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フィリエス家の内情と戦
第286話 辺境伯領に迫る闇の足音
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月の魔女とよばれるまで
第286話 辺境伯領に迫る闇の足音
冒険者ギルドで、ルーカと沙更たちが会話をしている頃、辺境伯の屋敷でカタリーナはとある報告を受けていた。見つけた古代遺跡のさらに奥からモンスターの群れがこちらに押し寄せてきていると言うのだ。しかも、大半がCランクモンスター以上と言う。
今は、まだ古代遺跡よりも奥だが数日中には開拓村を飲み込むだろうと推測されていた。
現状で、対抗策はほぼ無いと言って良い。頼みの兵士や騎士たちもアランの切り崩しと戦のおかげで半数以下。とてもじゃないが防衛出来ると言えない状況だった。
「一難去ってまた一難ですか」
「今の辺境伯領の兵力では、モンスターに対応しきれません。王都に応援を要請せねばなりますまい」
「すんなり国王が応援を出してくれれば良いのだけれど、それは高望みというものでしょう」
カタリーナとしては、アランに殺されると言う未来を回避出来たがここが死に場所だと言うことに気付いていた。どちらにしろ、辺境伯領で抑えきれるとは思えない。
モンスターの氾濫は、ここ二十年起きていなかった。前の氾濫時には、伯父が死にものぐるいで戦ってなんとか九死に一生を得たと話してくれたのを思い出せるかくらいだ。
それに、二十年前とは違い伯父は既にここに居ない。そして、強かった騎士たちも既に引退していたりして氾濫経験者もかなり減っていた。
そうなってくれば、カタリーナに出来る事はリエットを逃がすことくらい。母親として出来る事はそのくらいしか残っていない。出来れば、もう少し側に居てやりたかったと思う。
せめて、出来る事と言えば時間稼ぎくらいが関の山。だけど、その時間が少しでも生かされるのならと思わずに居られない。
「戦が終わったばかりなのに、今度はモンスター。ここは本当に退屈しないわ」
「カタリーナ様…」
「あの人に殺されなかっただけでも助かったと思うべきなの。今度はわたくしの番というだけ。でも、領民を一人でも多く助ける手助けにはなるわ」
既にカタリーナの頭には、打って出る事以外の選択肢は無かった。ウエストエンドでの籠城戦も出来なくはないが、空を飛べるモンスターすらいる状態で効果がどれだけあるかが読めないだけに、踏み切るわけにもいかない。
この報告を受けてすぐにカタリーナはジークを呼んだ。
「ジーク、貴方はリエットを守ってあげて」
「奥様、死にに行かれるつもりか?」
「報告書は、貴方も見たでしょう?今の辺境伯領に残る兵力で、あれだけのモンスターを相手取ったら二日持たせられれば御の字。それ以上は持たせられないわ。それに、わたくしは辺境伯。部下だけに死ににいけなんて言えるわけがないでしょう」
カタリーナはそこまで言うとジークは頷くしかなかった。カタリーナが既に死ぬ事を決めていると言うことに気付いてしまったから。
(奥様はここで死ぬ気か、これだけの数を相手取れば生きて帰れぬと判断するのも当然。なれば、わしもお嬢様のことを万全にする必要があろう)
ジークとしても、カタリーナ一人死にに行かせるわけにはいかないと考えていた。その際リエットを誰に託せるかと言えば、思い浮かぶのはあの五人だった。
第286話 辺境伯領に迫る闇の足音
冒険者ギルドで、ルーカと沙更たちが会話をしている頃、辺境伯の屋敷でカタリーナはとある報告を受けていた。見つけた古代遺跡のさらに奥からモンスターの群れがこちらに押し寄せてきていると言うのだ。しかも、大半がCランクモンスター以上と言う。
今は、まだ古代遺跡よりも奥だが数日中には開拓村を飲み込むだろうと推測されていた。
現状で、対抗策はほぼ無いと言って良い。頼みの兵士や騎士たちもアランの切り崩しと戦のおかげで半数以下。とてもじゃないが防衛出来ると言えない状況だった。
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モンスターの氾濫は、ここ二十年起きていなかった。前の氾濫時には、伯父が死にものぐるいで戦ってなんとか九死に一生を得たと話してくれたのを思い出せるかくらいだ。
それに、二十年前とは違い伯父は既にここに居ない。そして、強かった騎士たちも既に引退していたりして氾濫経験者もかなり減っていた。
そうなってくれば、カタリーナに出来る事はリエットを逃がすことくらい。母親として出来る事はそのくらいしか残っていない。出来れば、もう少し側に居てやりたかったと思う。
せめて、出来る事と言えば時間稼ぎくらいが関の山。だけど、その時間が少しでも生かされるのならと思わずに居られない。
「戦が終わったばかりなのに、今度はモンスター。ここは本当に退屈しないわ」
「カタリーナ様…」
「あの人に殺されなかっただけでも助かったと思うべきなの。今度はわたくしの番というだけ。でも、領民を一人でも多く助ける手助けにはなるわ」
既にカタリーナの頭には、打って出る事以外の選択肢は無かった。ウエストエンドでの籠城戦も出来なくはないが、空を飛べるモンスターすらいる状態で効果がどれだけあるかが読めないだけに、踏み切るわけにもいかない。
この報告を受けてすぐにカタリーナはジークを呼んだ。
「ジーク、貴方はリエットを守ってあげて」
「奥様、死にに行かれるつもりか?」
「報告書は、貴方も見たでしょう?今の辺境伯領に残る兵力で、あれだけのモンスターを相手取ったら二日持たせられれば御の字。それ以上は持たせられないわ。それに、わたくしは辺境伯。部下だけに死ににいけなんて言えるわけがないでしょう」
カタリーナはそこまで言うとジークは頷くしかなかった。カタリーナが既に死ぬ事を決めていると言うことに気付いてしまったから。
(奥様はここで死ぬ気か、これだけの数を相手取れば生きて帰れぬと判断するのも当然。なれば、わしもお嬢様のことを万全にする必要があろう)
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