299 / 365
フィリエス家の内情と戦
第277話 11人の勇士
しおりを挟む
月の魔女とよばれるまで
第277話 11人の勇士
冒険者パーティーミストヘイムと荒野の狼は、この町を守る為に戦争に荷担する事に決めていた。この町を失ったら友人達や知り合いを失ってしまう。彼らを守る為にも、この町を守り切る必要があった。
ルーカとしては内心嬉しかったが、それでも心配であった。
「この町のナンバーワンとナンバーツーのパーティーが戦争に参加するのはこの町で育った私だから嬉しい。だけど、死んでしまったらどうにもならない。だから、死なないで」
「ルーカさん、大丈夫です。そこは私の役目。治癒士として、そして古代魔法士としてパウエルさん達とセリエさんたちは必ず生還させます」
ルーカの心配に、沙更がその心配を打ち消すようにそう言う。沙更の存在はそういう点でも、特異であった。あれだけの治癒魔法を使いこなし、そして攻撃魔法等も使いこなせるのだから。
むしろ、その事に信頼を寄せている二つのパーティーだからこそと言える。
「セーナちゃんばかりに無茶はさせない。俺たちで守るさ」
パウエルがそう言ったところで、更に人がやってきた。そう、辺境伯の使者であるジークだった。
「貴方方に参加して貰えるとは思っていませんでした。良いのですか?まだ引き返せますよ」
最後の忠告と言ったところだろうが、それには既に及ばない事を沙更は理解していた。ミリアがそれを望むのならば、助けると決めたからだった。
「ジークさん、最後の忠告だとは思いますが私たちはもう決めたのです。後戻りをするつもりはありません」
「ならば、カタリーナ様の所へ案内するとしよう。わしに付いてくると良い」
ジークは、既に戦支度を済ませていた。ミスリルのブロードソードにミスリルのフルプレートアーマーを着込んでいる当たりは、元高ランク冒険者として慣らしていた証である。
その装備を見て、セリエたちは若干の憧れと羨ましさを感じたようだ。対照的に、パウエルたちはその装備にあこがれは無いらしい。そこは、やはり自分の今の武器が自分の力量相応だと分かっているからだろう。
実際、ミスリルの武器防具とパウエル達の装備で劣るのはパウエルとガレム、ヘレナの武器だけ。防具ならほぼ同等ラインであり、重さがない分こちらが有利と言えなくもない。
強いて言うならば、ミリアの白の直刀はミスリルの武器よりも上のランクの代物である。準神具と言う当たりがどれだけの力を持つかは言わずもがなであった。
セリエたちとパウエルたちがカタリーナ側で参戦したことにより、相手との兵力差がほぼ無くなったことを意味する。
沙更の力がそれだけ強力であるという証であり、光の最上級魔法を扱いこなせると言う事がどれだけの衝撃を与えることになるかまさに計り知れないところがあった。
第277話 11人の勇士
冒険者パーティーミストヘイムと荒野の狼は、この町を守る為に戦争に荷担する事に決めていた。この町を失ったら友人達や知り合いを失ってしまう。彼らを守る為にも、この町を守り切る必要があった。
ルーカとしては内心嬉しかったが、それでも心配であった。
「この町のナンバーワンとナンバーツーのパーティーが戦争に参加するのはこの町で育った私だから嬉しい。だけど、死んでしまったらどうにもならない。だから、死なないで」
「ルーカさん、大丈夫です。そこは私の役目。治癒士として、そして古代魔法士としてパウエルさん達とセリエさんたちは必ず生還させます」
ルーカの心配に、沙更がその心配を打ち消すようにそう言う。沙更の存在はそういう点でも、特異であった。あれだけの治癒魔法を使いこなし、そして攻撃魔法等も使いこなせるのだから。
むしろ、その事に信頼を寄せている二つのパーティーだからこそと言える。
「セーナちゃんばかりに無茶はさせない。俺たちで守るさ」
パウエルがそう言ったところで、更に人がやってきた。そう、辺境伯の使者であるジークだった。
「貴方方に参加して貰えるとは思っていませんでした。良いのですか?まだ引き返せますよ」
最後の忠告と言ったところだろうが、それには既に及ばない事を沙更は理解していた。ミリアがそれを望むのならば、助けると決めたからだった。
「ジークさん、最後の忠告だとは思いますが私たちはもう決めたのです。後戻りをするつもりはありません」
「ならば、カタリーナ様の所へ案内するとしよう。わしに付いてくると良い」
ジークは、既に戦支度を済ませていた。ミスリルのブロードソードにミスリルのフルプレートアーマーを着込んでいる当たりは、元高ランク冒険者として慣らしていた証である。
その装備を見て、セリエたちは若干の憧れと羨ましさを感じたようだ。対照的に、パウエルたちはその装備にあこがれは無いらしい。そこは、やはり自分の今の武器が自分の力量相応だと分かっているからだろう。
実際、ミスリルの武器防具とパウエル達の装備で劣るのはパウエルとガレム、ヘレナの武器だけ。防具ならほぼ同等ラインであり、重さがない分こちらが有利と言えなくもない。
強いて言うならば、ミリアの白の直刀はミスリルの武器よりも上のランクの代物である。準神具と言う当たりがどれだけの力を持つかは言わずもがなであった。
セリエたちとパウエルたちがカタリーナ側で参戦したことにより、相手との兵力差がほぼ無くなったことを意味する。
沙更の力がそれだけ強力であるという証であり、光の最上級魔法を扱いこなせると言う事がどれだけの衝撃を与えることになるかまさに計り知れないところがあった。
0
あなたにおすすめの小説
クゥクーの娘
章槻雅希
ファンタジー
コシュマール侯爵家3男のブリュイアンは夜会にて高らかに宣言した。
愛しいメプリを愛人の子と蔑み醜い嫉妬で苛め抜く、傲慢なフィエリテへの婚約破棄を。
しかし、彼も彼の腕にしがみつくメプリも気づいていない。周りの冷たい視線に。
フィエリテのクゥクー公爵家がどんな家なのか、彼は何も知らなかった。貴族の常識であるのに。
そして、この夜会が一体何の夜会なのかを。
何も知らない愚かな恋人とその母は、その報いを受けることになる。知らないことは罪なのだ。
本編全24話、予約投稿済み。
『小説家になろう』『pixiv』にも投稿。
『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。
さらさ
恋愛
これはゲームの中の世界だと気が付き、自分がヒロインを貶め、断罪され落ちぶれる悪役令嬢だと気がついた時、悪役令嬢にならないよう生きていこうと決める悪役令嬢が主人公の物語・・・の中のゲームで言うヒロイン(ギャフンされる側)に転生してしまった女の子のお話し。悪役令嬢とは関わらず平凡に暮らしたいだけなのに、何故か王子様が私を狙っています?
※更新について
不定期となります。
暖かく見守って頂ければ幸いです。
【完結済】悪役令嬢の妹様
紫
ファンタジー
星守 真珠深(ほしもり ますみ)は社畜お局様街道をひた走る日本人女性。
そんな彼女が現在嵌っているのが『マジカルナイト・ミラクルドリーム』というベタな乙女ゲームに悪役令嬢として登場するアイシア・フォン・ラステリノーア公爵令嬢。
ぶっちゃけて言うと、ヒロイン、攻略対象共にどちらかと言えば嫌悪感しかない。しかし、何とかアイシアの断罪回避ルートはないものかと、探しに探してとうとう全ルート開き終えたのだが、全ては無駄な努力に終わってしまった。
やり場のない気持ちを抱え、気分転換にコンビニに行こうとしたら、気づけば悪楽令嬢アイシアの妹として転生していた。
―――アイシアお姉様は私が守る!
最推し悪役令嬢、アイシアお姉様の断罪回避転生ライフを今ここに開始する!
※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>
既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
追放された万能聖魔導師、辺境で無自覚に神を超える ~俺を無能と言った奴ら、まだ息してる?~
たまごころ
ファンタジー
王国一の聖魔導師アレンは、嫉妬した王子の策略で「無能」と断じられ、国を追放された。
辿り着いた辺境の村で、アレンは「ただの治癒師」として静かに暮らそうとするが――。
壊れた街を再生し、疫病を一晩で根絶し、魔王の眷属まで癒しながら、本人はただの村医者のつもり。
その結果、「あの無能が神を超えた」と噂が広がり、王と勇者は頭を抱えることに。
ざまぁとスカッとが止まらない、無自覚最強転生ファンタジー開幕!
黒豚辺境伯令息の婚約者
ツノゼミ
ファンタジー
デイビッド・デュロックは自他ともに認める醜男。
ついたあだ名は“黒豚”で、王都中の貴族子女に嫌われていた。
そんな彼がある日しぶしぶ参加した夜会にて、王族の理不尽な断崖劇に巻き込まれ、ひとりの令嬢と婚約することになってしまう。
始めは同情から保護するだけのつもりが、いつの間にか令嬢にも慕われ始め…
ゆるゆるなファンタジー設定のお話を書きました。
誤字脱字お許しください。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
退屈令嬢のフィクサーな日々
ユウキ
恋愛
完璧と評される公爵令嬢のエレノアは、順風満帆な学園生活を送っていたのだが、自身の婚約者がどこぞの女生徒に夢中で有るなどと、宜しくない噂話を耳にする。
直接関わりがなければと放置していたのだが、ある日件の女生徒と遭遇することになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる