月の魔女と聖剣

空流眞壱

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対公爵 対邪神

第177話 辺境大要塞インビジブル2

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月の魔女と聖剣

第177話 辺境大要塞インビジブル2

 要塞内部は作ったばかりと言う事で武器などはないが、それは持ってくれば良いだけの話。内部構造は岩造りそのものであり、下手な金属で作ったものよりも頑強であった。

「内部までしっかりと岩造りとは流石と言うしかないな」

「正門以外の門がない上でこの構造、彼女の凄さを再確認する格好になってしまいましたね」

「彼女が敵に回らないことが確約されているだけましと言ったところだろう」

 ガーゼルベルトとカタリーナは、要塞内部を確認しつつ動き回る。そして、兵の配置なども既に考えていて物資の配置も考えておく。

 一方、外で要塞を作った沙更の側にはリエットがいた。

「幼い治癒士様、辺境にここまでしてくれてありがとうございます」

「私も辺境の生まれですし、フィエリス家以外の貴族に辺境を治めて欲しいとは思いません。ウエストエンドは第二の故郷ですから」

 リエットの感謝に、沙更としてはそう言うに留める。辺境の生まれであり、セーナ自身は故郷に思い入れがあるわけではないが沙更がセーナの思いをくみ取ってお節介を焼いた。それに、ミリアの孤児院のこともある。ウエストエンドを他の貴族が治めるとなれば、悪政を敷かれるのは目に見えていた。

 それでなくともフィリエス家以外の貴族は大体が強欲であり、領民に重税を強いていたりするのだからそんな領主は願い下げとしか言えないし、これ以上悪化するのは認められなかった。だからこそ、要塞をここに建てたのだ。

「辺境に強欲な領主は害になるばかりで民からは嫌われますしね」

「辺境を他の領主に渡すなんて、こちらとしてもしたくはありません。辺境に愛着があるのは領主の一族もそうです」

 歴代のフィエリス家は辺境を守ってきたし、それは領民も分かっている。だからこそ、他の貴族に対しての拒否感は他の領地よりも相当強いのは、フィエリス家が領民を考えてくれていたと言う事に尽きた。

 要塞を作り上げたのを見届けたミリアたちは、沙更の作り上げた要塞に声も出ない。魔法で作り上げたにしては規模が大きいと言う話を超えてしまっていたからだ。

「セーナちゃんの本気を見たような気がしたんだけど、まだこれより先があるんだろうね」

「だろうな、この要塞が最高峰なのはなんとなく分かる。が、最大じゃ無いだろうな」

 ミリアとガレムは、なんとなく沙更の最大では無い事を見抜いていた。パウエルとヘレナは魔法8つを同時行使に驚いていて、これが沙更の最大なのかまでは考えていなかった。そこまで頭が回らないほどに、沙更の同時行使の衝撃が強すぎたとも言える。

「魔法8つを同時なんて、今まで出来る人なんていなかったのに」

「魔法士が出来る事を遙かに超えている。セーナちゃんは規格外だが、それにしても…」

 そんな感想しか出てこないのもわかるほどに桁が外れていた。
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