121 / 211
第二王子との邂逅
第112話 ウィリアム第二王子と沙更の治癒魔法
しおりを挟む
月の魔女と聖剣
第112話 ウィリアム第二王子と沙更の治癒魔法
刺客1人を切り捨て、もう1人を捕らえたミリアはウィリアムを見て怪我をした事を見ると近寄ってきた。
「もう少し早く助けられたら良かったけど、遅くなって…」
「いや、助けられたことに変わりは無い。毒は塗ってなかったようだな」
「そう言う意味でも片手落ちなんだけどね。確かに、丸腰の相手に2人がかりの時点で暗殺者失格かな」
ウィリアムの腕の怪我を持っていたハンカチを使って止血する。手当をされつつも暗殺者に詳しいミリアを見て、驚くウィリアム。それもそのはず、同年代の少女が暗殺者に詳しいと言うのはあまりない。それに、あれだけの強さを持つとなれば希有な存在だと気づく。
「血止めすまない。そういえば、助けて貰ったのにお礼も言っていなかった。私はウィリアム、この頃王立学園に編入したこの国の第二王子だ」
「えっと、この口調で申し訳ありません。敬語は慣れていないので」
ウィリアムの礼に、ミリアが慌てて答える。ウィリアムとしては助けられた身なので、そこで不敬などと言うつもりは毛頭ない。冒険者なのは服装で分かるが、学園に冒険者がいるのも不思議な気がした。
「助けられたのはこちらだ。不敬などと言うつもりは無い。が、王立学園に雇われた冒険者か?」
「えっと、学園には許可を貰っています。辺境伯の令嬢の護衛として雇われている冒険者のミリアです」
「なるほど、彼女の…。護衛は、宰相も知っていると言う事か?」
「ガーゼルベルト様にも面識があります。学園にも話を回して貰っていますし…」
ミリアの答えにウィリアムは納得した表情を浮かべた。ガーゼルベルトは身内には優しいことで知られている。姪であるカタリーナやその娘のリエットは守るべき存在なのだろうと推測が付くからだ。学園内で護衛が付いているのは他の貴族がリエットをどうにかしようと企むだろうと読んでだろうというのも分かっていた。
「なるほど、彼女のおかげで助かったようなものか」
「たまたまです。リエット様なら助けられる人がいるのを放置するのを好みません」
そうやって話をしているとエアウォークで加速した沙更とリエットがやってきた。ミリアの姿を見てほっとする2人だが、ウィリアムを見て怪我をした事に気づく。
「やはり、狙われたのは貴方でしたか…。怪我をしたのですか?」
「ごめん、沙更さん、あたしが来たときにはもう怪我をしてたの。治療をお願いできない?」
ミリアとしてはなんとか間に合わせたと言ったところだが、怪我をさせたこと自体は本意では無いだけに治療をお願いするのも当然の話であった。沙更としてそこを断ることもないし、リエットもそれに頷く。
「ウィリアム王子様、良ければここで治療いたします」
「まさか、貴女は治療士でもあるのか?」
「治癒士としての心得も持っている魔法士と言うべきなのかもしれません。どちらにしろ、私の存在はちょっと特殊過ぎますから」
沙更はウィリアムの言葉にそう返すとウィリアムの止血した腕を手に取る。そして、血止めをした上から治癒魔法ヒールを無詠唱で唱えるとウィリアムの切られた傷があっという間に消えていた。その凄さに、ウィリアムは流石に驚きの表情を浮かべるしかない。
これだけの治癒魔法を同じ年くらいの女性が軽々と扱うと言うのを見たことがない。隣国でもここまでの治癒士を見たことがなかっただけに、衝撃は相当なものであった。
第112話 ウィリアム第二王子と沙更の治癒魔法
刺客1人を切り捨て、もう1人を捕らえたミリアはウィリアムを見て怪我をした事を見ると近寄ってきた。
「もう少し早く助けられたら良かったけど、遅くなって…」
「いや、助けられたことに変わりは無い。毒は塗ってなかったようだな」
「そう言う意味でも片手落ちなんだけどね。確かに、丸腰の相手に2人がかりの時点で暗殺者失格かな」
ウィリアムの腕の怪我を持っていたハンカチを使って止血する。手当をされつつも暗殺者に詳しいミリアを見て、驚くウィリアム。それもそのはず、同年代の少女が暗殺者に詳しいと言うのはあまりない。それに、あれだけの強さを持つとなれば希有な存在だと気づく。
「血止めすまない。そういえば、助けて貰ったのにお礼も言っていなかった。私はウィリアム、この頃王立学園に編入したこの国の第二王子だ」
「えっと、この口調で申し訳ありません。敬語は慣れていないので」
ウィリアムの礼に、ミリアが慌てて答える。ウィリアムとしては助けられた身なので、そこで不敬などと言うつもりは毛頭ない。冒険者なのは服装で分かるが、学園に冒険者がいるのも不思議な気がした。
「助けられたのはこちらだ。不敬などと言うつもりは無い。が、王立学園に雇われた冒険者か?」
「えっと、学園には許可を貰っています。辺境伯の令嬢の護衛として雇われている冒険者のミリアです」
「なるほど、彼女の…。護衛は、宰相も知っていると言う事か?」
「ガーゼルベルト様にも面識があります。学園にも話を回して貰っていますし…」
ミリアの答えにウィリアムは納得した表情を浮かべた。ガーゼルベルトは身内には優しいことで知られている。姪であるカタリーナやその娘のリエットは守るべき存在なのだろうと推測が付くからだ。学園内で護衛が付いているのは他の貴族がリエットをどうにかしようと企むだろうと読んでだろうというのも分かっていた。
「なるほど、彼女のおかげで助かったようなものか」
「たまたまです。リエット様なら助けられる人がいるのを放置するのを好みません」
そうやって話をしているとエアウォークで加速した沙更とリエットがやってきた。ミリアの姿を見てほっとする2人だが、ウィリアムを見て怪我をした事に気づく。
「やはり、狙われたのは貴方でしたか…。怪我をしたのですか?」
「ごめん、沙更さん、あたしが来たときにはもう怪我をしてたの。治療をお願いできない?」
ミリアとしてはなんとか間に合わせたと言ったところだが、怪我をさせたこと自体は本意では無いだけに治療をお願いするのも当然の話であった。沙更としてそこを断ることもないし、リエットもそれに頷く。
「ウィリアム王子様、良ければここで治療いたします」
「まさか、貴女は治療士でもあるのか?」
「治癒士としての心得も持っている魔法士と言うべきなのかもしれません。どちらにしろ、私の存在はちょっと特殊過ぎますから」
沙更はウィリアムの言葉にそう返すとウィリアムの止血した腕を手に取る。そして、血止めをした上から治癒魔法ヒールを無詠唱で唱えるとウィリアムの切られた傷があっという間に消えていた。その凄さに、ウィリアムは流石に驚きの表情を浮かべるしかない。
これだけの治癒魔法を同じ年くらいの女性が軽々と扱うと言うのを見たことがない。隣国でもここまでの治癒士を見たことがなかっただけに、衝撃は相当なものであった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界子供ヤクザ【ダラムルバクト】
忍絵 奉公
ファンタジー
孤児院からスラムで育ったバクト。異空間収納と鑑定眼のダブルギフト持ちだった。王都西地区20番街では8割を縄張りとする先代のじいさんに拾われる。しかしその爺さんが死んだときに幹部同士のいざこざが起こり、組は解散。どさくさにまぎれてバクトが5・6番街の守役となった。物語はそこから始まる。7・8番街を収めるダモンとの争い。また後ろ盾になろうと搾取しようとする侯爵ポンポチーコ。バクトは彼らを越えて、どんどん規格外に大きくなっていく。
没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました
藤原遊
ファンタジー
魔力不足、財政難、人手不足。
逃げ場のない没落領地を託された転生令嬢は、
“立て直す”以外の選択肢を持たなかった。
領地経営、改革、そして予想外の縁。
没落から始まる再建の先で、彼女が選ぶ未来とは──。
※完結まで予約投稿しました。安心してお読みください。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる