私が生きるゾンビ世界

春紗

文字の大きさ
12 / 23

第十一話 今日のお使い

しおりを挟む
水を嫌がる二匹を風呂に入れた。猫用のシャンプーはないので、軽く水洗いをする。どうしても、気になる部分は無添加の石鹸で洗う。人間用のでは、動物たちには使えない。人間用の物のほとんどは毒でしかない。
真っ黒だった二匹の猫は、汚れが落ち、風呂場が黒くなっていった。
「おぉ…美人さんだね」
「そうですね」
タオルで拭いて再確認すると二匹の猫はツヤツヤの毛に、白と灰色の猫だった。
「白と灰色…君達は会いに来てくれたのかな」
「何言ってるんですか」
博士は懐かしむように猫を見ていた。猫でも昔飼っていたのだろうか。
「白は雌で…灰色は雄か…」
「そうみたいですね」
「そうだね…」
「博士…」
「去勢手術はやっとったほうがいいかな?」
「今の現状ではどちらでもいいですからね」
今この世界では猫以前に生き物が少ない。増やそうが減らそうがどちらでも可能だ。
「今はこのままにしとくとして…」
「はい」
「今すぐにしないといけないことがあるよね」
「ありますね」
博士と考えていることが同じなのだろうか。
せーの
「にゃんこの名前」
「ペット用品」
見事に違った。
「いやいや、名前が先でしょ」
「いえ…我が家には猫用の物がありません」
「確かに…」
「人間の廃棄物しかないのでキャットフードを買わないと…」
「廃棄物って?」
「それにお風呂に入れたのは良いですが…ちゃんとした猫用の物でやるべきなので」
「無視された…」
「物以外にもありますし…」
「まぁね」
「後、予防接種などもしないと…」
「うん…」
「なので…」
「いや!!何を言いたいのか分かる」
博士は手を前に突き出し抵抗するような動きをしている。
「…買い物でしょ」
「はい。そうですよ」
「マリー行ってきて」
「博士も一緒に行きましょう」
「無理!!」
「博士…」
「いやだーいきたくない!!」
駄々こね始めた。今回は、『博士の物を買うから…』じゃないので説得は難しそうだな。猫を買うと決めた以上、私が行くしかない…私だけが行くしかない…
「はぁ…なら私一人で行ってきますよ」
「…うん」
「博士は猫の世話をしてください」
「名前考えておきます」
「変な名前にしないでくださいよ」
「失礼な!!良い名前を考えておくよ」
「そうですか…」
じー
「なにその信用のない目は」
「いえ…私の認識では博士のネーミングセンスは絶望的な気がしますが」
「失礼な」
「畑ロボットになんて名前を付けましたか」
「白玉」
「では、畑にある案山子に博士はなんて名前をつけましたか」
「山田長寿の助太郎」
「変です」
白玉は色的に、見た目的に…なら分かる気もするような気がする。…がなんで、畑の案山子にそんな変な名前が付けられるのだろう。本人に至っては、大真面目で付けている。このままでは、猫たちにも変な名前をつけてしまう。
「決定権は博士にはありませんので」
「えぇ~」
「文句ありませんよね」
「はい…」
拗ねる博士は置いておいて、位置情報を使いペット用品がある場所を調べる。
ピピッ!!
「博士場所を特定したので行ってきます」
「…はやく帰ってきてね」
「博士…さみしいなら一緒に行きましょう」
「それはやだ」
「そうですか」
わがままだな。
「マリー無理していかなくてもいいよ」
「行かないと飼えませんよ」
「心配だもん」
「心配無用です」
博士は、私が初めて一人で店まで歩いて向かい。一人で買い物をした後ここまで戻ってこれるか心配のようだ。心配なら一緒に行けばいいものを…
「初めてのお使いだよ!!」
「博士…今までサオンで買い物をする際大丈夫でした」
「でも現状がそん時と違うし…」
「問題ありません」
「マリー心配な時はいつでも連絡してね」
「大丈夫です」
「一分ごとでもいいよ」
「大丈夫です…博士こそ秒ごとに連絡してこないでくださいね」
「マリーからの連絡がほしい」
「用がないので無理です」
「ちぇっ…」
「予定では一時間半には戻りますので」
「いってらっしゃーい…ア・ナ・タ」
「いってきます」
博士に見送られながら、門の方に向かい扉を開けて出る。鍵をしっかりと閉めて、もう一度確認する。次に、脳内にアップロードした地図を使い向かう。これで、迷うこともない。
今回は、初の一人で買い物だ。今まで博士と一緒に買い物に行ったが…
ぐゎ…あぁ…
うぁ…あぁ…あ…
相変わらず外は騒がしい。家から離れれば離れるほど、数は増えていく。
20分ほど歩いた先には、目的地が見えた。
【コアラ】
ここは、木材、生活用品、花や工具、家具など多くのものが置いてある大きな店だ。食料品がないのは残念だが、ここなら使えるものも多くありそうだ。
入口は、三箇所ある。一つ目は、木材売り場の入口。二つ目は、中央入口。三つ目に、園芸売り場の入口。
木材売り場は、閉まっているので中央入口から入る。やはり、中にもあの者たちが多くいる。かごを取り進む。博士と一緒に買い物するなら、あの者たちをどうにかしないと…
サオンの時のように時間をかけて片付けていくしかない。でないと、博士は車で待機することになる。まぁ、行きたがらないだろうけど。今もなお、私がいないということで部屋でだらだらしているんだろうな。そんな事を考えながら、ペットショップを探す。
(ペット用品…ペット用品…!!)
ワンワンワンワンワン…
ペットショップの一部は破壊され、水槽などは割れていた。また、そこにいた動物たちはあの者たちと同じようになっていた。動きがおかしく、色も元の状態とはかけ離れたカビように…
やはり、動物たちも生き物すべて皆等しくこうなるのだろう。残念だ。
ワンワンワンワン…
「……………!!」
これは、想定外だった。
あの者たちなら、私を見ても反応しなかったが…
この動物たちは襲いかかってきた。
ガンッ…
右腕に噛みついてきた。
まずい…
ドンッ…
振り払い一度距離を置く。腕に痛みは無いが服が破れ、中の構造が見える。
「これは…めんどうですね」
この動物たちを避けながらの買い物…
尚更、博士と買い物に行くことは難しそうですね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。

NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。 中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。 しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。 助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。 無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。 だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。 この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。 この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった…… 7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか? NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。 ※この作品だけを読まれても普通に面白いです。 関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】     【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

処理中です...