月の魔女と聖剣

空流眞壱

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対公爵 対邪神

第188話 辺境伯と侯爵の対談2

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月の魔女と聖剣

第188話 辺境伯と侯爵の対談2

 ディマジオ侯爵は、ガーゼルベルトがウィリアム第二王子を保護している事を知っていたが故に頷くしか無かった。どちらにしろ、王家の血はウィリアム第二王子が継承していた。最後の王家の血筋だけに絶やすと言う選択は出来る事では無かった。

「こちらで保護しようにも血の気が多い奴が多すぎる。下手に抱え込んだら王家を再興するという旗頭の元に内乱を勃発させるのが目に見えるよ」

「だろうな。東の貴族は権威にすがる奴らが多すぎる。しかも王都を破壊したのを再度復興させるだけの力もない」

「だな、そう言う意味ではカスルは暴走しすぎた。わしが南の貴族達の情報を得に行っている間に動きおったのが悔恨よ」

 ディマジオ侯爵としては王都を攻め落とし、王や第一王子ヘンリーを殺す必要は無かったと知っていた。だが、それでもカスルは勝手に動き、王都を破壊し、王を殺し、第一王子すら殺した。既に嫁がれた姫も死なせているだけに、王家の血を断絶させるために動いたと言われても否定出来る要素は何も無い。そう言われるだけのことをしてしまっていたからだ。

「東の貴族の力は弱まるだろう。ガーゼルベルト、辺境は変わりつつあるのだろう?このところの急速な発展を見れば分かる」

「ああ、モンスターに怯えていた時代はもう終わった。これからは領内を豊かにしていく時代か」

 ガーゼルベルトの言葉に、ディマジオ侯爵は宰相としてのガーゼルベルトはもう居ないのだと理解した。カスルがジョージ41世を殺したことでシルバール王国がなくなってしまったことに気づいた。

『やはり、もう国政に戻るつもりはないのだろう。元々、無理をして宰相を引き受けたのは知っていたが惜しいな』

 ディマジオ侯爵としてはそう思うが、本人にもうその意思がないのは理解出来た。国としてはもう分裂は免れない。そもそも中央が灰燼に帰してしまっているが故に、まとまる要素が一切なかった。そう言う意味ではまとまる象徴が欲しいところではあったが、この場では口に出さない。

 ガーゼルベルトもディマジオ侯爵の考えている事をうっすら感じていたから、国に関与することを否定した。どちらにしろ、今の国にガーゼルベルトが出る幕はないだろうと理解していたし、もう若者に任せるつもりでいた。前王に頼まれたこともカスルがぶち壊したことで、決着が付いてしまったからだ。

「しばらくは辺境の事に集中させて貰う。カタリーナやリエットがどう出るかは分からんが、少なくとも国を興すつもりは毛頭無い。わしよりもお前の方がそう言うのに向いているだろう」

「英雄に代わる才覚などあろうはずがない。言いたい理由は分かるが、今となっては無理な話だ」

 ディマジオ侯爵はガーゼルベルトの言葉を否定する。どちらにしろ、今となっては国を再建すると決まっていない以上動くことも出来ないのだ。ガーゼルベルトはそこを分かっているから、もう国政に参加するつもりはないと突っぱねたのだが。
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