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第4話 不穏な雲行きと守られる平穏
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今日は空は雲がかっていて暗いし、机くんはひんやりと冷たい。これじゃ、気持ちよく眠れないよ……。
そんなことを思いながら、唯斗は机の上で項垂れていた。彼の気分は天候に左右されやすいため、今日のような日は最悪なのだ。
「唯斗君、おはよー♪」
「…………ちっ」
「今、舌打ちした?! え、嫌われてる……?」
温もりによる安らぎのない今、彼の心は荒んでいた。そんなところへ当たり前のようにスーパーパリピが声をかけてきたなら、ついつい八つ当たりもしてしまうもの。
「雲、君は僕の敵だ……」
「あー、蜘蛛は嫌だよね。足が気持ち悪いもん」
足? 雲には足なんて生えてないけど。もしかしてこの人、メルヘンな頭をしているんだろうか。
横目でヘラヘラ笑いながら1時間目の準備をする夕奈を見て、唯斗は小さくため息をこぼした。
冷たい机、暗い空、そしてうるさい隣の人。学校になんて来なきゃ良かったなぁ。金縛りで動けないって電話すればよかったかも。
……電話はどうやって取ったことにしよう。
「机くん、どうして君は自動で発熱してくれないんだ……」
「発熱? あ、もしかして―――――――――――」
そんな、ぐでぇっと机に突っ伏す彼の姿を見て、夕奈は何かを思い出したようにスカートのポケットの中へと手を突っ込む。
「唯斗君、これ」
「……なに?」
「いいから手を出して」
何かを渡そうとしてくる彼女を警戒するも、受け取らないとうるさそうなので、仕方なく貰うことにする。
「あ、温かい」
「ほら、今日曇ってて寒かったでしょ。ちょうど持ってたんだよね♪」
手渡されたのは、小さいサイズの貼らないカイロ。12時間持つタイプのやつだった。
これなら陽の光より面積が狭いとはいえ、十分な温もりは感じることが出来る。今の唯斗にとって、ものすごくありがたい逸品だ。
「もらってもいいの?寒いんでしょ?」
「もう学校だから大丈夫大丈夫!お昼になったら気温も上がるだろうし、捨てるくらいなら、欲しい人にあげる方がウィンウィンっしょ♪」
「…………」
唯斗は思った。
こいつ、意外と良いやつだなと。
「ありがたく使わせてもらうよ」
「おん! 私の温もりを存分に味わいたまえ!」
「……やっぱり返そうかな」
「え、そんなに嫌?」
唯斗は「お返しします」とカイロを差し出したけれど、結局は「使ってください、お願いします……」と夕奈の方から頼まれてしまった。
そこまでこちらのまどろみを守りたいというのなら、無理に断るのも申し訳ないよね。
「仕方ないから使ってあげるよ」
「ありがと……って、なんかおかしくない?!」
「ああ、これぞ幸せ」
「ちょ、話を聞いて――――――――」
自分が優しくしてあげたはずなのに、いつの間にか立場が逆転している。
そこに対して文句のひとつでも言ってやろうと声を上げたものの、夕奈は頬にカイロをくっつけてまどろむ唯斗の姿を見てそれをやめた。
「……ずるいよ、その顔は」
そんなことを思いながら、唯斗は机の上で項垂れていた。彼の気分は天候に左右されやすいため、今日のような日は最悪なのだ。
「唯斗君、おはよー♪」
「…………ちっ」
「今、舌打ちした?! え、嫌われてる……?」
温もりによる安らぎのない今、彼の心は荒んでいた。そんなところへ当たり前のようにスーパーパリピが声をかけてきたなら、ついつい八つ当たりもしてしまうもの。
「雲、君は僕の敵だ……」
「あー、蜘蛛は嫌だよね。足が気持ち悪いもん」
足? 雲には足なんて生えてないけど。もしかしてこの人、メルヘンな頭をしているんだろうか。
横目でヘラヘラ笑いながら1時間目の準備をする夕奈を見て、唯斗は小さくため息をこぼした。
冷たい机、暗い空、そしてうるさい隣の人。学校になんて来なきゃ良かったなぁ。金縛りで動けないって電話すればよかったかも。
……電話はどうやって取ったことにしよう。
「机くん、どうして君は自動で発熱してくれないんだ……」
「発熱? あ、もしかして―――――――――――」
そんな、ぐでぇっと机に突っ伏す彼の姿を見て、夕奈は何かを思い出したようにスカートのポケットの中へと手を突っ込む。
「唯斗君、これ」
「……なに?」
「いいから手を出して」
何かを渡そうとしてくる彼女を警戒するも、受け取らないとうるさそうなので、仕方なく貰うことにする。
「あ、温かい」
「ほら、今日曇ってて寒かったでしょ。ちょうど持ってたんだよね♪」
手渡されたのは、小さいサイズの貼らないカイロ。12時間持つタイプのやつだった。
これなら陽の光より面積が狭いとはいえ、十分な温もりは感じることが出来る。今の唯斗にとって、ものすごくありがたい逸品だ。
「もらってもいいの?寒いんでしょ?」
「もう学校だから大丈夫大丈夫!お昼になったら気温も上がるだろうし、捨てるくらいなら、欲しい人にあげる方がウィンウィンっしょ♪」
「…………」
唯斗は思った。
こいつ、意外と良いやつだなと。
「ありがたく使わせてもらうよ」
「おん! 私の温もりを存分に味わいたまえ!」
「……やっぱり返そうかな」
「え、そんなに嫌?」
唯斗は「お返しします」とカイロを差し出したけれど、結局は「使ってください、お願いします……」と夕奈の方から頼まれてしまった。
そこまでこちらのまどろみを守りたいというのなら、無理に断るのも申し訳ないよね。
「仕方ないから使ってあげるよ」
「ありがと……って、なんかおかしくない?!」
「ああ、これぞ幸せ」
「ちょ、話を聞いて――――――――」
自分が優しくしてあげたはずなのに、いつの間にか立場が逆転している。
そこに対して文句のひとつでも言ってやろうと声を上げたものの、夕奈は頬にカイロをくっつけてまどろむ唯斗の姿を見てそれをやめた。
「……ずるいよ、その顔は」
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