月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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最終章 目覚める神

第289話 冒険者ギルドとして

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月の魔女とよばれるまで

第289話 冒険者ギルドとして

 冒険者として氾濫に立ち向かうのならば、リエットを側に置いておくわけには行かない。下手すれば死なせてしまうし、守り切れるとも思えなかった。

 今回の件は、下手すればパウエル達ですら危ういと思っておいた方が良いと沙更は直感的にそう思っていた。なぜそう思ったのかは分からない。だが、それほどに強い敵が現れる予感がしていたからだ。

 胸騒ぎと言うべきなのかは分からない。だが、沙更の中で警鐘が鳴った感じがした。

 そんな沙更の表情に気付いたミリアが沙更の顔をのぞき込む。

「セーナちゃん、大分表情が硬くなってるよ。もしかして、今回の件で何か感じてる?」

「はい。何故かは分かりませんが、もの凄く嫌な予感がします」

 沙更の答えに、ミリアはピンと来るものがあった。何というか、今回の一件確実に裏に自分たちを知る誰かがいると考えたからだ。となれば、ミリアに出来る事をするだけ。元々、セーナを守る為にいろいろと力を引き出して貰っていたりするのだから。

 そう話をしているとギルドマスターのダイスとルーカの二人が戻ってきた。ジークの話とエンシェントゲートの冒険者ギルド支部からの情報を確認するのに時間が掛かったらしい。

「かなりまずい状況だな。Aランク冒険者のパーティーが数組は必要なくらいのモンスターの数だと言う話だ」

 ダイスは、確認できた情報からそう口を開いた。開拓村までの到達日時が思ったよりも早くなりそうだからだ。既に古代遺跡付近までモンスターの集団は近づいてきているらしい。

 開拓村にも徐々に被害が広がっているらしく、冒険者ギルドにも救援要請が入っているとのこと。だが、エンシェントゲートの冒険者ギルド支部で派遣できる冒険者は一番上でもDランク。Cランクモンスターが徘徊している状況下では派遣することも出来ない。

 それに、下手に派遣してエンシェントゲートを落とされてしまっては事なので、救援要請を受けられない状況なのだと伝えられたのだと言う。

「今回は引退した俺も現地へ行く。ルーカにここを任せるつもりだ」

「流石に、ギルマスを行かせるしかないわ。それに、パウエルさん達も一緒に行くのでしょう?」

 ダイスが行く気満々なのは、ようやく自分も身体を動かせるチャンスでありきちんと救援に来たと言う象徴としてのことだと沙更は理解した。ルーカとしても、ここで行かせないという選択肢は取れなかったのだろう。となれば、一番厳しい部分は自分たちで受け持たなければ、ダイスを死なせかねない。

 それに、今回のモンスターの氾濫が仕組まれたものならば、最後に出てくるのはあの時傷を負わせた奴以外に考えられなかった。ウエストエンドの一件は、沙更が居たことで防ぐことが出来たがこうやって波状攻撃をしてくるあたり、相手も並ではないと思わせるには十分過ぎる程だった。
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