせるのだから。

むしろ、その事に信頼を寄せている二つのパーティーだからこそと言える。

「セーナちゃんばかりに無茶はさせない。俺たちで守るさ」

パウエルがそう言ったところで、更に人がやってきた。そう、辺境伯の使者であるジークだった。

「貴方方に参加して貰えるとは思っていませんでした。良いのですか?まだ引き返せますよ」

最後の忠告と言ったところだろうが、それには既に及ばない事を沙更は理解していた。ミリアがそれを望むのならば、助けると決めたからだった。

「ジークさん、最後の忠告だとは思いますが私たちはもう決めたのです。後戻りをするつもりはありません」

「ならば、カタリーナ様の所へ案内するとしよう。わしに付いてくると良い」

ジークは、既に戦支度を済ませていた。ミスリルのブロードソードにミスリルのフルプレートアーマーを着込んでいる当たりは、元高ランク冒険者として慣らしていた証である。

その装備を見て、セリエたちは若干の憧れと羨ましさを感じたようだ。対照的に、パウエルたちはその装備にあこがれは無いらしい。そこは、やはり自分の今の武器が自分の力量相応だと分かっているからだろう。

実際、ミスリルの武器防具とパウエル達の装備で劣るのはパウエルとガレム、ヘレナの武器だけ。防具ならほぼ同等ラインであり、重さがない分こちらが有利と言えなくもない。

強いて言うならば、ミリアの白の直刀はミスリルの武器よりも上のランクの代物である。準神具と言う当たりがどれだけの力を持つかは言わずもがなであった。

セリエたちとパウエルたちがカタリーナ側で参戦したことにより、相手との兵力差がほぼ無くなったことを意味する。

沙更の力がそれだけ強力であるという証であり、光の最上級魔法を扱いこなせると言う事がどれだけの衝撃を与えることになるかまさに計り知れないところがあった。
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