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第48話 『ヴァルタール帝国』首都陥落
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1体の魔竜が、『通話水晶』の映し出した映像の中で咆哮していた。
『うおおぉぉっ!! いやあ、魔王様にも見せたかったぞ! この俺の見事な勝ちっぷり! いやあ、ハルカアルも前評判通りの強者ではあったがな。相手が悪かったとしか言いようがないな、うん』
「……と、言う事は例の『ヴァルタール帝国』の守護竜、ハルカアルはやっぱり出陣して来たんだね?」
『うむ! 首都リビ・ヴァルタール攻防戦のさ中、宮殿の一部を吹き飛ばし、その地下から出現したのだ! そしてその吐炎が魔獣軍団の自動車歩兵たちに迫ったその時! 颯爽と登場した俺の吐炎が奴の吐炎とぶつかり合い相殺し、味方の被害を防いだのだよ! そして俺と奴とはそのまま空中戦に移り……』
その魔竜、魔竜将オルトラムゥは臨場感たっぷりの描写で、自身と好敵手の戦いの様子を語り続ける。……たしかコレ、作戦の事後の報告だと思ったんだが。なんで怪獣映画のあらすじを聞かされてるんだろうか。総大将のガウルグルクはどうしたんだろう。
ここでアオイが冷たい声でオルトラムゥを問い詰める。
「魔竜将オルトラムゥ、あなたが格好良いのは分かったから、要点だけ言って。それと総大将の魔獣将ガウルグルクは何で自分で報告しないの?」
『あ、ぐ……。あー、すまん。ちょっと調子に乗り過ぎた。まず作戦だが、一応成功だ。『ヴァルタール帝国』首都、リビ・ヴァルタールは一部壊れたが……。
そ、それは我々のせいではないぞ!?あのハルカアルが自陣営の損害にも構わずに吐炎を吐きまくるからだ!俺はできる限り妨害したんだ!本当だ!』
「うん、それは信じるから安心してくれ。それで?」
『う、うむ! それでリビ・ヴァルタールは全域が我ら新生魔王軍の支配下にある。統制もきちんと取れている。ただ、な。皇帝と皇族、一部の貴族が地下通路を使って脱出してしまってな。今魔獣軍団から眼鼻が利く者を選び出して追跡隊を何組も放ったが……。
それでガウルグルクは、魔王様にあわせる顔が無い、と言ってな。謹慎すると言いおったので、それより働け馬鹿者と俺が言い諭して、今は書類仕事の山に向かっている。』
ガウルグルクは変なところで頑なな所とか、クソ真面目な面があるからなあ……。わたしは右手でこめかみを押さえつつ、言った。
「あー……。まあ、皇帝やらを逃がしたのは致命的失敗じゃないから、そんなに気にするなと伝えてくれるかな?それと皇帝とか皇族とかだけど、もし捕まえるのが大変そうだったら港町に追い込んで、アーカル大陸から追い出しちゃってもいいよ。
コンザウ大陸に逃げ込んでくれるなら、利用方法もありそうだし。」
わたしの台詞に、オルトラムゥは分かったと頷く。まあ皇帝とかはこの大陸に残られて抵抗運動とかのシンボルになられると、ちょっとだけだが厄介だ。
コンザウ大陸に亡命して、向こうでの火種とかになってくれれば利用価値はある。まあそう言う方向性で使うかどうかも、今はまだ分からないが。
「後は基本的に、計画書に記された通りの順番で、『ヴァルタール帝国』各地方を制圧して行ってくれ。ただし虐殺や略奪その他の暴虐は厳禁、と言うか、やったら死刑。
豚鬼や人食い鬼はバルゾラ大陸から出してないから、やる奴はいないと思うけど……」
「今回は大犬妖がいるから、ちょっと不安」
『あー、大丈夫だと思うぞ。大犬妖どもは皆、巨鬼族の指揮官が眼を光らせて、規律を守らせているからな』
「なら……。大丈夫、かな? あー、オルトラムゥ。それじゃ仕事に戻ってくれ」
オルトラムゥは、右前脚で以前よりもずっと器用に敬礼をする。わたしとアオイも答礼を返す。そしてオルトラムゥが『通話水晶』による通信を切ったのだろう、彼の映像が消えた。
わたしは溜息を吐いた。
「ふぅ……。まあ一安心だな。これで後は、纏まりに欠けた残敵を掃討していくだけだ」
「その後はしばらく外征を休んで、内政と軍事力強化に励む……」
「そしてそれが成り次第、一気にコンザウ大陸に侵攻する。
今、バルゾラ大陸の各造船所ではC重油……。あー、わかんないか。安価な低質の油を燃料に使えるディーゼル機関を搭載した、新型艦艇を起工……建造開始したよ。戦艦、巡洋艦、駆逐艦、輸送艦、強襲揚陸艦等々。
陸上輸送網がまだちょっと不完全だから、資材調達に手間取ってるけどね。コンザウ大陸侵攻までには、艦隊が編成可能になる予定さ」
わたしは机のところまで歩くと、書類を手に取る。
「陸上でも、トラックにより資材の輸送力が向上したおかげで、広軌鉄道網の敷設が徐々に進んでる。アーカル大陸は若干遅れてるけどね。最初はディーゼル機関車だけど、将来的には電化する予定。これと海の新型輸送艦と併せて、大規模輸送が可能になる。
各地の工場建設、鉱山開発も進んでるし、間もなく我々は圧倒的な生産力を得られる。あらかじめ、ばい煙対策とか環境問題にも配慮してるし、いい感じで国が回り始めたよ」
「そう言えば、国名まだ無いね。敵対勢力の呼称も『人類種族』のままだし」
「おおっと」
またアオイに突っ込みを受けた。たしかに国名は国威発揚に必須だから、早急に決めねばならない。けれど安易に決めてしまうわけにもいかない。
「それは次の定例幹部会議で相談するよ。でも叩き台として、案を幾つか作って置くとしようか……。あ……。新生魔王軍の軍旗はあるけど、国としての国旗はまだ無かったよ。それも決めないと……。
あー、それといつまでも『わたしが法律』って状態は良くないかなあ。立憲君主制に移行して、憲法を定めないと」
「待って。立憲君主制に移行するのは世界制覇後の方がいいと思う。それまでは『魔王様が法律』状態で、強力に国を引っ張った方がいい。第一、この世界の国家は大半、いえ全部がそこまで行ってない。立憲君主制なんかにして議会なんか導入したら、魔物たち……民も絶対に付いてこれない」
「うーん、そうかあ。じゃあしばらくは、わたしを頂点にした軍事独裁政権で行くかあ……」
わたしはアオイと相談しつつ、次の幹部会議に向けて国名、国旗、その他の案を作っていった。国家を正式に宣言するのは、アーカル大陸全土を制覇した時点で、と言うことにもなった。アーカル大陸制覇は既に消化試合の秒読み態勢に入っているので、急がないといけない。わたしとアオイは精力的に仕事に取り組んだ。
『うおおぉぉっ!! いやあ、魔王様にも見せたかったぞ! この俺の見事な勝ちっぷり! いやあ、ハルカアルも前評判通りの強者ではあったがな。相手が悪かったとしか言いようがないな、うん』
「……と、言う事は例の『ヴァルタール帝国』の守護竜、ハルカアルはやっぱり出陣して来たんだね?」
『うむ! 首都リビ・ヴァルタール攻防戦のさ中、宮殿の一部を吹き飛ばし、その地下から出現したのだ! そしてその吐炎が魔獣軍団の自動車歩兵たちに迫ったその時! 颯爽と登場した俺の吐炎が奴の吐炎とぶつかり合い相殺し、味方の被害を防いだのだよ! そして俺と奴とはそのまま空中戦に移り……』
その魔竜、魔竜将オルトラムゥは臨場感たっぷりの描写で、自身と好敵手の戦いの様子を語り続ける。……たしかコレ、作戦の事後の報告だと思ったんだが。なんで怪獣映画のあらすじを聞かされてるんだろうか。総大将のガウルグルクはどうしたんだろう。
ここでアオイが冷たい声でオルトラムゥを問い詰める。
「魔竜将オルトラムゥ、あなたが格好良いのは分かったから、要点だけ言って。それと総大将の魔獣将ガウルグルクは何で自分で報告しないの?」
『あ、ぐ……。あー、すまん。ちょっと調子に乗り過ぎた。まず作戦だが、一応成功だ。『ヴァルタール帝国』首都、リビ・ヴァルタールは一部壊れたが……。
そ、それは我々のせいではないぞ!?あのハルカアルが自陣営の損害にも構わずに吐炎を吐きまくるからだ!俺はできる限り妨害したんだ!本当だ!』
「うん、それは信じるから安心してくれ。それで?」
『う、うむ! それでリビ・ヴァルタールは全域が我ら新生魔王軍の支配下にある。統制もきちんと取れている。ただ、な。皇帝と皇族、一部の貴族が地下通路を使って脱出してしまってな。今魔獣軍団から眼鼻が利く者を選び出して追跡隊を何組も放ったが……。
それでガウルグルクは、魔王様にあわせる顔が無い、と言ってな。謹慎すると言いおったので、それより働け馬鹿者と俺が言い諭して、今は書類仕事の山に向かっている。』
ガウルグルクは変なところで頑なな所とか、クソ真面目な面があるからなあ……。わたしは右手でこめかみを押さえつつ、言った。
「あー……。まあ、皇帝やらを逃がしたのは致命的失敗じゃないから、そんなに気にするなと伝えてくれるかな?それと皇帝とか皇族とかだけど、もし捕まえるのが大変そうだったら港町に追い込んで、アーカル大陸から追い出しちゃってもいいよ。
コンザウ大陸に逃げ込んでくれるなら、利用方法もありそうだし。」
わたしの台詞に、オルトラムゥは分かったと頷く。まあ皇帝とかはこの大陸に残られて抵抗運動とかのシンボルになられると、ちょっとだけだが厄介だ。
コンザウ大陸に亡命して、向こうでの火種とかになってくれれば利用価値はある。まあそう言う方向性で使うかどうかも、今はまだ分からないが。
「後は基本的に、計画書に記された通りの順番で、『ヴァルタール帝国』各地方を制圧して行ってくれ。ただし虐殺や略奪その他の暴虐は厳禁、と言うか、やったら死刑。
豚鬼や人食い鬼はバルゾラ大陸から出してないから、やる奴はいないと思うけど……」
「今回は大犬妖がいるから、ちょっと不安」
『あー、大丈夫だと思うぞ。大犬妖どもは皆、巨鬼族の指揮官が眼を光らせて、規律を守らせているからな』
「なら……。大丈夫、かな? あー、オルトラムゥ。それじゃ仕事に戻ってくれ」
オルトラムゥは、右前脚で以前よりもずっと器用に敬礼をする。わたしとアオイも答礼を返す。そしてオルトラムゥが『通話水晶』による通信を切ったのだろう、彼の映像が消えた。
わたしは溜息を吐いた。
「ふぅ……。まあ一安心だな。これで後は、纏まりに欠けた残敵を掃討していくだけだ」
「その後はしばらく外征を休んで、内政と軍事力強化に励む……」
「そしてそれが成り次第、一気にコンザウ大陸に侵攻する。
今、バルゾラ大陸の各造船所ではC重油……。あー、わかんないか。安価な低質の油を燃料に使えるディーゼル機関を搭載した、新型艦艇を起工……建造開始したよ。戦艦、巡洋艦、駆逐艦、輸送艦、強襲揚陸艦等々。
陸上輸送網がまだちょっと不完全だから、資材調達に手間取ってるけどね。コンザウ大陸侵攻までには、艦隊が編成可能になる予定さ」
わたしは机のところまで歩くと、書類を手に取る。
「陸上でも、トラックにより資材の輸送力が向上したおかげで、広軌鉄道網の敷設が徐々に進んでる。アーカル大陸は若干遅れてるけどね。最初はディーゼル機関車だけど、将来的には電化する予定。これと海の新型輸送艦と併せて、大規模輸送が可能になる。
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「そう言えば、国名まだ無いね。敵対勢力の呼称も『人類種族』のままだし」
「おおっと」
またアオイに突っ込みを受けた。たしかに国名は国威発揚に必須だから、早急に決めねばならない。けれど安易に決めてしまうわけにもいかない。
「それは次の定例幹部会議で相談するよ。でも叩き台として、案を幾つか作って置くとしようか……。あ……。新生魔王軍の軍旗はあるけど、国としての国旗はまだ無かったよ。それも決めないと……。
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