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極星騎士団と王都冒険者ギルド
第50話 王国騎士団の乱入
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月の魔女と聖剣
第50話 王国騎士団の乱入
パウエル達荒野の狼がオークエンペラーを確認する少し前、王国騎士団の一部がオークたちへと攻撃を開始した。冒険者ギルドに報告はしたが、騎士団としてそのままお任せというわけには行かない。そこには貴族達特有のメンツを重んじるが故に、実力を度外視する悪癖があった。
オークの軍団に騎士達が仕掛ける。兵隊と化したオークが騎士達を相手取る。司令官らしいオークロードとオークウィザードが手下のオーク達の戦いを見ていた。オークと騎士では騎士に軍配があがる。だが、数が数だけに傷つく者も少なくない。
オークの数約2000を相手取るのは騎士達と言えど辛い。やはり、数で押されてしまう。1人また1人と脱落していく。そこに、オークファイターなどの上位種が襲いかかれば、戦線の維持すら出来なくなってしまっていた。
鉄の剣とオークの棍棒が交錯する。何度か棍棒の打撃に耐えた鉄の剣だが、それでも10回近い打撃は耐えきれない。剣が折れたと同時に鎧に棍棒の一撃が決まる。
「くっ、我ら騎士の誇りが!」
「倒しても倒しても出てくるぞ!!」
「オークファイターが出てきた。救援を!!」
組織戦の経験が薄い為に、連携が取れずに各個撃破されていく騎士達。オークエンペラーはそれを見つつ、ニタリと笑うだけ。人間が己に敵うわけがないと思っているからこその笑みであり、騎士達が攻めてきたが撃退できると踏んでいるからこその余裕であった。
所詮、騎士達の装備は鉄である。ある程度の強度はあるがそれ以上でもそれ以下でもない。重みで動きは妨げられるし、切れ味もほどほどでしかない。だから、オークを数体切れば切れ味も鈍くなる。鈍くなったところを他のオークに襲われればどうにもならなかった。
騎士達とオークのせめぎ合いが始まって日が少し傾いた頃には、騎士達の全員が戦死していた。オーク達にもそれなりの被害が出たがそれだけであった。騎士としての意地は貫けたかもしれないが、オークたちに痛手を負わせるとまでは行かなかったのだ。装備と練度が低い事が、オークの群れに対処するには足りなさすぎた。
騎士達がオークと戦っているのは気づいていたが、エアウォークで加速していたとはいえ、騎士達とオークの戦いに介入するつもりはパウエルたちにはなかった。下手に騎士達の戦いに手出しすることは騎士側のメンツに関わるだけに控えたのだ。それでも、至る所に騎士達の亡骸があるというのはそれはそれで厳しい。
オーク達を見つけたと思ったらこれなのだから、頭を抱えたくもなる。
「流石にこれはちょっとね…」
「ある程度善戦したのは分かるが、それでも装備が悪すぎる。昔の俺を見ているようだ」
「だなあ、鉄装備でオークファイターとやり合うには厳しすぎるだろ。下手すりゃ鉄の剣じゃ折れるしな」
「騎士だけで攻め込んだのなら、厳しいのも当然よ。治癒士すら連れていないって」
「騎士だけで勝てると踏んだわけじゃないのでしょう。上の判断で死んでこいと行かされたと言ったところでしょうか?先にオークを倒してからになりますが、弔いはしたいですね」
沙更は、騎士達が高位貴族達の判断でここを死に場所にするしかなかったことをなんとなく察していた。騎士団自体もそう強いわけではないのだろうが、新兵に近いような若い騎士たちが大勢死んでいるのは物悲しさを感じてしまう。
ここで死にたい訳ではなかっただろうに、上の判断でここで死ぬしかなかった騎士達。後で弔いをと思いつつ、まずはオークたちを倒さなければならなかった。
第50話 王国騎士団の乱入
パウエル達荒野の狼がオークエンペラーを確認する少し前、王国騎士団の一部がオークたちへと攻撃を開始した。冒険者ギルドに報告はしたが、騎士団としてそのままお任せというわけには行かない。そこには貴族達特有のメンツを重んじるが故に、実力を度外視する悪癖があった。
オークの軍団に騎士達が仕掛ける。兵隊と化したオークが騎士達を相手取る。司令官らしいオークロードとオークウィザードが手下のオーク達の戦いを見ていた。オークと騎士では騎士に軍配があがる。だが、数が数だけに傷つく者も少なくない。
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「くっ、我ら騎士の誇りが!」
「倒しても倒しても出てくるぞ!!」
「オークファイターが出てきた。救援を!!」
組織戦の経験が薄い為に、連携が取れずに各個撃破されていく騎士達。オークエンペラーはそれを見つつ、ニタリと笑うだけ。人間が己に敵うわけがないと思っているからこその笑みであり、騎士達が攻めてきたが撃退できると踏んでいるからこその余裕であった。
所詮、騎士達の装備は鉄である。ある程度の強度はあるがそれ以上でもそれ以下でもない。重みで動きは妨げられるし、切れ味もほどほどでしかない。だから、オークを数体切れば切れ味も鈍くなる。鈍くなったところを他のオークに襲われればどうにもならなかった。
騎士達とオークのせめぎ合いが始まって日が少し傾いた頃には、騎士達の全員が戦死していた。オーク達にもそれなりの被害が出たがそれだけであった。騎士としての意地は貫けたかもしれないが、オークたちに痛手を負わせるとまでは行かなかったのだ。装備と練度が低い事が、オークの群れに対処するには足りなさすぎた。
騎士達がオークと戦っているのは気づいていたが、エアウォークで加速していたとはいえ、騎士達とオークの戦いに介入するつもりはパウエルたちにはなかった。下手に騎士達の戦いに手出しすることは騎士側のメンツに関わるだけに控えたのだ。それでも、至る所に騎士達の亡骸があるというのはそれはそれで厳しい。
オーク達を見つけたと思ったらこれなのだから、頭を抱えたくもなる。
「流石にこれはちょっとね…」
「ある程度善戦したのは分かるが、それでも装備が悪すぎる。昔の俺を見ているようだ」
「だなあ、鉄装備でオークファイターとやり合うには厳しすぎるだろ。下手すりゃ鉄の剣じゃ折れるしな」
「騎士だけで攻め込んだのなら、厳しいのも当然よ。治癒士すら連れていないって」
「騎士だけで勝てると踏んだわけじゃないのでしょう。上の判断で死んでこいと行かされたと言ったところでしょうか?先にオークを倒してからになりますが、弔いはしたいですね」
沙更は、騎士達が高位貴族達の判断でここを死に場所にするしかなかったことをなんとなく察していた。騎士団自体もそう強いわけではないのだろうが、新兵に近いような若い騎士たちが大勢死んでいるのは物悲しさを感じてしまう。
ここで死にたい訳ではなかっただろうに、上の判断でここで死ぬしかなかった騎士達。後で弔いをと思いつつ、まずはオークたちを倒さなければならなかった。
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