私が生きるゾンビ世界

春紗

文字の大きさ
9 / 23

第九話 今日の猫

しおりを挟む

ザァー…
晴れ
ピカーン…

晴れ
そんな天気が繰り返していきそのおかげで作物がぐんぐん育った。畑には丸々太った野菜たちが転がっている。
「太りましたね」
白玉が畑を耕している間に私は、作物を収穫していく。野菜は籠に入れて背負って運ぶ。古いやり方に見えるが、これが一番効率が良い。
今日の博士のご飯は何にしようかと考えて家に戻っていたら…
にゃ~…
どこかから声がした。聞こえなくなったので、気のせいかと思ったが…
にゃ~…まぁ~…
やはり、どこかから声がする。先ほどの声の居所を探るために脳内で再生し、特定する。
!!
茂みの方だ。空き地あたりには雑草まみれで茂みや木が多くある。←博士がそのままにしたがるから。(マリー)←別にいいじゃん。(博士)←邪魔です。(マリー)
博士とくだらない会話(空想の中で)をしながら行ってみると塀へとたどり着いた。
にゃ~…まぁ~…
そこから、はっきりと聞こえる。声の主は塀の外からだった。よく、外からここまで鳴いたものだと思った。あの者たちがいつもと違う叫びをしていると思った。…思うだけで、特に意味なしと仕事に戻った…
にゃ…まぁ…
声が小さくなったように聞こえた。もしかして、
あの者たちではなく…生きているのではないだろうかと。
仕事…声…仕事…声…塀…行く…行かない…気にしない…気になる…どうしよう…どうしたら…博士なら…
どうするだろう…
『マリー…マリーはやりたことを率先してやるといいよ』
『私は貴方様のためにいます』
『私はマリーとは主従関係でいたいわけじゃないよ』
『それは命令ですか』
『命令とも違うかな…私の希望であり願いかな』
『そうですか…』
『だから…やりたいことがあったら言って』
『私は…マリーといたい』
『マリーといたいの』
…昔博士が言った言葉、表情を思い出した。これは出会った頃の記録だ。博士は不思議な人だと思った。
ドサッ…
気がついたら、籠を足元に置いていた。…私の中では、向こう側に行こうと思ってしまっていた。塀は高く約二人分ぐらいの高さだ。私では、登る事もできない。急いで足元に使えそうな物を置き、慎重によじ登って塀の上に行く。降りたら、向こうから登れないようになっているので落ちないように外を見ると…
にゃ~…まぁ~…
二匹の生き物がいた。まだ、薄汚れており小さく脆そうだった。
「まだ…あの者たちとは違う」
周りには、あの者たちはまだいない。まだ間に合う。私は急いで二匹を捕まえれる物を取りに倉庫に向かった。倉庫の中を探して見るとすぐ目の前にあった。大きめの網を手にして向かう。
(どうか…どうか…まだいますように…)
にゃ…まぁ…
急いで登り見ると二匹を見つけたあの者たちが集まってきている。
グイッ…
網を二匹の前にもってきた。網に入れば、二匹を助けることができるが…
にゃ…まぁ…
鳴いているだけで入ってこない。壁に沿って入れようとしたが無理だ。
(入って…入って…)
じゃないと、あの者たちが寄ってきて二匹は…
「入って…」
にゃ…まぁ…
「はやく…」
にゃ…まぁ…
「お願い…」
にゃ…まぁ…
全然入らない。あの者たちはすぐ底にいる。もう、手を伸ばしてきている。
ムカッ…
「…さっさと入れってんだよ」
にゃ?!まぁ!?
猫は何か感じたのか飛びつくように網に入った。
あの者たちが触れるか触れないかギリギリで引き上げる。
にゃ…まぁ…
二匹は無事なようだ。
……………
これ…どうしよう…
にゃ…まぁ…
塀の向こう側に戻すわけにも行かないし…
そこら辺に置いておいて、作物を荒らされては困るし…
何も考えずやってしまった…これでは…これでは…
「博士みたいだ…」
そのことがショック…
『マリー…やっちまった』
『何しているんですか』
『タスケテマリ~』
『無茶はしないでください』
『マリ~』
『博士が悪いんですよ』
『後のことを考えて行動してください』
あんなに口酸っぱく言っていたのに…
博士みたいに後先考えに何かしてしまうのは…私はありえないと思っていたのに…
とりあえず博士に聞いてみよう。
[研究室]
博士は大体ここで立て籠もっている。何をしているのかはわらからない。
「博士…いますか」
「いるよー」
「博士大変です」
「何がー」
「やってしまいました」
「とうとう…何か壊したの?はやかったね」
「違います。なんで私が壊す前提なんですか」
「そんな、ような機能が付いているからね」
「なんですかそれ」
「まぁ…そんな時もあろうかとこれを作っていたんだよ」
博士は箱から丸い白い物体を取り出した。大きさはサッカーボール。特徴は、顔あたりに大きめのカメラがあること。
「ガラクタですか」
「転がっていってゴミを片付けるんだよ」
「それ…間違って蹴ってしまいませんか」
「大丈夫!!蹴られたら、ぶつかり返されるから…嫌でも蹴らないよ」
「その機能要りますか」
「……………ゴミは口の部分で回収するよ」
パコッ…
口というより舌がでてきた。
「ゴミを食べろと」
「回収といって欲しい!!」
「かわいそうですね」
「元々、マリーにも付ける予定で…」
「やめてください」
「掃除に便利だよ」
「絶対っに嫌です」
「他にも、対象物を光線で灰にするやつとか…」
「危険です」
「歯磨きしながら、頬のマッサージするやつとか…」
「いりません」
「歯磨きしながら、髪を整えるの…」
「それは便利ですけど…でかくないですか」
歯磨きだけなら棒一本で済むけど、これは頭に着けて使うようなので無駄にデカい。昔あったパーマをかける大きめの機械のようだ。
「いいやつほどデカくなる」
自信満々に言っているが…
「所詮はガラクタですね」
「ひど~い」
拗ねるように博士は言った。
「これとか歯磨きしながら…」
「あっもう結構です」
「もう少し、興味持ってよ」
「なんで…歯磨きしながらなんですか」
「必要だから」
「こんな機能欲しがる人なんているんですか」
「…いるよ」
博士は、今までと違い懐かしむような顔をした。どうしたのだろう。
「試してみる☆」
「やめてください」
「チェ…」
「…それより聞きたいことがあるのですが」
「なに?なんか…」
にゃ~…まぁ~…
バレた。
「今のって…」
「はい」
「にゃんこ?」
「猫です」
隠す必要はないと思い、博士に見せる。
「どうしたのそのにゃんこ?」
「拾いました…博士どうしましょう」
「どうしよっか…」
にゃ~…まぁ~…
猫二匹とロボット一体と博士一匹、家族が増えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。

NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。 中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。 しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。 助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。 無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。 だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。 この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。 この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった…… 7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか? NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。 ※この作品だけを読まれても普通に面白いです。 関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】     【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

処理中です...