月の魔女と聖剣

空流眞壱

文字の大きさ
105 / 211
第二王子との邂逅

第97話 王立学園編入

しおりを挟む
月の魔女と聖剣

第97話 王立学園編入

 リエットと一緒に学園に行ってから数日後、沙更は王立学園の編入試験をジークの手続きのおかげで無事に受けられることになった。試験を受けに学園に行くことになったわけだが、平民枠での編入の為馬車は使わずに徒歩で移動する。沙更はそこでエアウォークで加速することで対応することにした。

 馬車顔負けの速度で王立学園に到着するとその移動速度を見た学園の教師が驚きの表情を浮かべていた。それもそのはず、あれだけの加速魔法をずっと維持し続けるというのは魔法士としてあり得ないことであった。さらに言うのなら、その加速度が他の魔法士に真似が出来ないところまで行ってしまっている。

「貴女、今の魔法は貴女のオリジナル?」

「今はいない師匠から教えて貰った魔法です。かなりの頻度で使っているので」

 教師にそこまで伝えると羨ましそうな顔をされて、沙更として困ってしまった。教えられなくはないが、エアウォーク自体沙更の独自魔法なだけに、魔力の消費量は桁違いに多い。古代魔法に近い部分もあるため、今の魔法士では多分扱うことが出来ないだけに教えたところで使えないだろう。

 教師とのやりとりを終えて、学園内に入るとこの時期に編入試験を受ける人はまれなのだろう。妙に注目されている気が沙更はしていた。いくつもの視線を感じられるだけに、値踏みしている人間もいそうだがそこは気にしないことにしておく。

 どちらにしろ、ここに入る為にここに来ているのだからそのあたりを気にせずに試験場所へと向かう。あらかじめ教えられていた場所には、1人の教師が待っていた。

「君が編入を望む人かい?私は、ワィズナー。この学園で教師をしていて、今日の編入試験の監督官でもある。よろしく」

「今回編入試験を受けさせてもらう沙更です。よろしくおねがいします」

 教師の挨拶に沙更も挨拶をする。そのまま、試験用の用紙を渡されて編入試験が始まった。

 受け取った用紙に書かれている問題を見つつ、リエットが沙更には簡単かもと言っていた理由を理解した。異世界の知恵を持ち合わせる沙更からすれば、中学校レベルの問題でしかない。この国の歴史も事前にリエットから歴史書を一冊借りて置いたことでほぼ試験の範囲をカバー出来ていたのだ。

 とは言え、満点では目立ちすぎるだろうと思って沙更は若干手を抜くことにした。編入できるだけの頭を持ち合わせることを証明しつつも完全ではないという風に装うことにして、問題を解いていく。

 編入試験は五つの科目からで、魔法に関しては実技のために編入試験には入っていなかった。

 が、試験官であるワィズナーは沙更の魔力に気づいていた。隠蔽している時点で、かなりのものなのだろうと推測するがその推測すら上回る事を今の彼は知らない。試験は制限時間よりも若干早く終わり、用紙はワィズナーの手に沙更が渡す。

「不正はなかったのは私から報告しておこう。結果は明日、ここで発表するよ」

「分かりました。また明日」

 ワィズナーの言葉に頷いて、教室から出て行く沙更。それを見送るワィズナーは、沙更の力が見えないことにこれから学園が荒れるなと思いつつも面白いことになるだろうと踏んだのだった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界子供ヤクザ【ダラムルバクト】

忍絵 奉公
ファンタジー
孤児院からスラムで育ったバクト。異空間収納と鑑定眼のダブルギフト持ちだった。王都西地区20番街では8割を縄張りとする先代のじいさんに拾われる。しかしその爺さんが死んだときに幹部同士のいざこざが起こり、組は解散。どさくさにまぎれてバクトが5・6番街の守役となった。物語はそこから始まる。7・8番街を収めるダモンとの争い。また後ろ盾になろうと搾取しようとする侯爵ポンポチーコ。バクトは彼らを越えて、どんどん規格外に大きくなっていく。

没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました

藤原遊
ファンタジー
魔力不足、財政難、人手不足。 逃げ場のない没落領地を託された転生令嬢は、 “立て直す”以外の選択肢を持たなかった。 領地経営、改革、そして予想外の縁。 没落から始まる再建の先で、彼女が選ぶ未来とは──。 ※完結まで予約投稿しました。安心してお読みください。

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

イジメられっ子世に憚る。

satomi
ファンタジー
主人公須藤正巳はぼんやりと教室で授業を受けていた。その時、突然教室中に物凄い量の光が…。 正巳が属する2-C全員が異世界転移することとなってしまった。 その世界では今まで正巳が陰キャとして読み漁ったラノベともゲームとも異なり、レベルがカウントダウン制。つまりレベル999よりレベル1の方が強い。という世界だった。 そんな中、クラスのリーダー的陽キャである神谷により全員で教室の外に出ることに。 いきなりドラゴンに出会い、クラスの全員がとった行動が『正巳を囮にして逃げること』だった。 なんとか生き延びた正巳は、まず逃げた連中へ復讐を誓う。

処理中です...