月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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最終章 目覚める神

第308話 次なる群れ

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月の魔女とよばれるまで

第308話 次なる群れ

 一万℃のプロミネンスが100体以上のモンスターを焼き払った後、沙更達は魔石を拾う作業に入っていた。Bランクモンスターも含まれていたことから、魔石だけでもかなりの金額になるのは言うまでも無かった。

 だが、次の襲撃も考えられる事から固まって動く。流石に散開して動いては、モンスターの餌食になりかねなかった。メンバーの強さがどうしてもまちまちな為、ミリアなら大丈夫でもヘレナの場合ダメと言う事は十分にあり得る話だったからだ。

 それに、いかにミリアでも無傷で居られるかと言えばそれも厳しい。集団で来られた場合には、沙更の補助があればまだ大丈夫かも知れないが、万一切れてしまった場合が危なすぎた。

 魔石を拾いつつも話題は沙更の放ったプロミネンスに移る。

「それにしても、セーナちゃんの魔法は凄すぎるよ。あれだけのモンスターを焼き払えちゃうんだから」

「それは俺も同感だ。あれだけの大規模魔法を操れる魔法士なんて聞いたことが無いぞ」

「王宮の筆頭魔法士ですらあのレベルの魔法は操れないわ。使っている魔力量は、人間の限界を超えているもの」

「炎の魔法であってるんだよな?なんか違う物な気がしたが」

 こういう時にやたら勘が鋭いのがガレムである。彼の本能的な勘が、あれは通常の炎ではないと告げていた。少なくてもプロミネンスは一般的な炎ではない。磁力線により高温ガスを吹き上がらせる事象であり、太陽の力であったから。

 事象そのものを扱えるのは古代魔法士でもかなり限られた者しかいなかったであろう事は推測出来るが、推測以上の話にはならない。この世界の人間に、恒星の話をしても信じて貰えるはずが無かったからだ。余程頭が回る人間なら話は別かも知れないが、それでも理解するには厳しいだろうと沙更は思う。

 その辺りは、どうしても沙更が生きていた時の知識があるが故に出来たことでこの世界に生まれたセーナではそこまでイメージを膨らますことが出来たかと言えば厳しいとしか言えなかった。

 なんとか魔石を拾い終えると開拓村跡地を後にする。現状では、威力偵察が限度であり沙更の魔法でごり押ししたとしてもモンスターの反乱を抑えるには厳しいとパウエルは判断していた。

 やって出来ないとは言わないが、自分たちの命も考えなければならないとなれば、ある程度数を減らせただけでも十分に役割はこなせたと考えていたからだ。

 そこの線引きは、パウエルがリーダーとして冷静な判断だったと言える。だが、それ以上にモンスターの氾濫はパウエルの知識を超えたところにあった。

 再度古代遺跡側から先ほどよりもさらに多いモンスターの群れがこちらに向かってきているのが沙更の探査魔法で検知できたからだ。

「モンスターの群れ、約300以上こちらに来ます」

「えっ、その数だとあたし達じゃきついよ」

「くっ、撤退時を間違えたか?」

 ミリアの声に、パウエルが判断を間違えたかと思ったところで沙更が首を振る。こちらよりもモンスターの行動が統率が取れている以上、先ほどの群れも使い捨てだったのだろうと推測出来ていた。
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