81 / 138
第81話 夏休み
しおりを挟む
もうすぐ夏休みに突入しようかというとき、母さんから手紙が届いた。母さんからはほぼ毎週手紙が届いている。今回は夏休みの帰省のことだろう、と思っていたのだが、開けてみると中身は予想外だった。
「キルルへ。今度お父さんが仕事で王都に行く用事ができたから、お母さんもついていくことにしました。夏休みは王都で一緒に過ごしましょう」
と書かれていた。父さんが王都で仕事なんて珍しい。おそらく僕の夏休みに合わせて来たのだろう。
「あら、じゃあキルルは夏休み帰省しないのね」
「うん」
「それじゃ、また新学期にね」
リリイは、去年と同じように夏休みの初日に故郷へと帰っていった。相変わらず帰省できるのはとても嬉しそうだった。僕はやっぱりリリイの顔が一ヶ月見れないのは寂しい。
夏休みに帰省しないことになった僕は、両親が王都にやってくるまでの間、モンスター料理店の食材仕入れのためのモンスター退治に、僕も度々同行してレベルを上げていた。
夏休みに入って一週間経った頃、両親が王都にやってきた。
「キルル、元気にしていた? 少し背が伸びたわね」
母さんは僕の顔を見るなりそう言った。両親に会うのは冬休み帰省したとき以来だから、半年ぶりになる。いやそれ以上か。なので、背の低い僕も多少は背が伸びたようだ。
両親が王都に滞在する間は、僕は両親が取った宿屋で過ごすことになった。適正検査の時に取った宿屋だ。
宿屋の部屋に入ると、適正検査のため王都にやってきたときのことを思い出した。魔法に適正があるかどうか不安いっぱいでここに来たあの時から、一年半経った。即死魔法もレベル50を過ぎて、学生生活がちょうど半分過ぎていた。適正検査の時から、もう随分遠くに来た気がする。
「キルル、王都に、大きな池がある公園あるよな。明日、そこに釣りに行こうと思うんだ。キルルも来ないか」
宿屋で家族三人で夕食を食べている時、父さんが言った。もともと父さんは、釣りが好きなのだ。
「うん、行くよ」
王都で釣りをする機会はまだなかった。せっかくなので、父さんに付き添い、釣りに行くことにした。
「母さんは、明日どうするの? 釣りについてくるの?」
僕が聞くと、
「いえ、母さんは、王都の服屋に行くわ。田舎の町より品揃え良さそうだし」
「母さん一人で大丈夫?」
「大丈夫よ」
と言うので母さんだけ別行動になった。
翌日、父さんの言っていた大きな池のある公園にやってきた。僕もこの公園には今まで来たことがない。大きな池以外は取り立てて目立つところのない、静かな公園だ。父さんは、手慣れた様子で釣り竿と餌を用意し、持ち込んだ椅子に腰掛け釣りを始めた。僕も父さんに倣って釣りを始める。故郷の町でも父さんとは何回か釣りに行った。
「キルル、実は昨日な、校長先生と話したんだ」
ふいに父さんが話し始めた。
「校長先生と?」
「ああ。父さんも母さんも魔法はレベル50止まりなんだ。だからその先の世界はよく知らないし、何よりキルルの魔法は特殊だからね」
「父さん一人だけ? 母さんも?」
「父さん一人だけだよ。母さんは、即死魔法の話になると心配ばかりするから、母さんにも、校長先生と昨日話をしたことは言ってないんだ」
急に胸がざわついた。父さんと母さんが王都に来たのは仕事ついでじゃなくて、校長先生と話すことだったんだ。昨日、校長先生と父さんは、何を話したんだろう。
「キルルへ。今度お父さんが仕事で王都に行く用事ができたから、お母さんもついていくことにしました。夏休みは王都で一緒に過ごしましょう」
と書かれていた。父さんが王都で仕事なんて珍しい。おそらく僕の夏休みに合わせて来たのだろう。
「あら、じゃあキルルは夏休み帰省しないのね」
「うん」
「それじゃ、また新学期にね」
リリイは、去年と同じように夏休みの初日に故郷へと帰っていった。相変わらず帰省できるのはとても嬉しそうだった。僕はやっぱりリリイの顔が一ヶ月見れないのは寂しい。
夏休みに帰省しないことになった僕は、両親が王都にやってくるまでの間、モンスター料理店の食材仕入れのためのモンスター退治に、僕も度々同行してレベルを上げていた。
夏休みに入って一週間経った頃、両親が王都にやってきた。
「キルル、元気にしていた? 少し背が伸びたわね」
母さんは僕の顔を見るなりそう言った。両親に会うのは冬休み帰省したとき以来だから、半年ぶりになる。いやそれ以上か。なので、背の低い僕も多少は背が伸びたようだ。
両親が王都に滞在する間は、僕は両親が取った宿屋で過ごすことになった。適正検査の時に取った宿屋だ。
宿屋の部屋に入ると、適正検査のため王都にやってきたときのことを思い出した。魔法に適正があるかどうか不安いっぱいでここに来たあの時から、一年半経った。即死魔法もレベル50を過ぎて、学生生活がちょうど半分過ぎていた。適正検査の時から、もう随分遠くに来た気がする。
「キルル、王都に、大きな池がある公園あるよな。明日、そこに釣りに行こうと思うんだ。キルルも来ないか」
宿屋で家族三人で夕食を食べている時、父さんが言った。もともと父さんは、釣りが好きなのだ。
「うん、行くよ」
王都で釣りをする機会はまだなかった。せっかくなので、父さんに付き添い、釣りに行くことにした。
「母さんは、明日どうするの? 釣りについてくるの?」
僕が聞くと、
「いえ、母さんは、王都の服屋に行くわ。田舎の町より品揃え良さそうだし」
「母さん一人で大丈夫?」
「大丈夫よ」
と言うので母さんだけ別行動になった。
翌日、父さんの言っていた大きな池のある公園にやってきた。僕もこの公園には今まで来たことがない。大きな池以外は取り立てて目立つところのない、静かな公園だ。父さんは、手慣れた様子で釣り竿と餌を用意し、持ち込んだ椅子に腰掛け釣りを始めた。僕も父さんに倣って釣りを始める。故郷の町でも父さんとは何回か釣りに行った。
「キルル、実は昨日な、校長先生と話したんだ」
ふいに父さんが話し始めた。
「校長先生と?」
「ああ。父さんも母さんも魔法はレベル50止まりなんだ。だからその先の世界はよく知らないし、何よりキルルの魔法は特殊だからね」
「父さん一人だけ? 母さんも?」
「父さん一人だけだよ。母さんは、即死魔法の話になると心配ばかりするから、母さんにも、校長先生と昨日話をしたことは言ってないんだ」
急に胸がざわついた。父さんと母さんが王都に来たのは仕事ついでじゃなくて、校長先生と話すことだったんだ。昨日、校長先生と父さんは、何を話したんだろう。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ
しおしお
恋愛
四歳で婚約破棄された“天才幼女”――
今や、彼女を妻にしたいと王子が三人。
そして隣国の国王まで参戦!?
史上最大の婿取り争奪戦が始まる。
リュミエール王国の公爵令嬢セリカ・ディオールは、幼い頃に王家から婚約破棄された。
理由はただひとつ。
> 「幼すぎて才能がない」
――だが、それは歴史に残る大失策となる。
成長したセリカは、領地を空前の繁栄へ導いた“天才”として王国中から称賛される存在に。
灌漑改革、交易路の再建、魔物被害の根絶……
彼女の功績は、王族すら遠く及ばないほど。
その名声を聞きつけ、王家はざわついた。
「セリカに婿を取らせる」
父であるディオール公爵がそう発表した瞬間――
なんと、三人の王子が同時に立候補。
・冷静沈着な第一王子アコード
・誠実温和な第二王子セドリック
・策略家で負けず嫌いの第三王子シビック
王宮は“セリカ争奪戦”の様相を呈し、
王子たちは互いの足を引っ張り合う始末。
しかし、混乱は国内だけでは終わらなかった。
セリカの名声は国境を越え、
ついには隣国の――
国王まで本人と結婚したいと求婚してくる。
「天才で可愛くて領地ごと嫁げる?
そんな逸材、逃す手はない!」
国家の威信を賭けた婿争奪戦は、ついに“国VS国”の大騒動へ。
当の本人であるセリカはというと――
「わたし、お嫁に行くより……お昼寝のほうが好きなんですの」
王家が焦り、隣国がざわめき、世界が動く。
しかしセリカだけはマイペースにスイーツを作り、お昼寝し、領地を救い続ける。
これは――
婚約破棄された天才令嬢が、
王国どころか国家間の争奪戦を巻き起こしながら
自由奔放に世界を変えてしまう物語。
ゴミ捨て場領主のクラフト無双 ~最弱魔法【分解と合成】で領地を黄金郷に変えたら、俺を見下していた大貴族令嬢たちが掌を返してすり寄ってきた件~
namisan
ファンタジー
東西南北の大貴族から「毒の川」「凶暴な魔獣」「莫大な借金」を押し付けられ、王国の『ゴミ捨て場』と化したローゼンベルク領。
父と兄を謀殺され、その絶望の領地を押し付けられた無能貴族のアークは、領地の分割を企む高慢な令嬢たち(王女、公爵令嬢、姫将軍など)に嘲笑われていた。
だが、彼には現代の知識と、隠された最強チート能力があった!
触れたものを瞬時に素材に戻し、全く別のモノに作り変える神の御業――【分解と合成】。
「毒の川」を分解して『超高価な宝石と純水』へ!
「魔獣の死骸」と「瓦礫」を合成して『絶対に壊れない防壁』へ!
借金取りには新素材を高値で売りつけ、逆に敵の経済を支配していく。
圧倒的なクラフト能力で、瞬く間にゴミ捨て場を「無敵の黄金郷」へと作り変えていくアーク。
己の敗北を悟り、震え上がる悪徳貴族と高慢な令嬢たち。
さらに、アークの圧倒的な知略と底知れぬ実力は、気高い令嬢たちの本能に深く刻み込まれていく。
「どうか、私をあなたの手駒としてお使いください……っ!」
プライドを完全にへし折られた最高位の美少女たちは、いつしかアークの与える『恩恵』なしでは生きられないほど、彼に絶対の忠誠と依存を誓うようになっていく――。
最弱のゴミ捨て場から始まる、爽快クラフト内政&ざまぁファンタジー、堂々開幕!
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様でも、公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる