月の魔女と聖剣

空流眞壱

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第二王子との邂逅

第112話 ウィリアム第二王子と沙更の治癒魔法

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月の魔女と聖剣

第112話 ウィリアム第二王子と沙更の治癒魔法

 刺客1人を切り捨て、もう1人を捕らえたミリアはウィリアムを見て怪我をした事を見ると近寄ってきた。

「もう少し早く助けられたら良かったけど、遅くなって…」

「いや、助けられたことに変わりは無い。毒は塗ってなかったようだな」

「そう言う意味でも片手落ちなんだけどね。確かに、丸腰の相手に2人がかりの時点で暗殺者失格かな」

 ウィリアムの腕の怪我を持っていたハンカチを使って止血する。手当をされつつも暗殺者に詳しいミリアを見て、驚くウィリアム。それもそのはず、同年代の少女が暗殺者に詳しいと言うのはあまりない。それに、あれだけの強さを持つとなれば希有な存在だと気づく。

「血止めすまない。そういえば、助けて貰ったのにお礼も言っていなかった。私はウィリアム、この頃王立学園に編入したこの国の第二王子だ」

「えっと、この口調で申し訳ありません。敬語は慣れていないので」

 ウィリアムの礼に、ミリアが慌てて答える。ウィリアムとしては助けられた身なので、そこで不敬などと言うつもりは毛頭ない。冒険者なのは服装で分かるが、学園に冒険者がいるのも不思議な気がした。

「助けられたのはこちらだ。不敬などと言うつもりは無い。が、王立学園に雇われた冒険者か?」

「えっと、学園には許可を貰っています。辺境伯の令嬢の護衛として雇われている冒険者のミリアです」

「なるほど、彼女の…。護衛は、宰相も知っていると言う事か?」

「ガーゼルベルト様にも面識があります。学園にも話を回して貰っていますし…」

 ミリアの答えにウィリアムは納得した表情を浮かべた。ガーゼルベルトは身内には優しいことで知られている。姪であるカタリーナやその娘のリエットは守るべき存在なのだろうと推測が付くからだ。学園内で護衛が付いているのは他の貴族がリエットをどうにかしようと企むだろうと読んでだろうというのも分かっていた。

「なるほど、彼女のおかげで助かったようなものか」

「たまたまです。リエット様なら助けられる人がいるのを放置するのを好みません」

 そうやって話をしているとエアウォークで加速した沙更とリエットがやってきた。ミリアの姿を見てほっとする2人だが、ウィリアムを見て怪我をした事に気づく。

「やはり、狙われたのは貴方でしたか…。怪我をしたのですか?」

「ごめん、沙更さん、あたしが来たときにはもう怪我をしてたの。治療をお願いできない?」

 ミリアとしてはなんとか間に合わせたと言ったところだが、怪我をさせたこと自体は本意では無いだけに治療をお願いするのも当然の話であった。沙更としてそこを断ることもないし、リエットもそれに頷く。

「ウィリアム王子様、良ければここで治療いたします」

「まさか、貴女は治療士でもあるのか?」

「治癒士としての心得も持っている魔法士と言うべきなのかもしれません。どちらにしろ、私の存在はちょっと特殊過ぎますから」

 沙更はウィリアムの言葉にそう返すとウィリアムの止血した腕を手に取る。そして、血止めをした上から治癒魔法ヒールを無詠唱で唱えるとウィリアムの切られた傷があっという間に消えていた。その凄さに、ウィリアムは流石に驚きの表情を浮かべるしかない。

 これだけの治癒魔法を同じ年くらいの女性が軽々と扱うと言うのを見たことがない。隣国でもここまでの治癒士を見たことがなかっただけに、衝撃は相当なものであった。
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