89 / 211
辺境伯対他貴族
第82話 街道沿いの盗賊退治2
しおりを挟む
月の魔女と聖剣
第82話 街道沿いの盗賊退治2
辺境伯と他貴族の領地を分ける関を越え、他貴族の領地に入ると徐々に土地が痩せていくのがわかった。魔力の保有量の問題なのだろうとすぐに推測はついたが、1冒険者の身で他貴族に肩入れすることもないからそれは考えないことにした。
そもそも、辺境は生まれ故郷である。今はもう無いが、それでも開拓村で育ったことは変わりないのだから。
それに、ミリアが誘われて今の居場所となっている孤児院は沙更にとっても居て良い場所であり、守るべき場所となっている。開拓村からウエストエンドまでをまるっと月女神が沙更の想いを感じて手を貸してくれたからこうなっただけで、沙更自身にそこまでの力があるわけではない。
だが、土地が肥えて努力を農作物として返してくれる場所は、世界を探したとしてもシルバール王国の辺境だけだと今の沙更は知らない。これだけ肥えた土地は他にはなかった。元々古代魔法文明の中心地であり、月女神の神殿もあった土地だからと言う裏要素があったのだ。
痩せた土地で努力しても報われないことで、他領の民たちは折れてしまっていた。町に住んでいるならまだ良いが、村で農作物を作る人間からすれば働けど働けど我が暮らし楽にならずを地で行く。
そこに重税ともなれば逃げたくなるのも無理はなかったのだ。盗賊にもなろうというものである。だが、一度盗賊となり他人の財を掠め取った時点で転落真っ逆さまなのは言うまでもない。なるかならないかが分岐点になってしまっていた。
他貴族の領地に入って少しすると盗賊たちが動いているのを沙更が勘付く。探査魔法に引っかかったのだ。探査魔法もずっと使っているせいで探査範囲が格段に伸びていた。1年前は半径3キロほどだったが、今では半径5キロになった時点でかなりの差が出来上がっているのだ。
「盗賊たちの感あり、まだかなり遠いけど感じます」
「セーナちゃんがそう感じるのなら、まだあたしじゃ感じられないね。でも、近づいてきたのは確かだって分かるよ」
沙更の言葉に、ミリアが頷く。気配察知極となってから既に一年が経過していて、もう大分慣れた格好だ。
やはり、ちょっかいを出すなら辺境伯のお膝元ではいくら命があっても足りないと分かっているのだろう。街道の封鎖は、辺境伯にそこまでのダメージはない。が、他貴族に取っては致命傷であった。
人が通らない街道に意味はなく、それを糧に生きる人間を絶望に叩き落とすことになるからだ。それはジワジワと他貴族の財政に影を落としていくことになるのだから。
そもそも地力で盗賊を排除出来ない領地も当然あるのだ。全ての貴族が余力がある訳ではないと言う証明でもある。そう言う点でも仕掛けた貴族側が浅はかだったと言うしか無い。
盗賊たちを感じた沙更たちは、街道沿いから離れていく。当然ミリアたちもそれについて行き、最終的に辿り着いたのは丘の側に出来た大きめの洞窟であった。
第82話 街道沿いの盗賊退治2
辺境伯と他貴族の領地を分ける関を越え、他貴族の領地に入ると徐々に土地が痩せていくのがわかった。魔力の保有量の問題なのだろうとすぐに推測はついたが、1冒険者の身で他貴族に肩入れすることもないからそれは考えないことにした。
そもそも、辺境は生まれ故郷である。今はもう無いが、それでも開拓村で育ったことは変わりないのだから。
それに、ミリアが誘われて今の居場所となっている孤児院は沙更にとっても居て良い場所であり、守るべき場所となっている。開拓村からウエストエンドまでをまるっと月女神が沙更の想いを感じて手を貸してくれたからこうなっただけで、沙更自身にそこまでの力があるわけではない。
だが、土地が肥えて努力を農作物として返してくれる場所は、世界を探したとしてもシルバール王国の辺境だけだと今の沙更は知らない。これだけ肥えた土地は他にはなかった。元々古代魔法文明の中心地であり、月女神の神殿もあった土地だからと言う裏要素があったのだ。
痩せた土地で努力しても報われないことで、他領の民たちは折れてしまっていた。町に住んでいるならまだ良いが、村で農作物を作る人間からすれば働けど働けど我が暮らし楽にならずを地で行く。
そこに重税ともなれば逃げたくなるのも無理はなかったのだ。盗賊にもなろうというものである。だが、一度盗賊となり他人の財を掠め取った時点で転落真っ逆さまなのは言うまでもない。なるかならないかが分岐点になってしまっていた。
他貴族の領地に入って少しすると盗賊たちが動いているのを沙更が勘付く。探査魔法に引っかかったのだ。探査魔法もずっと使っているせいで探査範囲が格段に伸びていた。1年前は半径3キロほどだったが、今では半径5キロになった時点でかなりの差が出来上がっているのだ。
「盗賊たちの感あり、まだかなり遠いけど感じます」
「セーナちゃんがそう感じるのなら、まだあたしじゃ感じられないね。でも、近づいてきたのは確かだって分かるよ」
沙更の言葉に、ミリアが頷く。気配察知極となってから既に一年が経過していて、もう大分慣れた格好だ。
やはり、ちょっかいを出すなら辺境伯のお膝元ではいくら命があっても足りないと分かっているのだろう。街道の封鎖は、辺境伯にそこまでのダメージはない。が、他貴族に取っては致命傷であった。
人が通らない街道に意味はなく、それを糧に生きる人間を絶望に叩き落とすことになるからだ。それはジワジワと他貴族の財政に影を落としていくことになるのだから。
そもそも地力で盗賊を排除出来ない領地も当然あるのだ。全ての貴族が余力がある訳ではないと言う証明でもある。そう言う点でも仕掛けた貴族側が浅はかだったと言うしか無い。
盗賊たちを感じた沙更たちは、街道沿いから離れていく。当然ミリアたちもそれについて行き、最終的に辿り着いたのは丘の側に出来た大きめの洞窟であった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界子供ヤクザ【ダラムルバクト】
忍絵 奉公
ファンタジー
孤児院からスラムで育ったバクト。異空間収納と鑑定眼のダブルギフト持ちだった。王都西地区20番街では8割を縄張りとする先代のじいさんに拾われる。しかしその爺さんが死んだときに幹部同士のいざこざが起こり、組は解散。どさくさにまぎれてバクトが5・6番街の守役となった。物語はそこから始まる。7・8番街を収めるダモンとの争い。また後ろ盾になろうと搾取しようとする侯爵ポンポチーコ。バクトは彼らを越えて、どんどん規格外に大きくなっていく。
没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました
藤原遊
ファンタジー
魔力不足、財政難、人手不足。
逃げ場のない没落領地を託された転生令嬢は、
“立て直す”以外の選択肢を持たなかった。
領地経営、改革、そして予想外の縁。
没落から始まる再建の先で、彼女が選ぶ未来とは──。
※完結まで予約投稿しました。安心してお読みください。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる