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第5話 結局、涙には勝てない
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「花楓がそんなむっつりだったなんて知らなかったよ。あと、僕がそういう男だと思われていたこともね」
「ち、違うの!」
「何が違うって言うのかな。友達に彼氏がいると嘘をついて、体を餌にしてでも僕に彼氏になってもらおうとした小林 花楓さん?」
「うぅ……」
花楓によると、事の発端は今日の昼休み。友達の話に適当な相槌を打っていた彼女は、いつの間にか自分に彼氏がいることになっていたんだとか。
すぐに否定しようとしたものの、新たな恋バナという薪を焚べられたガールズトークを止めることは叶わず―――――――――。
「今度、彼氏をみんなに紹介することになってしまいましたっ!」
「……花楓らしいね」
「えへへ、それほどでも」
「褒めてないよ、全く」
瑞斗の目から見ても、花楓の友人たちはそれなりにキャピキャピしているタイプで、彼女はいつも一番後ろを着いて行っている。
だからこそ、止められなかっという主張も理解は出来るし、想像しただけで同情の念すら湧いてきた。
もちろん、言うまでもなく話をちゃんと聞いていなかった花楓自身にも非があるのは確かだが。
「それで、僕に彼氏になれと」
「そ、その通りです!」
「花楓の彼氏だと人前で宣言しろと」
「お頼み申し上げますぅ……」
「嫌だね」
「なんで?!」
先程も述べた通り、彼も同情はしている。だが、姉川 瑞斗というボックスの中には『恋愛感情』と書かれたカードは入っていない。
きっと、ひっくり返しても解体しても焼却炉に入れても、その破片すら姿を見せてはくれないだろう。
そんな状態で彼氏になるのは、相手が誰であろうといささか不謹慎ではないか。
恋愛感情を知りもしないと言うのに、その真似事をするなんて、恋愛の神様に祟られそうで恐れ多い。
「……というのは建前で、単純に面倒臭い」
「幼馴染が困ってるんだよ? もっと他にかける言葉は無いの?」
「これを機に心を入れ替えようね」
「私は大罪人じゃないよっ!」
「友達を騙すのは罪なことじゃないんだ?」
「うっ……」
「それに恋人のフリをするってことは、別れたって作り話も用意しなきゃいけないんだよ」
「どうして別れる前提なの!」
「本物じゃないのに続けれるわけないでしょ」
瑞斗が呆れたようにそう言うと、彼の服を掴んだ花楓は上目遣いで見つめながら「なら、本物になっちゃう?」と首を傾げた。
今一度言うが、花楓は童顔で背も低い可愛いらしい女の子だ。普通の男であればこんなにも積極的な一言にハートがドキュンしてしまいかねない。
ただ、普通の男という括りに入らないのが瑞斗なのである。彼の冷えきった心は幼馴染の幼い誘惑ではビクともしなかった。
「ならない。花楓は可愛いからパンツでも見せれば誰でもその作戦に乗ってくれるよ」
「ぱ、パン?! そんなの見せれるわけないよぉ!」
「僕とはしようとしてたくせに、エッ――――――」
「わぁぁぁぁぁ! みーくんは他の男の子と違って……その、特別なんだもん!」
「なるほど、男として見れないってことか」
「どうしてそうなるのっ!」
思っていることを全く理解してくれない様子に、花楓は「がるる……」と喉を鳴らしながら不機嫌な犬のように威嚇してくる。
かと思えば、今度は突然涙目になって、ベッドに倒れ込んだまますすり泣き初めてしまった。
「このままじゃ、みんなに嘘つきへっぽこ太郎だって思われるよぉ!」
「実際、嘘なんだから仕方ないよ。どうしても嫌ならクラスの男子に生足でも見せて……」
「うぅ……うわぁぁぁん! こんなちんちくりんには、みーくん以外優しくしてくれないもん!」
「いや、僕も最近冷たいと思うけど」
「みーくんは冷たさの中に優しさを感じるの! 冷えても美味しいコーンポタージュなの!」
「ちょっと何言ってるか分からないんだけど」
やはりお断りさせてもらおう。そう伝えようとすれば、すすり泣きが号泣へと進化。
パンツやら生足やらは諦めさせる文句であって、本気で見せろという意味では無かったのだが、純粋な彼女はそれを真に受けてしまったらしい。
その後も泣いては「何でもするからぁ……」と頼み込むのを繰り返し、最終的に泣かせた罪悪感で折れたのは瑞斗の方だった。
「わかった、その日だけ彼氏の役をしてあげる」
「ほんと?」
「本当だよ。だから泣かないで」
「……えへへ、みーくん優しいね」
「これ以上、寝る時間を奪われたくないだけだよ」
さすがに「あっ、パンツ見せなきゃいけないんだっけ……?」とスカートをたくし上げそうになった時には、大慌てで止めに入ったけれど。
「見たら役で終わらせられなくなるから、ね?」
「ち、違うの!」
「何が違うって言うのかな。友達に彼氏がいると嘘をついて、体を餌にしてでも僕に彼氏になってもらおうとした小林 花楓さん?」
「うぅ……」
花楓によると、事の発端は今日の昼休み。友達の話に適当な相槌を打っていた彼女は、いつの間にか自分に彼氏がいることになっていたんだとか。
すぐに否定しようとしたものの、新たな恋バナという薪を焚べられたガールズトークを止めることは叶わず―――――――――。
「今度、彼氏をみんなに紹介することになってしまいましたっ!」
「……花楓らしいね」
「えへへ、それほどでも」
「褒めてないよ、全く」
瑞斗の目から見ても、花楓の友人たちはそれなりにキャピキャピしているタイプで、彼女はいつも一番後ろを着いて行っている。
だからこそ、止められなかっという主張も理解は出来るし、想像しただけで同情の念すら湧いてきた。
もちろん、言うまでもなく話をちゃんと聞いていなかった花楓自身にも非があるのは確かだが。
「それで、僕に彼氏になれと」
「そ、その通りです!」
「花楓の彼氏だと人前で宣言しろと」
「お頼み申し上げますぅ……」
「嫌だね」
「なんで?!」
先程も述べた通り、彼も同情はしている。だが、姉川 瑞斗というボックスの中には『恋愛感情』と書かれたカードは入っていない。
きっと、ひっくり返しても解体しても焼却炉に入れても、その破片すら姿を見せてはくれないだろう。
そんな状態で彼氏になるのは、相手が誰であろうといささか不謹慎ではないか。
恋愛感情を知りもしないと言うのに、その真似事をするなんて、恋愛の神様に祟られそうで恐れ多い。
「……というのは建前で、単純に面倒臭い」
「幼馴染が困ってるんだよ? もっと他にかける言葉は無いの?」
「これを機に心を入れ替えようね」
「私は大罪人じゃないよっ!」
「友達を騙すのは罪なことじゃないんだ?」
「うっ……」
「それに恋人のフリをするってことは、別れたって作り話も用意しなきゃいけないんだよ」
「どうして別れる前提なの!」
「本物じゃないのに続けれるわけないでしょ」
瑞斗が呆れたようにそう言うと、彼の服を掴んだ花楓は上目遣いで見つめながら「なら、本物になっちゃう?」と首を傾げた。
今一度言うが、花楓は童顔で背も低い可愛いらしい女の子だ。普通の男であればこんなにも積極的な一言にハートがドキュンしてしまいかねない。
ただ、普通の男という括りに入らないのが瑞斗なのである。彼の冷えきった心は幼馴染の幼い誘惑ではビクともしなかった。
「ならない。花楓は可愛いからパンツでも見せれば誰でもその作戦に乗ってくれるよ」
「ぱ、パン?! そんなの見せれるわけないよぉ!」
「僕とはしようとしてたくせに、エッ――――――」
「わぁぁぁぁぁ! みーくんは他の男の子と違って……その、特別なんだもん!」
「なるほど、男として見れないってことか」
「どうしてそうなるのっ!」
思っていることを全く理解してくれない様子に、花楓は「がるる……」と喉を鳴らしながら不機嫌な犬のように威嚇してくる。
かと思えば、今度は突然涙目になって、ベッドに倒れ込んだまますすり泣き初めてしまった。
「このままじゃ、みんなに嘘つきへっぽこ太郎だって思われるよぉ!」
「実際、嘘なんだから仕方ないよ。どうしても嫌ならクラスの男子に生足でも見せて……」
「うぅ……うわぁぁぁん! こんなちんちくりんには、みーくん以外優しくしてくれないもん!」
「いや、僕も最近冷たいと思うけど」
「みーくんは冷たさの中に優しさを感じるの! 冷えても美味しいコーンポタージュなの!」
「ちょっと何言ってるか分からないんだけど」
やはりお断りさせてもらおう。そう伝えようとすれば、すすり泣きが号泣へと進化。
パンツやら生足やらは諦めさせる文句であって、本気で見せろという意味では無かったのだが、純粋な彼女はそれを真に受けてしまったらしい。
その後も泣いては「何でもするからぁ……」と頼み込むのを繰り返し、最終的に泣かせた罪悪感で折れたのは瑞斗の方だった。
「わかった、その日だけ彼氏の役をしてあげる」
「ほんと?」
「本当だよ。だから泣かないで」
「……えへへ、みーくん優しいね」
「これ以上、寝る時間を奪われたくないだけだよ」
さすがに「あっ、パンツ見せなきゃいけないんだっけ……?」とスカートをたくし上げそうになった時には、大慌てで止めに入ったけれど。
「見たら役で終わらせられなくなるから、ね?」
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