92 / 92
終章
第一部-完-
しおりを挟む
◇◇◇◇◇
夜闇の空に薄っすらと
東の地平線から色が付いていく…
青からやがて…白光へ…
時刻は日の出間近の早朝である。
「こんな早くに出るの?」
秋も深まってきた早朝だ。
寒さに、羽織っていた上着を
両手で引き寄せながら、
アーファは心配そうに二人へ
尋ねる。
「うむ、急ぐ必要があるのだ。
しかし、隣国まで馬車が
出ていないからな…
幸い、そう遠い道のりではないから
今から歩けば、
夜半には到着できそうだ」
リーンはそう言いながら、
旅の手荷物を担ぎ上げる。
昨日、
宮廷魔術士の元部下だった
青年レグンスを送り出した後、
リーン達は少しだけ、アーファの
家で仮眠を取らせて貰った。
「ふあぁぁ…
まだ寝足りないなぁ」
あくびをしながら、目を擦り
睡魔と戦うイルを外へ連れ出す。
「ほれ、シャキッとしろ!
これから暫くは歩くのだぞ」
前世の人格の方が
最近は強くなっている筈だが、
まだ僅かに幼さが残る
イルに喝を入れる。
家の前で二人を見送るアーファは、
寂しそうに二人に声をかける。
「気をつけてね…
この先は魔物はいないって、
言われてるけど、薄暗い
森林地帯だから…」
「うむ、アーファも達者でな!」
「アーファに手紙を書くよ!」
リーンとイル、二人はそう言いながら
歩いて行く。
「また…この町へ来たら、
遊びに来てね!絶対だよー!」
いつまでも二人を見送っていたかった
アーファだったが…
やがて朝日が地平から顔を出し、
遠く離れていく二人を
眩しい光が
覆ってしまうのだった。
さて、
二人は町の出口門へ差し掛かった。
いよいよ町を出て、
隣国フィアロの国境へと向かうのだ。
と…、
町の出口門から少し離れた場所に
誰かが立っているのが見えた。
目を凝らして見れば、
ギルド職員…
しかも、その上司と思われる人物だった。
そのギルド職員は、
二人を視認すると
何も声も掛けず、ただ深く
お辞儀をしていた。
リーンとイルは、
軽く会釈をし、門をくぐり抜けていく。
目指すは隣国フィアロ!
「はぁ…フィアロ…
フィアロって言えば…アイツだよなぁ」
イルがため息混じりに言葉を漏らす。
「そうだな。奴だな…」
リーンもまた、苦虫を噛み潰したような
表情で奴を思い出していた。
古代の勇者パーティの一人。
我らが仲間…
今はリーンの施した封印の中で
停止した悠久の時を漂っているだろう。
いつか、奴とも再会できるだろうか?
二人は大切な仲間を思い出しながら
旅を続けるのだった。
◇◇◇◇◇
(第一部、完)
夜闇の空に薄っすらと
東の地平線から色が付いていく…
青からやがて…白光へ…
時刻は日の出間近の早朝である。
「こんな早くに出るの?」
秋も深まってきた早朝だ。
寒さに、羽織っていた上着を
両手で引き寄せながら、
アーファは心配そうに二人へ
尋ねる。
「うむ、急ぐ必要があるのだ。
しかし、隣国まで馬車が
出ていないからな…
幸い、そう遠い道のりではないから
今から歩けば、
夜半には到着できそうだ」
リーンはそう言いながら、
旅の手荷物を担ぎ上げる。
昨日、
宮廷魔術士の元部下だった
青年レグンスを送り出した後、
リーン達は少しだけ、アーファの
家で仮眠を取らせて貰った。
「ふあぁぁ…
まだ寝足りないなぁ」
あくびをしながら、目を擦り
睡魔と戦うイルを外へ連れ出す。
「ほれ、シャキッとしろ!
これから暫くは歩くのだぞ」
前世の人格の方が
最近は強くなっている筈だが、
まだ僅かに幼さが残る
イルに喝を入れる。
家の前で二人を見送るアーファは、
寂しそうに二人に声をかける。
「気をつけてね…
この先は魔物はいないって、
言われてるけど、薄暗い
森林地帯だから…」
「うむ、アーファも達者でな!」
「アーファに手紙を書くよ!」
リーンとイル、二人はそう言いながら
歩いて行く。
「また…この町へ来たら、
遊びに来てね!絶対だよー!」
いつまでも二人を見送っていたかった
アーファだったが…
やがて朝日が地平から顔を出し、
遠く離れていく二人を
眩しい光が
覆ってしまうのだった。
さて、
二人は町の出口門へ差し掛かった。
いよいよ町を出て、
隣国フィアロの国境へと向かうのだ。
と…、
町の出口門から少し離れた場所に
誰かが立っているのが見えた。
目を凝らして見れば、
ギルド職員…
しかも、その上司と思われる人物だった。
そのギルド職員は、
二人を視認すると
何も声も掛けず、ただ深く
お辞儀をしていた。
リーンとイルは、
軽く会釈をし、門をくぐり抜けていく。
目指すは隣国フィアロ!
「はぁ…フィアロ…
フィアロって言えば…アイツだよなぁ」
イルがため息混じりに言葉を漏らす。
「そうだな。奴だな…」
リーンもまた、苦虫を噛み潰したような
表情で奴を思い出していた。
古代の勇者パーティの一人。
我らが仲間…
今はリーンの施した封印の中で
停止した悠久の時を漂っているだろう。
いつか、奴とも再会できるだろうか?
二人は大切な仲間を思い出しながら
旅を続けるのだった。
◇◇◇◇◇
(第一部、完)
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
イルが中々に気持ち悪い、こいつが今後どうなるかのかが気になる。ちょこちょこ出てくる挿絵はとても上手であるとキャラの動きが想像しやすく助かります。
感想ありがとうございます!!
挿絵は効果があるのかどうか…不安要素でしたが、もっと状況を補佐できる丁寧な挿絵作りを頑張っていきたいです😊
また、気になる点などありましたら、コメント頂けると嬉しいです!