月の魔女と聖剣

空流眞壱

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序章

第6話 ウエストエンド再開発

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月の魔女と聖剣

第6話 ウエストエンド再開発

 カタリーナとの会談から二週間後、シルバール王家から無事許可を得たカタリーナは、ウエストエンド再開発を実行に移した。中心部はそれほど影響を受けないが、外周部は大分てこ入れすることになり城壁も動かす形になっていた。

 そもそも古くなった城壁では今後の都市防衛に不十分だとカタリーナは考えていたため、古い城壁よりも高くそして石造りにする予定になっている。

 そして、城壁を外に広げることによりさらに住む場所や職人たちの働く場所などを拡張する予定だ。

 都市を大きくするだけあり、大量のお金を使う形になった結果。沙更が要望したとおりに、スラムの人間達にも仕事が行き渡るようになっていた。スラムの人々にお金が回るようになった証であり、そのおかげで窃盗や強盗などの犯罪は格段に減っていった。

 たまに、仕事帰りのいざこざは起きたりしたがそれでも前までの犯罪発生率からすれば微々たる物であった。そこに、スラムの衛生環境を改善する為に、スラム全域の清掃を敢行する。

 スラム自体をきれいにすることにより、スラムの住人の意識を改善するのも頭にあり、次第にきれいになっていくスラムにウエストエンドの住人たちが自分達の意識を変えていったことにそう時間は掛からなかった。

 スラムの状況が良くなった頃に、再度沙更はカタリーナに呼ばれて辺境伯の屋敷を訪れていた。この頃よく呼ばれている気がしていたがそれほど頼られているのだろう。

「スラムの状況は大分改善出来ているみたいです。治癒士の負担も減っているようなのでひとまずは成功と言ったところでしょうか」

「貴女の知恵のおかげで、今の所問題は起きていないわ。治安も良くなったし、古い住人からの苦情も減った。いいことづくめよ」

 沙更の知恵は異世界の知恵であり、この世界で使えるかは分からなかったが、今回の事で応用すれば対応可能だと沙更自身確認出来たことはかなりの収穫だった。

 叩き台にしてしまったことはカタリーナに謝ろうとしたが、それは断られてしまった。知恵を借りたのだから、そこから先はこちらの責任だと返されては言い返すことは出来なかった。それ以上の言葉は失礼になると理解出来たからだ。

「それにしても上手く行き過ぎて、他の貴族たちが嫉妬してきそうね。貴女に出会ってから、辺境は順風満帆だから」

「私が貸したのは知恵だけ。カタリーナ様やジークさんたちの領地への思いがあってこそだと思います」

 沙更として言うのはそこまで、それ以上はカタリーナたちの思いに失礼になる。確かに、冒険者として辺境伯領内の懸案を排除したのは確か。それでも上手く行っているのは、カタリーナたちの運営が上手いからだと感じていた。

 知恵を使うのはカタリーナたちであって、貸した沙更ではない。そこを忘れてはいけない、沙更自身は貴族ではないのだから。
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