月の魔女と聖剣

空流眞壱

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対公爵 対邪神

第182話 貴族連合軍対辺境伯2

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月の魔女と聖剣

第182話 貴族連合軍対辺境伯2

 大要塞インビジブルを落とそうとする貴族連合軍が黄昏時から攻勢をかけたが、その被害は尋常では無かった。ここまで随伴した5万の兵が要塞の壁にたどり着く前に、1割以上が死亡、2割が重傷となれば相当に厳しいのは分かって貰えると思う。

 要塞に取り付くことも出来ずに倒れていく兵士達、これだけ強固な要塞を力押しをすれば被害が大きくなるのも当然と言えた。

 しかも守りの将がガーゼルベルトとなれば、守備側の兵士の配置がいつもよりも密であり攻撃も激しくなる。そのため、通常の要塞戦よりも被害が大きくなった。

「まだ取り付けんのか!」

「敵の抵抗が凄まじく、未だ」

「あの要塞の防御力はどうなっている。あんなものが出来ているとは聞いてないぞ!」

 カスルの言葉に、随伴する貴族がそう答える。取り付くことが出来なければ攻め落とすなど不可能。既に3割の兵を失った計算になっている。今も被害が増えているだけに、さらに増えることになるのだがそのことにカスルは気づいていない。

 要塞戦で圧倒的火力が無ければ攻め手が有利になることはない。裏を取ることも出来ない今、被害だけが積み上がっていく。

 守り側も相手の数が多いだけに、消耗が激しい。既に用意したバリスタの矢は使い果たし、弓と魔法士の攻撃のみになって魔法士の魔力もそろそろ底が近い。既に魔力切れになった魔法士も出てきていた。

「伯父様、バリスタの矢を使い切りました」

「急造だったが役に立ったな。相手の兵力の4割は削ったかがこちらも消耗が厳しいか」

「兵士たちの疲労もそろそろ限界かと」

「相手の攻勢も止まりつつある。兵を休ませよう」

 カタリーナの言葉に、ガーゼルベルトは相手の動きを見て兵を休ませることにした。が、それだけではない。

「副団長いるか?」

「はっ、ここにおります」

「貴族連合軍に夜襲をかける。これだけの差があれば閉じこもると思っているだろう。そこを突く」

「防衛に当たった兵は除くとなると動けるのは極星騎士団だけですが?」

「こういうのは少数で行うものよ。わしに付いてこい」

 ガーゼルベルトの言葉に副団長ナゼルは頷くと極星騎士団に伝令を出す。

 これから夜襲をかける。極星騎士団集合せよとそれだけを伝令に伝えると伝令はその場から離れた。

 伝令が離れてから、徐々に騎士団員が集まっていく。全員が揃うと要塞の中に簡易的に作った馬房に向かう。

 歩兵で動かず、あえて騎馬で動くのは歩兵では速度の問題がある。退却時に、追いつかれないようにするためで移動速度を重視した格好であった。

 それに、夜襲を行うことに意義があって相手の戦意を折るためであった。大多数では混乱してしまえば統率を取ることも出来なくなるのを知っているからこその行動である。
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