月の魔女と聖剣

空流眞壱

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聖剣の鞘の行方

第136話 古代遺跡に向けて4

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月の魔女と聖剣

第136話 古代遺跡に向けて4

 ロストガーデンで一泊し、さらに北へと向かう。馬車を加速しつつもロストガーデンから先は旧開拓村への道しかなく、そこから先は徒歩しかない。しかも旧開拓村までの道は一年で大分荒れ果てていた。再度開拓の予定はあるもののロストガーデンの復興を最優先した結果、まだ手つかずの状態だったのだ。

「流石に、ここまで来ると最果てに最も近いと言われるだけはあるな」

「元々開拓村があったのですが、1年前のモンスターの氾濫時に壊滅してそのままなのです」

 ウィリアムの言葉に、リエットが申し訳なさそうに答える。セーナの故郷だと分かっているからだし、本来ならば同時に復興させるべき場所だった。が、どうしてもモンスターの氾濫で失われた人を考えると復興の優先順位をつけざるを得なかったのだ。

 現状、辺境にかなりの資金がある。とは言っても復興に当てられるだけの資金には限りがある。旧エンシェントゲートの放棄で再整備をせざるを得なくなったことはかなりの痛手で、旧開拓村まで手が回らなくなってしまった。そこをリエットは気にしていた。

 とは言え、セーナとして故郷と決別を済ませているし、沙更も旧開拓村に思い入れがあるわけでもない。なので、復興に関してはカタリーナに任せると既に伝えてあったりする。今となっては、第二の故郷がウエストエンドの孤児院になっていることもあり、そこまで気にする要素もなくなっていた。

 道が荒れているとは言え、そこは完全にエアウォークでカバーしきれるだけに快適な旅であった。少なくとも普通の馬車ならこうはいかない。確実に道の凹凸で馬車が揺れるわ、お尻が振動で痛くなったり揺れで悪酔いしたりするのが目に見える。が、沙更の魔法でそれらの要素をすべて排除出来ている時点で相当な物で、古代魔法士の凄さを垣間見てしまう。

「やはり幼い治癒士様の魔法は桁が外れています。ここまで快適だと普通の馬車に乗れなくなってしまいそうです」

「リエット様とウィリアム様に来て貰っているのですから、そこでご不便をかけるのも問題だと思うのです」

 沙更として、来て貰っている状態の2人に不便をかけるのはまずないことであり、このくらいならばいつものことで済ませていたのである。だが、慣れているリエットとは違いウィリアムにとってはこれだけの快適な旅は初めてであった。カイゼルラントの道もシルバール王国と大差がない。一部石畳が配置されている道があるくらいで、そこまでの差はなかっただけに、揺れない馬車にとてつもない速度というのが初めての経験であった。

「ここまで移動が早くて、お尻も痛くないのは初めてだ。カイゼルラントでも馬車に乗ったら揺れる上に、上下に揺さぶられるのが普通だったが、この馬車はまず揺れないのが驚きだ」

「少なくても幼い治癒士様と一緒に行動しない限り、この快適さは味わえません。これだけ魔法を使い続けられる魔法士も知りませんし…」

 そう話をしていると沙更の探知魔法にオーガが引っかかった。やはり、旧開拓村付近を根城にしているようだ。既に廃棄されて久しいが、それでもこの辺りはまだ瘴気が強い。ある程度浄化されたとは言え、モンスターの氾濫時の残滓はまだ残っていたからだ。
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