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第125話 恐れ
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後期が始まってからというもの、ロビーに行くと、みんなの目が痛い。僕に何が起こったか気になるけど聞けないといった感じだ。トイあたりが夏休みの動向を探ってくるのだが、聞かれたくない。
僕はロビーにはどんどん行かなくなり、部屋に籠もるようになった。
そして、リリイともうどう接すればいいかわからなくなってしまった。もう、リリイが想像している「僕」と実際の「僕」の実態があまりに離れてしまっているのはわかっていた。そして、リリイに僕の実態を知られたとき、嫌われてしまうかもしれないと思うと、もうリリイの目も見れなくなってしまった。
どんどんリリイと距離が開いて気まずくなっていく。挨拶すらできなくなり、リリイが話かけてきそうになると、逃げるようにその場を離れるようになっていった。みんなも、僕とリリイの関係性の異変に気づいていた。
即死魔法のレベル上げももう必要ない、一般教養も出る必要もないときに、この状況は堪えた。
僕はとうとうホームルームにも出なくなった。
レベル100になったんだから、ここは卒業できる。ホームルームをサボろうが関係ない。もうどうでもいい――
夕方になったころ、部屋のドアをノックする音がした。
「キルルくん、いますか」
校長先生の声だ。
「はい」
「少し、お話ししましょう」
僕は先生を部屋に入れた。先生は全てを知っているから問題ないと思った。
僕は剥製部屋に先生を通して、ベッドに腰掛けた。先生は、ベッドの近くにある椅子に座った。今日の先生はピエロ姿だ。
「どうしましたか。キルルくんはもうレベル100なので、ホームルームに来てくれなくても構いませんが、やっぱり朝、顔見れないのは心配でして」
僕はしばらく黙っていたが、話すことにした。
「父さんに言われたんです。『即死魔法』は大きな力たがら、使うときは、その後に起こることをきちんと考えろって。そして考えた上で、力を使って起きた波紋は、静かに受け止めろって」
話している内に涙がぼろぼろこぼれてくる。
「だけど、やっぱり、『波紋』が怖くて……この間友達を殺したのをきっかけに僕は一人友達を失いました。友達が去っていったこと、受け止め切れてなくて、楽しく遊んでいたときのことばかり思い出してしまって……」
スーが離れて行ったこと、やっぱり辛かった。僕が悪いのは全てわかっている。それでも辛かった。
「夏休みのことを知られたら、特殊クラスのみんなもリリイも離れて行きそうで……」
トイは、気になることを放っておく性分じゃない。トイは僕が夏休みノースリタシティにいて、そこで学生が連続不審死したことまで掴んでいた。もうすぐ真実までたどり着くだろう。
校長先生は、しばらく黙って聞いたあと、
「酒だ」
とつぶやいた。あまりに素っ頓狂なつぶやきだったので僕がぽかんとすると、
「こんなときは酒です。もう飲みましょう! キルルくんもう18歳だから飲めるでしょう。大人は辛いときは酒ですよ! 先生と飲みましょう!」
あまりに唐突に校長先生がむちゃくちゃなことを言い出したので僕は思わず笑ってしまった。
「少し笑ってくれて安心しました。さて、どこに行きます? バーにします? なんなら校長室でもいいですよ」
まだ行くとは言っていないのに強引に話をすすめる先生がますますおかしくて笑ってしまう。
「校長室にお酒あるんですか」
「ありますとも! 『校長先生』って案外大変なんですよ! お酒各種揃えてますよ!」
校長室で校長先生と酒盛りか、なんだかおかしいけどそれも悪くないかな、と思った僕は、校長先生と校長室に行った。のこのこと行ってしまったのだ……
僕はロビーにはどんどん行かなくなり、部屋に籠もるようになった。
そして、リリイともうどう接すればいいかわからなくなってしまった。もう、リリイが想像している「僕」と実際の「僕」の実態があまりに離れてしまっているのはわかっていた。そして、リリイに僕の実態を知られたとき、嫌われてしまうかもしれないと思うと、もうリリイの目も見れなくなってしまった。
どんどんリリイと距離が開いて気まずくなっていく。挨拶すらできなくなり、リリイが話かけてきそうになると、逃げるようにその場を離れるようになっていった。みんなも、僕とリリイの関係性の異変に気づいていた。
即死魔法のレベル上げももう必要ない、一般教養も出る必要もないときに、この状況は堪えた。
僕はとうとうホームルームにも出なくなった。
レベル100になったんだから、ここは卒業できる。ホームルームをサボろうが関係ない。もうどうでもいい――
夕方になったころ、部屋のドアをノックする音がした。
「キルルくん、いますか」
校長先生の声だ。
「はい」
「少し、お話ししましょう」
僕は先生を部屋に入れた。先生は全てを知っているから問題ないと思った。
僕は剥製部屋に先生を通して、ベッドに腰掛けた。先生は、ベッドの近くにある椅子に座った。今日の先生はピエロ姿だ。
「どうしましたか。キルルくんはもうレベル100なので、ホームルームに来てくれなくても構いませんが、やっぱり朝、顔見れないのは心配でして」
僕はしばらく黙っていたが、話すことにした。
「父さんに言われたんです。『即死魔法』は大きな力たがら、使うときは、その後に起こることをきちんと考えろって。そして考えた上で、力を使って起きた波紋は、静かに受け止めろって」
話している内に涙がぼろぼろこぼれてくる。
「だけど、やっぱり、『波紋』が怖くて……この間友達を殺したのをきっかけに僕は一人友達を失いました。友達が去っていったこと、受け止め切れてなくて、楽しく遊んでいたときのことばかり思い出してしまって……」
スーが離れて行ったこと、やっぱり辛かった。僕が悪いのは全てわかっている。それでも辛かった。
「夏休みのことを知られたら、特殊クラスのみんなもリリイも離れて行きそうで……」
トイは、気になることを放っておく性分じゃない。トイは僕が夏休みノースリタシティにいて、そこで学生が連続不審死したことまで掴んでいた。もうすぐ真実までたどり着くだろう。
校長先生は、しばらく黙って聞いたあと、
「酒だ」
とつぶやいた。あまりに素っ頓狂なつぶやきだったので僕がぽかんとすると、
「こんなときは酒です。もう飲みましょう! キルルくんもう18歳だから飲めるでしょう。大人は辛いときは酒ですよ! 先生と飲みましょう!」
あまりに唐突に校長先生がむちゃくちゃなことを言い出したので僕は思わず笑ってしまった。
「少し笑ってくれて安心しました。さて、どこに行きます? バーにします? なんなら校長室でもいいですよ」
まだ行くとは言っていないのに強引に話をすすめる先生がますますおかしくて笑ってしまう。
「校長室にお酒あるんですか」
「ありますとも! 『校長先生』って案外大変なんですよ! お酒各種揃えてますよ!」
校長室で校長先生と酒盛りか、なんだかおかしいけどそれも悪くないかな、と思った僕は、校長先生と校長室に行った。のこのこと行ってしまったのだ……
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