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フィリエス家の内情と戦
第287話 戦後の後始末2
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月の魔女とよばれるまで
第287話 戦後の後始末2
辺境伯軍が勝利を収めて二日後、沙更たちは冒険者ギルドでリエットとジークと話をする格好となっていた。既に、父親であった簒奪者アランはガーゼルベルトの手により討たれたことで、無事依頼を達成した格好となったからだ。
が、この時既にカタリーナの元には古代遺跡のさらに奥からモンスターの氾濫が起こっていることを知らせる伝令も着いていたことで、その情報をギルド側に伝える場でもあったようだ。
「開拓村側にある古代遺跡のさらに奥からモンスターの氾濫の兆候があると言われるか!?」
「カタリーナ様の元には、既に伝令からの情報が伝わった。その時点で、それが事実だと言うことになる。だから、それに向けて冒険者ギルドでも手助けを頼む」
余りにも衝撃的な情報に、ジークの言葉を信じ切れずに居たダイスだがそこは腐ってもギルドマスターだけにエンシェントゲートの冒険者ギルドの出張所とのやりとりを密にすることを決めた。ルーカもその決定に頷いて、実務者同士での話し合いに入る。
そんなバタバタした状態の中、リエットが沙更に話しかけて来た。
「幼い治癒士様、お母様も治して貰ってわたくしを護衛して貰ったお礼にもならないけれど、幾ばくかのお金とこの証を受け取ってください」
そう言って、リエットが差し出したのは大金貨2枚とフィリエス家の紋章が入った小さい勲章だった。その勲章は、フィリエス家がこの人物の後見をしていると言う証であり、後ろ盾になると言う意思表示でもあった。
沙更は、流石に勲章を見てその意図を理解した。だけど、カタリーナにしろリエットにしろ出来る事をしただけだから首をかしげてしまう。その姿を見て、リエットは悲しそうな表情を浮かべるがその姿に気付いたミリアが口を挟んだ。
「セーナちゃん、この勲章に自分の働きが値しないって思ってない?」
「私は自分に出来る事をしただけです。お金に関しては事前にそう言うお約束でしたから受け取りますけど、そこまでのことをした覚えはないのです」
沙更の言葉に、リエットは驚いてしまう。カタリーナの不調は、異世界からの悪魔の呪いであった。それだけに、現代の魔法士では対処することが出来ずに、死を待つだけだったのだ。
それをあっさりと失伝していたはずの解呪の魔法を使いこなし、宮廷治癒師でも使うことが出来ない上級の治癒魔法まで使って貰ったのだ。本当ならば、大金貨2枚なんて金額で収まるものではなく、それ以上の報酬を出さねばならないほど。
この時点で、リエットやカタリーナの常識と沙更の常識がずれていることを示していた。そもそも、古代魔法士の知恵と魔法を受け継いでいる時点で唯一無二の存在になっていることに気付いていないのだから。
身分の事もあるし、沙更としてリエットがここまで言うのなら押し返すのは止めようと決めた。そもそも、お節介を焼いたからここにリエットは居る。世話を焼いたお返しならば、受け取らなければならないと。
「幼い治癒士様、貴女のおかげでわたくしもお母様も救われました。今できるお礼がこれくらいしか出来ません。でも受け取って欲しいのです」
「リエット様、貴族の貴女が平民の私に頭を下げてはいけません。ですが、その勲章受け取らせていただきます。でも、無闇には使いません。本当に困った時だけにします」
カタリーナの気持ちも入っている事に気付きつつもそう返す。貴族は、謀略の世界に生きている。平民は巻き込まれれば死を覚悟しなければならない。だが、この勲章があればその謀略にも対応できる可能性があった。それだけに、本当に困った時だけ手を借りますと暗に伝えた格好になる。
貴族と言えど、沙更の膨大な魔力に勝てるとすればほんの一握りだろうから。
第287話 戦後の後始末2
辺境伯軍が勝利を収めて二日後、沙更たちは冒険者ギルドでリエットとジークと話をする格好となっていた。既に、父親であった簒奪者アランはガーゼルベルトの手により討たれたことで、無事依頼を達成した格好となったからだ。
が、この時既にカタリーナの元には古代遺跡のさらに奥からモンスターの氾濫が起こっていることを知らせる伝令も着いていたことで、その情報をギルド側に伝える場でもあったようだ。
「開拓村側にある古代遺跡のさらに奥からモンスターの氾濫の兆候があると言われるか!?」
「カタリーナ様の元には、既に伝令からの情報が伝わった。その時点で、それが事実だと言うことになる。だから、それに向けて冒険者ギルドでも手助けを頼む」
余りにも衝撃的な情報に、ジークの言葉を信じ切れずに居たダイスだがそこは腐ってもギルドマスターだけにエンシェントゲートの冒険者ギルドの出張所とのやりとりを密にすることを決めた。ルーカもその決定に頷いて、実務者同士での話し合いに入る。
そんなバタバタした状態の中、リエットが沙更に話しかけて来た。
「幼い治癒士様、お母様も治して貰ってわたくしを護衛して貰ったお礼にもならないけれど、幾ばくかのお金とこの証を受け取ってください」
そう言って、リエットが差し出したのは大金貨2枚とフィリエス家の紋章が入った小さい勲章だった。その勲章は、フィリエス家がこの人物の後見をしていると言う証であり、後ろ盾になると言う意思表示でもあった。
沙更は、流石に勲章を見てその意図を理解した。だけど、カタリーナにしろリエットにしろ出来る事をしただけだから首をかしげてしまう。その姿を見て、リエットは悲しそうな表情を浮かべるがその姿に気付いたミリアが口を挟んだ。
「セーナちゃん、この勲章に自分の働きが値しないって思ってない?」
「私は自分に出来る事をしただけです。お金に関しては事前にそう言うお約束でしたから受け取りますけど、そこまでのことをした覚えはないのです」
沙更の言葉に、リエットは驚いてしまう。カタリーナの不調は、異世界からの悪魔の呪いであった。それだけに、現代の魔法士では対処することが出来ずに、死を待つだけだったのだ。
それをあっさりと失伝していたはずの解呪の魔法を使いこなし、宮廷治癒師でも使うことが出来ない上級の治癒魔法まで使って貰ったのだ。本当ならば、大金貨2枚なんて金額で収まるものではなく、それ以上の報酬を出さねばならないほど。
この時点で、リエットやカタリーナの常識と沙更の常識がずれていることを示していた。そもそも、古代魔法士の知恵と魔法を受け継いでいる時点で唯一無二の存在になっていることに気付いていないのだから。
身分の事もあるし、沙更としてリエットがここまで言うのなら押し返すのは止めようと決めた。そもそも、お節介を焼いたからここにリエットは居る。世話を焼いたお返しならば、受け取らなければならないと。
「幼い治癒士様、貴女のおかげでわたくしもお母様も救われました。今できるお礼がこれくらいしか出来ません。でも受け取って欲しいのです」
「リエット様、貴族の貴女が平民の私に頭を下げてはいけません。ですが、その勲章受け取らせていただきます。でも、無闇には使いません。本当に困った時だけにします」
カタリーナの気持ちも入っている事に気付きつつもそう返す。貴族は、謀略の世界に生きている。平民は巻き込まれれば死を覚悟しなければならない。だが、この勲章があればその謀略にも対応できる可能性があった。それだけに、本当に困った時だけ手を借りますと暗に伝えた格好になる。
貴族と言えど、沙更の膨大な魔力に勝てるとすればほんの一握りだろうから。
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