172 / 211
北方への探索行
第159話 崩れた古代遺跡2
しおりを挟む
月の魔女と聖剣
第159話 崩れた古代遺跡2
ここまで奥に来て、沙更はなんとなくこの遺跡自体が外と隔離されているのではないかと仮説を立てた。何故かと言うとここまでの古い遺跡でモンスターがいないこととあまりにもすんなり奥に行けているからだった。
他の古代遺跡ならモンスターに襲われるのがほとんどで、ここまで静かな遺跡は初めてだった。
「もしかしてですけど、この遺跡外とは隔離された場所なのかもしれません」
「そうだとするとここは外と時間の流れ方すら違うと言うの?」
沙更の言葉にヘレナが反応する。何故、ここまですんなり来ることが出来ているかはわからない。だけど、この遺跡に拒まれている感じは一切しないのだ。
だからこそ逆に考え過ぎてしまうのだが、沙更に取っても初めてだけに戸惑いを感じてしまう。それだけ、静けさを感じたまま何も起こらずにここまで来ていると言う事であった。沙更たちだけの足音だけが、ずっと響き渡っている。これが異常と感じないようなら、冒険者として欠陥を抱え込んでいると思って良い。
ここが特殊な場所だと言う仮説は成り立ちそうだが、それはそれ。不気味すぎるのだ。トラップも無ければ、妨害する素振りもない。そんな遺跡に入ったことが無いだけに逆に警戒感を煽っているような気がしてしまう。
考え過ぎかもしれないが、今までの経験から気を緩めるのは危険すぎると思うのも無理はなかった。
何事も起こらないまま、遺跡の奥へと向かう。方向感覚が正常ならば、だいぶ奥へと来ているはず。と思った時、下の階への階段が現れた。
「なんとか先には進んでいるのでしょうか?」
「何とも言えないかな。進んでいるようないないような微妙な感じなんだよね」
沙更の言葉にミリアが合わせる。探索慣れしている彼女でもこの遺跡は特殊だと言う事。下手にすんなり行き過ぎて疑ってしまうのは、それだけここが異質と言う事だ。
入口から赤い壁が続く。階段も壁は赤いままだ。とにかく下に降りる事だけは確定で、警戒は怠らない。階段もトラップなどは無く、普通の階段のようである。
が、そこで沙更が異質な魔力の流れを感じて皆を止める。
「止まってください。これ以上進むと危険です」
いきなりの事だが、皆は止まってくれた。魔力感知では沙更以上の人間はいない。
階段の途中で空間魔法の魔力を感じたからこそ止めたのだが、こんな高度なトラップを感知しろと言うのはかなり厳しい。現代の魔法士において時空間魔法は既に遺失魔法であり、それに気付ける人間はいないに等しかった。沙更だから気付けたが、どれだけ難易度が高いかは言うまでもなかった。
「流石セーナちゃん。普通なら気づかないよ、これ」
「てか、これ他の魔法士じゃあ無理なんじゃねえか?」
「肯定するしか無いだろうな。ヘレナ気づいていたか?」
パウエルの言葉にヘレナは首を振る。聖職者故に、呪いや毒系統の魔力や瘴気ならば気付けるだろうが時空間魔法は完全に範疇外である。そもそも扱えるのは沙更のみなのだから。
ミリアですら気付けていないあたり、厳しいと言うしか無い。盗賊で、魔力感知が出来るがそれでも今回の件はレベルが高過ぎた。出来るレベルを遥かに超えている。
ここに来てのトラップだけに、ここが古代遺跡で一筋縄でいかないことを見せつけられた形であった。
第159話 崩れた古代遺跡2
ここまで奥に来て、沙更はなんとなくこの遺跡自体が外と隔離されているのではないかと仮説を立てた。何故かと言うとここまでの古い遺跡でモンスターがいないこととあまりにもすんなり奥に行けているからだった。
他の古代遺跡ならモンスターに襲われるのがほとんどで、ここまで静かな遺跡は初めてだった。
「もしかしてですけど、この遺跡外とは隔離された場所なのかもしれません」
「そうだとするとここは外と時間の流れ方すら違うと言うの?」
沙更の言葉にヘレナが反応する。何故、ここまですんなり来ることが出来ているかはわからない。だけど、この遺跡に拒まれている感じは一切しないのだ。
だからこそ逆に考え過ぎてしまうのだが、沙更に取っても初めてだけに戸惑いを感じてしまう。それだけ、静けさを感じたまま何も起こらずにここまで来ていると言う事であった。沙更たちだけの足音だけが、ずっと響き渡っている。これが異常と感じないようなら、冒険者として欠陥を抱え込んでいると思って良い。
ここが特殊な場所だと言う仮説は成り立ちそうだが、それはそれ。不気味すぎるのだ。トラップも無ければ、妨害する素振りもない。そんな遺跡に入ったことが無いだけに逆に警戒感を煽っているような気がしてしまう。
考え過ぎかもしれないが、今までの経験から気を緩めるのは危険すぎると思うのも無理はなかった。
何事も起こらないまま、遺跡の奥へと向かう。方向感覚が正常ならば、だいぶ奥へと来ているはず。と思った時、下の階への階段が現れた。
「なんとか先には進んでいるのでしょうか?」
「何とも言えないかな。進んでいるようないないような微妙な感じなんだよね」
沙更の言葉にミリアが合わせる。探索慣れしている彼女でもこの遺跡は特殊だと言う事。下手にすんなり行き過ぎて疑ってしまうのは、それだけここが異質と言う事だ。
入口から赤い壁が続く。階段も壁は赤いままだ。とにかく下に降りる事だけは確定で、警戒は怠らない。階段もトラップなどは無く、普通の階段のようである。
が、そこで沙更が異質な魔力の流れを感じて皆を止める。
「止まってください。これ以上進むと危険です」
いきなりの事だが、皆は止まってくれた。魔力感知では沙更以上の人間はいない。
階段の途中で空間魔法の魔力を感じたからこそ止めたのだが、こんな高度なトラップを感知しろと言うのはかなり厳しい。現代の魔法士において時空間魔法は既に遺失魔法であり、それに気付ける人間はいないに等しかった。沙更だから気付けたが、どれだけ難易度が高いかは言うまでもなかった。
「流石セーナちゃん。普通なら気づかないよ、これ」
「てか、これ他の魔法士じゃあ無理なんじゃねえか?」
「肯定するしか無いだろうな。ヘレナ気づいていたか?」
パウエルの言葉にヘレナは首を振る。聖職者故に、呪いや毒系統の魔力や瘴気ならば気付けるだろうが時空間魔法は完全に範疇外である。そもそも扱えるのは沙更のみなのだから。
ミリアですら気付けていないあたり、厳しいと言うしか無い。盗賊で、魔力感知が出来るがそれでも今回の件はレベルが高過ぎた。出来るレベルを遥かに超えている。
ここに来てのトラップだけに、ここが古代遺跡で一筋縄でいかないことを見せつけられた形であった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界子供ヤクザ【ダラムルバクト】
忍絵 奉公
ファンタジー
孤児院からスラムで育ったバクト。異空間収納と鑑定眼のダブルギフト持ちだった。王都西地区20番街では8割を縄張りとする先代のじいさんに拾われる。しかしその爺さんが死んだときに幹部同士のいざこざが起こり、組は解散。どさくさにまぎれてバクトが5・6番街の守役となった。物語はそこから始まる。7・8番街を収めるダモンとの争い。また後ろ盾になろうと搾取しようとする侯爵ポンポチーコ。バクトは彼らを越えて、どんどん規格外に大きくなっていく。
没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました
藤原遊
ファンタジー
魔力不足、財政難、人手不足。
逃げ場のない没落領地を託された転生令嬢は、
“立て直す”以外の選択肢を持たなかった。
領地経営、改革、そして予想外の縁。
没落から始まる再建の先で、彼女が選ぶ未来とは──。
※完結まで予約投稿しました。安心してお読みください。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる