月の魔女と聖剣

空流眞壱

文字の大きさ
11 / 211
王都へ

第8話 リエットの護衛の依頼2

しおりを挟む
月の魔女と聖剣

第8話 リエットの護衛の依頼2

 ガーゼルベルトやカタリーナの譜代の騎士たちの腕は王国騎士団よりも上。それは、簒奪者アランと対峙した時にも聞いていたし、実際に戦場で味方として戦ったこともある。
 だが、学園に騎士を入れるわけにはいかないと言う事項があって、騎士では護衛が出来ない。騎士の代わりになるとしたら、騎士以上の力も持つ荒野の狼に頼む他無かった。

 貴族の体面もあるのかもしれない。となれば、断るのは不義理になってしまう。それに、リエットが沙更に同行を望むのならば、断るつもりはなかった。ムーンライトで癒やしたのは沙更だったから。

「どちらにしろ、カタリーナ様が望むのなら俺たちが断ることはしない。リエット様に道案内を頼む形になるがそれでも良ければだ」

「そもそも、セーナちゃんがリエットさんに関係することを断るとは思わないから同行は決定事項なんだよね」

「まあ、王都に一回は行っておきたかったのは確かだな」

「後学の為に、王都に行くのも良いと思うわ」

 ヘレナはある程度貴族について知っているだけに、それ以上の事は言わない。カタリーナの前でもあるから控えているのもあるが。

「どちらにしろ、リエット様が私たちと一緒が良いのなら断る理由はありませんから」

 五人ともの言葉に、カタリーナはほっとした表情を浮かべる、断られることはないとは思っていたが、それでも万が一があり得る。相手は冒険者、貴族とは価値観が違うのは重々承知していたからだ。

「リエットの護衛の報酬を先に決めておきましょう。大金貨2枚でどうかしら?」

 カタリーナから出た報酬の額に、ギョッとするパウエル達。確かにBランク冒険者として慣らしてはいるが、それでも大金貨2枚は報酬としてかなり多かった。

「報酬が多すぎませんか?」

「いいえ、貴方達ならこれでも安いと思うわ。冒険者ギルドにも相談して決めた額だから、心配しなくても大丈夫」

 先にルーカ達に話が行っているとなると、この頃依頼に関して余り言わなかったのはカタリーナから依頼をされることを分かっていたからと納得した。

「カタリーナ様が良いと言うのなら、俺たちはその提案を飲みます」

「少し、気を遣わせてしまったわね。でも、それだけ評価していると言う事でもあるの。あの子もわたくしも貴方達に助けられたのだから」

 カタリーナ的に、未だに借りを返せていないと思っているのはなんとなく沙更的に理解出来た。確かに、辺境自体壊滅する可能性が大きかったところを完全にひっくり返してしまった。それが、どれだけハチャメチャだったかはカタリーナやリエットよりもパウエルやミリア達の方がよく知っていた。

 高温ガスで敵を焼き払い、氷獄地獄に敵を叩き落とし、嵐を巻き起こして稲妻と共にモンスターを薙ぎ払ったりと魔法という枠を遙かに超えるスケールであった。古代魔法すら超えていたかもしれない。それは、沙更の異世界の知恵を活用した結果だった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界子供ヤクザ【ダラムルバクト】

忍絵 奉公
ファンタジー
孤児院からスラムで育ったバクト。異空間収納と鑑定眼のダブルギフト持ちだった。王都西地区20番街では8割を縄張りとする先代のじいさんに拾われる。しかしその爺さんが死んだときに幹部同士のいざこざが起こり、組は解散。どさくさにまぎれてバクトが5・6番街の守役となった。物語はそこから始まる。7・8番街を収めるダモンとの争い。また後ろ盾になろうと搾取しようとする侯爵ポンポチーコ。バクトは彼らを越えて、どんどん規格外に大きくなっていく。

没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました

藤原遊
ファンタジー
魔力不足、財政難、人手不足。 逃げ場のない没落領地を託された転生令嬢は、 “立て直す”以外の選択肢を持たなかった。 領地経営、改革、そして予想外の縁。 没落から始まる再建の先で、彼女が選ぶ未来とは──。 ※完結まで予約投稿しました。安心してお読みください。

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

イジメられっ子世に憚る。

satomi
ファンタジー
主人公須藤正巳はぼんやりと教室で授業を受けていた。その時、突然教室中に物凄い量の光が…。 正巳が属する2-C全員が異世界転移することとなってしまった。 その世界では今まで正巳が陰キャとして読み漁ったラノベともゲームとも異なり、レベルがカウントダウン制。つまりレベル999よりレベル1の方が強い。という世界だった。 そんな中、クラスのリーダー的陽キャである神谷により全員で教室の外に出ることに。 いきなりドラゴンに出会い、クラスの全員がとった行動が『正巳を囮にして逃げること』だった。 なんとか生き延びた正巳は、まず逃げた連中へ復讐を誓う。

処理中です...