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第81話 夏休み
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もうすぐ夏休みに突入しようかというとき、母さんから手紙が届いた。母さんからはほぼ毎週手紙が届いている。今回は夏休みの帰省のことだろう、と思っていたのだが、開けてみると中身は予想外だった。
「キルルへ。今度お父さんが仕事で王都に行く用事ができたから、お母さんもついていくことにしました。夏休みは王都で一緒に過ごしましょう」
と書かれていた。父さんが王都で仕事なんて珍しい。おそらく僕の夏休みに合わせて来たのだろう。
「あら、じゃあキルルは夏休み帰省しないのね」
「うん」
「それじゃ、また新学期にね」
リリイは、去年と同じように夏休みの初日に故郷へと帰っていった。相変わらず帰省できるのはとても嬉しそうだった。僕はやっぱりリリイの顔が一ヶ月見れないのは寂しい。
夏休みに帰省しないことになった僕は、両親が王都にやってくるまでの間、モンスター料理店の食材仕入れのためのモンスター退治に、僕も度々同行してレベルを上げていた。
夏休みに入って一週間経った頃、両親が王都にやってきた。
「キルル、元気にしていた? 少し背が伸びたわね」
母さんは僕の顔を見るなりそう言った。両親に会うのは冬休み帰省したとき以来だから、半年ぶりになる。いやそれ以上か。なので、背の低い僕も多少は背が伸びたようだ。
両親が王都に滞在する間は、僕は両親が取った宿屋で過ごすことになった。適正検査の時に取った宿屋だ。
宿屋の部屋に入ると、適正検査のため王都にやってきたときのことを思い出した。魔法に適正があるかどうか不安いっぱいでここに来たあの時から、一年半経った。即死魔法もレベル50を過ぎて、学生生活がちょうど半分過ぎていた。適正検査の時から、もう随分遠くに来た気がする。
「キルル、王都に、大きな池がある公園あるよな。明日、そこに釣りに行こうと思うんだ。キルルも来ないか」
宿屋で家族三人で夕食を食べている時、父さんが言った。もともと父さんは、釣りが好きなのだ。
「うん、行くよ」
王都で釣りをする機会はまだなかった。せっかくなので、父さんに付き添い、釣りに行くことにした。
「母さんは、明日どうするの? 釣りについてくるの?」
僕が聞くと、
「いえ、母さんは、王都の服屋に行くわ。田舎の町より品揃え良さそうだし」
「母さん一人で大丈夫?」
「大丈夫よ」
と言うので母さんだけ別行動になった。
翌日、父さんの言っていた大きな池のある公園にやってきた。僕もこの公園には今まで来たことがない。大きな池以外は取り立てて目立つところのない、静かな公園だ。父さんは、手慣れた様子で釣り竿と餌を用意し、持ち込んだ椅子に腰掛け釣りを始めた。僕も父さんに倣って釣りを始める。故郷の町でも父さんとは何回か釣りに行った。
「キルル、実は昨日な、校長先生と話したんだ」
ふいに父さんが話し始めた。
「校長先生と?」
「ああ。父さんも母さんも魔法はレベル50止まりなんだ。だからその先の世界はよく知らないし、何よりキルルの魔法は特殊だからね」
「父さん一人だけ? 母さんも?」
「父さん一人だけだよ。母さんは、即死魔法の話になると心配ばかりするから、母さんにも、校長先生と昨日話をしたことは言ってないんだ」
急に胸がざわついた。父さんと母さんが王都に来たのは仕事ついでじゃなくて、校長先生と話すことだったんだ。昨日、校長先生と父さんは、何を話したんだろう。
「キルルへ。今度お父さんが仕事で王都に行く用事ができたから、お母さんもついていくことにしました。夏休みは王都で一緒に過ごしましょう」
と書かれていた。父さんが王都で仕事なんて珍しい。おそらく僕の夏休みに合わせて来たのだろう。
「あら、じゃあキルルは夏休み帰省しないのね」
「うん」
「それじゃ、また新学期にね」
リリイは、去年と同じように夏休みの初日に故郷へと帰っていった。相変わらず帰省できるのはとても嬉しそうだった。僕はやっぱりリリイの顔が一ヶ月見れないのは寂しい。
夏休みに帰省しないことになった僕は、両親が王都にやってくるまでの間、モンスター料理店の食材仕入れのためのモンスター退治に、僕も度々同行してレベルを上げていた。
夏休みに入って一週間経った頃、両親が王都にやってきた。
「キルル、元気にしていた? 少し背が伸びたわね」
母さんは僕の顔を見るなりそう言った。両親に会うのは冬休み帰省したとき以来だから、半年ぶりになる。いやそれ以上か。なので、背の低い僕も多少は背が伸びたようだ。
両親が王都に滞在する間は、僕は両親が取った宿屋で過ごすことになった。適正検査の時に取った宿屋だ。
宿屋の部屋に入ると、適正検査のため王都にやってきたときのことを思い出した。魔法に適正があるかどうか不安いっぱいでここに来たあの時から、一年半経った。即死魔法もレベル50を過ぎて、学生生活がちょうど半分過ぎていた。適正検査の時から、もう随分遠くに来た気がする。
「キルル、王都に、大きな池がある公園あるよな。明日、そこに釣りに行こうと思うんだ。キルルも来ないか」
宿屋で家族三人で夕食を食べている時、父さんが言った。もともと父さんは、釣りが好きなのだ。
「うん、行くよ」
王都で釣りをする機会はまだなかった。せっかくなので、父さんに付き添い、釣りに行くことにした。
「母さんは、明日どうするの? 釣りについてくるの?」
僕が聞くと、
「いえ、母さんは、王都の服屋に行くわ。田舎の町より品揃え良さそうだし」
「母さん一人で大丈夫?」
「大丈夫よ」
と言うので母さんだけ別行動になった。
翌日、父さんの言っていた大きな池のある公園にやってきた。僕もこの公園には今まで来たことがない。大きな池以外は取り立てて目立つところのない、静かな公園だ。父さんは、手慣れた様子で釣り竿と餌を用意し、持ち込んだ椅子に腰掛け釣りを始めた。僕も父さんに倣って釣りを始める。故郷の町でも父さんとは何回か釣りに行った。
「キルル、実は昨日な、校長先生と話したんだ」
ふいに父さんが話し始めた。
「校長先生と?」
「ああ。父さんも母さんも魔法はレベル50止まりなんだ。だからその先の世界はよく知らないし、何よりキルルの魔法は特殊だからね」
「父さん一人だけ? 母さんも?」
「父さん一人だけだよ。母さんは、即死魔法の話になると心配ばかりするから、母さんにも、校長先生と昨日話をしたことは言ってないんだ」
急に胸がざわついた。父さんと母さんが王都に来たのは仕事ついでじゃなくて、校長先生と話すことだったんだ。昨日、校長先生と父さんは、何を話したんだろう。
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