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第九話 今日の猫
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雨
ザァー…
晴れ
ピカーン…
雨
晴れ
そんな天気が繰り返していきそのおかげで作物がぐんぐん育った。畑には丸々太った野菜たちが転がっている。
「太りましたね」
白玉が畑を耕している間に私は、作物を収穫していく。野菜は籠に入れて背負って運ぶ。古いやり方に見えるが、これが一番効率が良い。
今日の博士のご飯は何にしようかと考えて家に戻っていたら…
にゃ~…
どこかから声がした。聞こえなくなったので、気のせいかと思ったが…
にゃ~…まぁ~…
やはり、どこかから声がする。先ほどの声の居所を探るために脳内で再生し、特定する。
!!
茂みの方だ。空き地あたりには雑草まみれで茂みや木が多くある。←博士がそのままにしたがるから。(マリー)←別にいいじゃん。(博士)←邪魔です。(マリー)
博士とくだらない会話(空想の中で)をしながら行ってみると塀へとたどり着いた。
にゃ~…まぁ~…
そこから、はっきりと聞こえる。声の主は塀の外からだった。よく、外からここまで鳴いたものだと思った。あの者たちがいつもと違う叫びをしていると思った。…思うだけで、特に意味なしと仕事に戻った…
にゃ…まぁ…
声が小さくなったように聞こえた。もしかして、
あの者たちではなく…生きているのではないだろうかと。
仕事…声…仕事…声…塀…行く…行かない…気にしない…気になる…どうしよう…どうしたら…博士なら…
どうするだろう…
『マリー…マリーはやりたことを率先してやるといいよ』
『私は貴方様のためにいます』
『私はマリーとは主従関係でいたいわけじゃないよ』
『それは命令ですか』
『命令とも違うかな…私の希望であり願いかな』
『そうですか…』
『だから…やりたいことがあったら言って』
『私は…マリーといたい』
『マリーといたいの』
…昔博士が言った言葉、表情を思い出した。これは出会った頃の記録だ。博士は不思議な人だと思った。
ドサッ…
気がついたら、籠を足元に置いていた。…私の中では、向こう側に行こうと思ってしまっていた。塀は高く約二人分ぐらいの高さだ。私では、登る事もできない。急いで足元に使えそうな物を置き、慎重によじ登って塀の上に行く。降りたら、向こうから登れないようになっているので落ちないように外を見ると…
にゃ~…まぁ~…
二匹の生き物がいた。まだ、薄汚れており小さく脆そうだった。
「まだ…あの者たちとは違う」
周りには、あの者たちはまだいない。まだ間に合う。私は急いで二匹を捕まえれる物を取りに倉庫に向かった。倉庫の中を探して見るとすぐ目の前にあった。大きめの網を手にして向かう。
(どうか…どうか…まだいますように…)
にゃ…まぁ…
急いで登り見ると二匹を見つけたあの者たちが集まってきている。
グイッ…
網を二匹の前にもってきた。網に入れば、二匹を助けることができるが…
にゃ…まぁ…
鳴いているだけで入ってこない。壁に沿って入れようとしたが無理だ。
(入って…入って…)
じゃないと、あの者たちが寄ってきて二匹は…
「入って…」
にゃ…まぁ…
「はやく…」
にゃ…まぁ…
「お願い…」
にゃ…まぁ…
全然入らない。あの者たちはすぐ底にいる。もう、手を伸ばしてきている。
ムカッ…
「…さっさと入れってんだよ」
にゃ?!まぁ!?
猫は何か感じたのか飛びつくように網に入った。
あの者たちが触れるか触れないかギリギリで引き上げる。
にゃ…まぁ…
二匹は無事なようだ。
……………
これ…どうしよう…
にゃ…まぁ…
塀の向こう側に戻すわけにも行かないし…
そこら辺に置いておいて、作物を荒らされては困るし…
何も考えずやってしまった…これでは…これでは…
「博士みたいだ…」
そのことがショック…
『マリー…やっちまった』
『何しているんですか』
『タスケテマリ~』
『無茶はしないでください』
『マリ~』
『博士が悪いんですよ』
『後のことを考えて行動してください』
あんなに口酸っぱく言っていたのに…
博士みたいに後先考えに何かしてしまうのは…私はありえないと思っていたのに…
とりあえず博士に聞いてみよう。
[研究室]
博士は大体ここで立て籠もっている。何をしているのかはわらからない。
「博士…いますか」
「いるよー」
「博士大変です」
「何がー」
「やってしまいました」
「とうとう…何か壊したの?はやかったね」
「違います。なんで私が壊す前提なんですか」
「そんな、ような機能が付いているからね」
「なんですかそれ」
「まぁ…そんな時もあろうかとこれを作っていたんだよ」
博士は箱から丸い白い物体を取り出した。大きさはサッカーボール。特徴は、顔あたりに大きめのカメラがあること。
「ガラクタですか」
「転がっていってゴミを片付けるんだよ」
「それ…間違って蹴ってしまいませんか」
「大丈夫!!蹴られたら、ぶつかり返されるから…嫌でも蹴らないよ」
「その機能要りますか」
「……………ゴミは口の部分で回収するよ」
パコッ…
口というより舌がでてきた。
「ゴミを食べろと」
「回収といって欲しい!!」
「かわいそうですね」
「元々、マリーにも付ける予定で…」
「やめてください」
「掃除に便利だよ」
「絶対っに嫌です」
「他にも、対象物を光線で灰にするやつとか…」
「危険です」
「歯磨きしながら、頬のマッサージするやつとか…」
「いりません」
「歯磨きしながら、髪を整えるの…」
「それは便利ですけど…でかくないですか」
歯磨きだけなら棒一本で済むけど、これは頭に着けて使うようなので無駄にデカい。昔あったパーマをかける大きめの機械のようだ。
「いいやつほどデカくなる」
自信満々に言っているが…
「所詮はガラクタですね」
「ひど~い」
拗ねるように博士は言った。
「これとか歯磨きしながら…」
「あっもう結構です」
「もう少し、興味持ってよ」
「なんで…歯磨きしながらなんですか」
「必要だから」
「こんな機能欲しがる人なんているんですか」
「…いるよ」
博士は、今までと違い懐かしむような顔をした。どうしたのだろう。
「試してみる☆」
「やめてください」
「チェ…」
「…それより聞きたいことがあるのですが」
「なに?なんか…」
にゃ~…まぁ~…
バレた。
「今のって…」
「はい」
「にゃんこ?」
「猫です」
隠す必要はないと思い、博士に見せる。
「どうしたのそのにゃんこ?」
「拾いました…博士どうしましょう」
「どうしよっか…」
にゃ~…まぁ~…
猫二匹とロボット一体と博士一匹、家族が増えた。
ザァー…
晴れ
ピカーン…
雨
晴れ
そんな天気が繰り返していきそのおかげで作物がぐんぐん育った。畑には丸々太った野菜たちが転がっている。
「太りましたね」
白玉が畑を耕している間に私は、作物を収穫していく。野菜は籠に入れて背負って運ぶ。古いやり方に見えるが、これが一番効率が良い。
今日の博士のご飯は何にしようかと考えて家に戻っていたら…
にゃ~…
どこかから声がした。聞こえなくなったので、気のせいかと思ったが…
にゃ~…まぁ~…
やはり、どこかから声がする。先ほどの声の居所を探るために脳内で再生し、特定する。
!!
茂みの方だ。空き地あたりには雑草まみれで茂みや木が多くある。←博士がそのままにしたがるから。(マリー)←別にいいじゃん。(博士)←邪魔です。(マリー)
博士とくだらない会話(空想の中で)をしながら行ってみると塀へとたどり着いた。
にゃ~…まぁ~…
そこから、はっきりと聞こえる。声の主は塀の外からだった。よく、外からここまで鳴いたものだと思った。あの者たちがいつもと違う叫びをしていると思った。…思うだけで、特に意味なしと仕事に戻った…
にゃ…まぁ…
声が小さくなったように聞こえた。もしかして、
あの者たちではなく…生きているのではないだろうかと。
仕事…声…仕事…声…塀…行く…行かない…気にしない…気になる…どうしよう…どうしたら…博士なら…
どうするだろう…
『マリー…マリーはやりたことを率先してやるといいよ』
『私は貴方様のためにいます』
『私はマリーとは主従関係でいたいわけじゃないよ』
『それは命令ですか』
『命令とも違うかな…私の希望であり願いかな』
『そうですか…』
『だから…やりたいことがあったら言って』
『私は…マリーといたい』
『マリーといたいの』
…昔博士が言った言葉、表情を思い出した。これは出会った頃の記録だ。博士は不思議な人だと思った。
ドサッ…
気がついたら、籠を足元に置いていた。…私の中では、向こう側に行こうと思ってしまっていた。塀は高く約二人分ぐらいの高さだ。私では、登る事もできない。急いで足元に使えそうな物を置き、慎重によじ登って塀の上に行く。降りたら、向こうから登れないようになっているので落ちないように外を見ると…
にゃ~…まぁ~…
二匹の生き物がいた。まだ、薄汚れており小さく脆そうだった。
「まだ…あの者たちとは違う」
周りには、あの者たちはまだいない。まだ間に合う。私は急いで二匹を捕まえれる物を取りに倉庫に向かった。倉庫の中を探して見るとすぐ目の前にあった。大きめの網を手にして向かう。
(どうか…どうか…まだいますように…)
にゃ…まぁ…
急いで登り見ると二匹を見つけたあの者たちが集まってきている。
グイッ…
網を二匹の前にもってきた。網に入れば、二匹を助けることができるが…
にゃ…まぁ…
鳴いているだけで入ってこない。壁に沿って入れようとしたが無理だ。
(入って…入って…)
じゃないと、あの者たちが寄ってきて二匹は…
「入って…」
にゃ…まぁ…
「はやく…」
にゃ…まぁ…
「お願い…」
にゃ…まぁ…
全然入らない。あの者たちはすぐ底にいる。もう、手を伸ばしてきている。
ムカッ…
「…さっさと入れってんだよ」
にゃ?!まぁ!?
猫は何か感じたのか飛びつくように網に入った。
あの者たちが触れるか触れないかギリギリで引き上げる。
にゃ…まぁ…
二匹は無事なようだ。
……………
これ…どうしよう…
にゃ…まぁ…
塀の向こう側に戻すわけにも行かないし…
そこら辺に置いておいて、作物を荒らされては困るし…
何も考えずやってしまった…これでは…これでは…
「博士みたいだ…」
そのことがショック…
『マリー…やっちまった』
『何しているんですか』
『タスケテマリ~』
『無茶はしないでください』
『マリ~』
『博士が悪いんですよ』
『後のことを考えて行動してください』
あんなに口酸っぱく言っていたのに…
博士みたいに後先考えに何かしてしまうのは…私はありえないと思っていたのに…
とりあえず博士に聞いてみよう。
[研究室]
博士は大体ここで立て籠もっている。何をしているのかはわらからない。
「博士…いますか」
「いるよー」
「博士大変です」
「何がー」
「やってしまいました」
「とうとう…何か壊したの?はやかったね」
「違います。なんで私が壊す前提なんですか」
「そんな、ような機能が付いているからね」
「なんですかそれ」
「まぁ…そんな時もあろうかとこれを作っていたんだよ」
博士は箱から丸い白い物体を取り出した。大きさはサッカーボール。特徴は、顔あたりに大きめのカメラがあること。
「ガラクタですか」
「転がっていってゴミを片付けるんだよ」
「それ…間違って蹴ってしまいませんか」
「大丈夫!!蹴られたら、ぶつかり返されるから…嫌でも蹴らないよ」
「その機能要りますか」
「……………ゴミは口の部分で回収するよ」
パコッ…
口というより舌がでてきた。
「ゴミを食べろと」
「回収といって欲しい!!」
「かわいそうですね」
「元々、マリーにも付ける予定で…」
「やめてください」
「掃除に便利だよ」
「絶対っに嫌です」
「他にも、対象物を光線で灰にするやつとか…」
「危険です」
「歯磨きしながら、頬のマッサージするやつとか…」
「いりません」
「歯磨きしながら、髪を整えるの…」
「それは便利ですけど…でかくないですか」
歯磨きだけなら棒一本で済むけど、これは頭に着けて使うようなので無駄にデカい。昔あったパーマをかける大きめの機械のようだ。
「いいやつほどデカくなる」
自信満々に言っているが…
「所詮はガラクタですね」
「ひど~い」
拗ねるように博士は言った。
「これとか歯磨きしながら…」
「あっもう結構です」
「もう少し、興味持ってよ」
「なんで…歯磨きしながらなんですか」
「必要だから」
「こんな機能欲しがる人なんているんですか」
「…いるよ」
博士は、今までと違い懐かしむような顔をした。どうしたのだろう。
「試してみる☆」
「やめてください」
「チェ…」
「…それより聞きたいことがあるのですが」
「なに?なんか…」
にゃ~…まぁ~…
バレた。
「今のって…」
「はい」
「にゃんこ?」
「猫です」
隠す必要はないと思い、博士に見せる。
「どうしたのそのにゃんこ?」
「拾いました…博士どうしましょう」
「どうしよっか…」
にゃ~…まぁ~…
猫二匹とロボット一体と博士一匹、家族が増えた。
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