レベル1からレベル100-即死魔道士成長物語-

第135話 卒業式

　卒業式の日は、暖かくてよく晴れた、卒業式にふさわしい日だった。

　まず、ホールで卒業式典が行われた。一般クラスの生徒も特殊クラスの生徒も合同だ。

　そして、特殊クラスの教室で最後のホームルームが行われた。
「皆さん、卒業おめでとうございます。みんな、無事レベル100の魔道士になりました。先生、本当に嬉しいです。では、今から卒業証書を渡します」
　名簿順に卒業証書が手渡される。


「退化魔道士ネルさん。あなたが入学してきたころ、先生は校長になったばかりで、至らないばかりに留年させてしまったなと思っています。だけど、この学年にいれて良かったと言ってくれて嬉しかったです」

「クイズ作成魔道士トイさん。君も、同級生が増えて、やる気を出してくれて良かったです。君は、先生ではなくみんなが育ててくれた気がしますね。トラウマだった因縁のモンスターとも決着がついてよかったですね。その頭脳、是非いろいろなところで活かしてください」

「複合魔道士ポールトーマスさん。これだけ十人十色のクラスの学級委員、本当にお疲れ様でした。みんなを、そしてネルさんを率いて頑張ってくれて感謝しています。レベル上げも安定していて、先生も安心して見守れました」

「音楽魔道士カランドさん。音楽学校との両立、レベル上げの難しい音楽魔法、大変でしたね。ほんとうに頑張りました。あなたが影で努力していたこと、先生もみんなも知っています」

「即死魔道士キルルさん。レベル上げでは誰より熱心で優秀でしたね。君の力は強力ですが、どうかその力、世のために使ってください。君がどう生きようと、先生もみんなもあなたの味方ですよ」

「瞬間移動魔道士ワープマンさん。瞬間移動魔法、とても便利で助かりました。戦士学校との両立もよく頑張りました。あなたは総合的に優秀です。だけどあまり無理せずにね」

「簡略魔道士リャさん。君は、突出したものがないと悩んでいましたが、すべてにおいて優秀で素晴らしいです。かつ周りに流されず、自分のペースでしっかり頑張ってくれました。これからの活躍に期待しています」
　
「笑わせ魔道士ショウさん。君は、こんなシビアな学校で、常に朗らかに学生生活を送った稀有な存在です。実はあなたが一番すごいんじゃないかと思っていますよ」

「変身魔道士キャサリンさん。私が君なら、美女に変身するなり男子生徒すべて誘惑しています。それをしなかったあなたは冷静で、自分と世の中客観的に見れる人です。変身魔道士があなたで本当によかったです」

「蘇生魔道士リリイさん。まず、親子二代で不快な思いをさせてすみません。ホームシックを乗り越えて頑張りましたね。魔道士としては本当に優秀で、何も言うことありませんでした」

　ポールトーマスが花束を持って先生のところへ行く。
「校長先生、三年間ありがとうございました」
　この日の校長先生は、ピエロ姿だったが、いつの間にかメイクが取れて顔だけ素顔になっていた。
「そんな、私は何も……『特殊魔道士』は、それぞれやることが違いますから、見守ることしか出来ませんもの。みんなが自分と向き合い頑張ってくれたからです。こちらこそ、ありがとう」
　先生は、涙ぐんでいた。
「見守ってくれただけで、十分です。ありがとうございました」
　みんなでお礼を言った。
　ありがとう、先生。