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第123話 喪失
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昨日、「特殊魔道士喫茶店」で泣きはらしたあと、先生がささやかにレベル100到達を祝ってくれた。小さいケーキと、果実酒をおごってくれた。レベル100になって「特殊魔道士喫茶店」にやってきた者にするしきたりだそうだ。
先生は、僕が夏休みにやったこと、深くは聞かずにいてくれた。おかげで少し落ち着き、夜は普通に眠った。そしてまた何か夢を見た。レベル100になって、新しい呪文が使えるようになったからだろう。内容は起きると忘れてしまう。
レベル100になると、相手の顔と本名さえ知っていればどこにいても相手を殺せる新しい呪文が使えるようになる。昨日、あれだけ泣いても、新しい呪文への興味は止められず、早速、新しい呪文を使ってみることにした。
元クラスメイトで所在が掴めなかったやつを一人殺してみた。魔力が減った感触があったのでおそらく成功していると思うが、目の前で何も起きないので正直物足りない。レベル100で手に入れた魔法がこれかあ……と僕はため息をついた。
後に殺したクラスメイトの訃報を新聞で見かけるまで、殺した実感が沸かなかった。
残りの夏休み、どう過ごすかな、とぼんやりしながらとりあえず学校を出た。後期が始まるまであと一週間ほどあり、リリイもまだ帰ってきていなくて暇でしょうがない。
学校の外に出ると、人がいた。スーだ。
「キルル」
スーは、見たことがないぐらい険しい顔で僕に近づいてきた。言いたいことは、もうわかっていた。
「アレンが、死んだよ。昨日。心臓麻痺だって」
「うん」
「……まるで、知ってるような反応だね……いや、知ってるんでしょ。君が殺したんだね」
「……ごめん」
「なんでさ! 殺さないでくれって言ったじゃない!!」
「アレンが、死にたがってた、から……ごめん」
スーは、涙を流しながら、僕の肩を一発だけ殴った。そして、何も言わずに踵を返して去っていった。
スーと遊ぶことはもう二度とないだろう。これは父さんが前言ってた「波紋」だ。僕は静かに受け止めるしかなかった。
僕は、スーとアレン、二人の友達を失った。
手応えはないものの、残りのクラスメイトもすべて殺した。もうレベル上げの必要はないけれど、所在のわからない者だけ生きながらえるなんて不平等だと思ったから殺すことにした。最近は一日一人殺していたので日課のように淡々と続けていた。
夏休みが終わるころ、僕は小中学校の元クラスメイト24人すべて殺し終えた。殺した人数は合計で27人になった。
先生は、僕が夏休みにやったこと、深くは聞かずにいてくれた。おかげで少し落ち着き、夜は普通に眠った。そしてまた何か夢を見た。レベル100になって、新しい呪文が使えるようになったからだろう。内容は起きると忘れてしまう。
レベル100になると、相手の顔と本名さえ知っていればどこにいても相手を殺せる新しい呪文が使えるようになる。昨日、あれだけ泣いても、新しい呪文への興味は止められず、早速、新しい呪文を使ってみることにした。
元クラスメイトで所在が掴めなかったやつを一人殺してみた。魔力が減った感触があったのでおそらく成功していると思うが、目の前で何も起きないので正直物足りない。レベル100で手に入れた魔法がこれかあ……と僕はため息をついた。
後に殺したクラスメイトの訃報を新聞で見かけるまで、殺した実感が沸かなかった。
残りの夏休み、どう過ごすかな、とぼんやりしながらとりあえず学校を出た。後期が始まるまであと一週間ほどあり、リリイもまだ帰ってきていなくて暇でしょうがない。
学校の外に出ると、人がいた。スーだ。
「キルル」
スーは、見たことがないぐらい険しい顔で僕に近づいてきた。言いたいことは、もうわかっていた。
「アレンが、死んだよ。昨日。心臓麻痺だって」
「うん」
「……まるで、知ってるような反応だね……いや、知ってるんでしょ。君が殺したんだね」
「……ごめん」
「なんでさ! 殺さないでくれって言ったじゃない!!」
「アレンが、死にたがってた、から……ごめん」
スーは、涙を流しながら、僕の肩を一発だけ殴った。そして、何も言わずに踵を返して去っていった。
スーと遊ぶことはもう二度とないだろう。これは父さんが前言ってた「波紋」だ。僕は静かに受け止めるしかなかった。
僕は、スーとアレン、二人の友達を失った。
手応えはないものの、残りのクラスメイトもすべて殺した。もうレベル上げの必要はないけれど、所在のわからない者だけ生きながらえるなんて不平等だと思ったから殺すことにした。最近は一日一人殺していたので日課のように淡々と続けていた。
夏休みが終わるころ、僕は小中学校の元クラスメイト24人すべて殺し終えた。殺した人数は合計で27人になった。
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