月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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最終章 目覚める神

第291話 エンシェントゲートに向けて2

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月の魔女とよばれるまで

第291話 エンシェントゲートに向けて2

 大技はあっても小技がないのが、今の沙更の現状であった。それだけに、かなり勝算の低い賭けになってしまうのは避けられない。だからこその問いだったのだが、それでも付いてきてくれると言ってくれたことには感謝の思いしかなかった。

 エアウォークの魔法で加速しつつ、街道を開拓村に向かっていく。前は徒歩の6倍だったが、使い慣れてきた事て8倍以上に引き上がっていた。ここまで来ると馬車よりも早くなっている事から、街道を行く人達からは驚きの目で見られていたのだが、一大事の前にそこまでの気が回らなかった。

 クルシス近くまで加速した結果、前はウエストエンドまで三時間程かかったが今回は二時間少々で踏破し、その足のまま大森林へと入っていく。この頃になると街道を歩く人もまばらになるため、大森林に入っていくのを見られることはなかった。

 大森林に入ったところで、エアウォークと並行して探査魔法を常時展開しておくことを忘れない。大森林のモンスターは、人間ならば襲い掛かってくるが沙更の魔力量が異常なのを前回の通行時に知っていることから、探査魔法で魔力を当たりにまき散らかすことでモンスター避けになってくれるのだ。

 他の人間には確実に真似出来ない方法で、先を急ぐ。開拓村は守れないかもしれないが、それでも現地の人間にお任せしたらエンシェントゲートまで落とされかねない。辺境伯カタリーナの軍を待てる程の余裕は無いと沙更は判断していた。

 もし待ってしまった場合、防衛線がエンシェントゲートよりも大森林に近いところでの迎撃になってしまう。その場合、大森林からのモンスターの襲撃を想定しなければならず、そっちにも数を割かねばならない。そうなっては守ることも難しくなってしまう。

 だから出来る限り先行して、出来るだけこちらに有利に動けるようにする必要があった。

「出来るだけ急ぎましょう。カタリーナ様を待ったら、こちらに不利になります」

「セーナちゃんがそう言うなら、時間が鍵になってことね」

 沙更の言葉にミリアが頷く。

 沙更たちが一気に先行したことで、モンスターの氾濫にかなりの影響を及ぼすことになるのだが、この時の沙更たちはそれを知らない。沙更の異世界の知識がこの場合功を奏していた。

 大森林の中を前回の倍以上の速度で北西へと突き抜けていく。モンスターたちも沙更の魔力を感じてかこちらに近寄る気配すらなかった。ある意味、野生ならではの処世術と言えるのかもしれない。強い力を持つ者に近寄らないのは自らの身を守る最善であったから。

 かくして、沙更たちはエンシェントゲートにウエストエンドを発って一日でエンシェントゲートに到着したのだった。
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