月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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最終章 目覚める神

第313話 エンシェントゲート放棄

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月の魔女とよばれるまで

第313話 エンシェントゲート放棄

 開拓村跡地から、大気の加護を得て一気に加速したパウエル達はそのままエンシェントゲートに大森林側から回り込んで戻っていく。

 開拓村から数時間後、エンシェントゲートに戻った時には人の気配が一切なかった。

「エンシェントゲートに人の気配が無い?朝出て行く時にはまだ人々はいたはずだが!?」

 パウエルが驚きの声を上げるとミリアと沙更は顔を見合わせた。どうやら、冒険者ギルドの支部長が勝手に撤退を開始してしまったらしいと気付いたから。

 そうなってしまうとここで補給が出来なくなってしまう。それに、モンスターの氾濫を抑える場所がさらにウエストエンド寄りになってしまうのも厳しい。そうなってくるとモンスターが分散して、対処出来なくなる可能性すらあった。

 ダイスが来る前に、そんな重大な決断を下してしまったギルド支部長は、後できついおとがめがあるだろうことは難くない。領主の命無しに、町からの撤退を決めることは出来ないからだ。それを行ってしまった以上、カタリーナの命に背いたと同義なのだから。

「まさか、あいつまじでやりやがった!!」

「退きたいのは分かります。けれど、悪手すぎますわ。逃げている間、後ろを常に気にしなければならないのがどれだけの負担になると思っているのでしょう?」

「あたしもそれは思った。Dランクの冒険者が一番上の状態で、大森林からのモンスターにも警戒しつつ逃げられると思っているあたりが甘いよね」

「領主の命なしに、撤退するなんて思ってもみませんでした。ダイスさんもそろそろ来るでしょうし、大変なことにならなければいいんですが」

 既に、この時点で超大事である。ウエストエンドの露天商のお兄さんや畜産商店のおじさんに助けて貰って、食料はきっちり持っている沙更達と違って、着の身着のままで出て行った人々の食事や寝る場所の確保等かなりの労力を必要とするはずだ。

 それに、クルシスまでの距離は街道沿いに歩いた場合は遠回りなので最低でも一週間以上歩き続ける必要がある。かなりの大人数で、警戒をしつつ守り切れるかと言えば厳しいと言うしか無い。

 最前線を勝手に放棄したとあれば、逃亡と取られても文句は言えない。それなのに、やらかしてしまったのだからどうしようもなかった。

「エンシェントゲートを放棄したとなれば、ここを拠点には出来ません。一回ウエストエンドまで戻りますか?」

 沙更の提案に、パウエルは首を振った。流石に、今ここを離れてしまってはモンスター達に逃げている人々を襲われる可能性があった。本当ならば、ここで補給しつつ迎撃していければなんとかなるかもと思っていた部分もある。

 だが、パウエルが思っている以上にモンスターの氾濫は生やさしいものではなかった。
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